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穴掘りの加護『スコップ』は、思ったよりも無双です?  作者: 満原こもじ


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第8話:ザック

 ――――――――――ゼイパレス王国の首都ロイアスにて。ルルイフ・カーラン視点。


「魔王のコアを破壊した? 聖見式直後のガキが? レベル三二?」

「そうだ」


 目の前の男ザックが呆れたような顔をしている。

 ザックは新進気鋭の冒険者としてかなり名を知られている男だ。


「……ツッコミどころが多過ぎるわ。が、あんたがこの手の冗談を言わないことは知ってる。マジなんだな?」

「事実だ。これ以上の話を聞きたければ、情報を秘匿した上で協力してもらうことになる」

「じーさんがこの話をしたのは、オレで何人目だ?」

「一人目だ」

「ハハッ、つまりそのガキの面倒をみるのに、オレが最適だと考えているわけだな?」


 軽く頷く。

 ザックもまた若くしてレベル三〇に到達した、優秀な冒険者だから。

 あの西の田舎村のレア加護【スコップ】の持ち主ヒトシ君は、レベルこそ高いが戦闘経験がない。

 しかしレア加護持ちがトラブルに巻き込まれずに過ごせるのを期待するのは、どう考えてもぬるいと思う。

 彼には絶対に戦闘経験が必要だ。


 【スコップ】の加護に不明な部分は多いが、どうやら価値のあるものの埋まっている場所がわかるらしい。

 大体魔王のコアを見つけて壊したというだけで、チート加護だと断定してもいいくらいだ。

 トラブルを自力で解決できるだけの実力を身につけるためには、ザックを師として学ぶのがベストと思われる。

 ザックもまたヒトシ君から得るものがあるのではないか、という期待もある。

 

 ザックがずいと、身体を乗り出す。


「協力というのは、実際に何を指す?」

「うむ。常識としてどう思う? 聖見式直後の少年が、君を超える高レベルという現実に関して」


 ザックのレベルはちょうど三〇だ。

 ザック以下の年齢でレベル三〇以上の者はこれまでいなかった、のだが。


「ヤベえな。じーさんの言ってることが本当だとすると、魔物すら倒さずレベル三〇超えってことだろ? 自分が何をできるかすら理解してねえんじゃねえか?」

「うむ、そうだな。英雄になる可能性もある。闇に落ちる可能性もある」

「調子に乗って死ぬ可能性もあるだろ」

「いや、そういうタイプの子ではなかったな」

「ほお?」


 ん? 少し興味が出たか?

 ああ、聞きわけのない生意気な子供なら協力する気はないということか。

 ザックが面倒なことが好きとは思えぬしな。


「礼儀正しい子だったよ」

「だったら放っといても平気なんじゃねえか? じーさんが拘るのは何故だ?」

「他言無用だぞ?」

「わかってる」

「レア加護持ちなのだ」


 目を見開くザック。


「マジかよ。じゃあ魔王のコアを破壊したってのも、偶然じゃねえんだな?」

「魔王のコアの存在するところの近くに住んでいたのはもちろん偶然だ。ただし、埋まっていたコアを掘り出したのは偶然ではない」

「どういうことだよ?」

「これ以上は協力を明言してくれぬと話せんな」


 肩を竦めるザック。

 愛嬌のあるポーズだ。


「……あんたが肩入れする理由はわかった。オレも乗ってくると考えてるから、そこまで話したんだな?」

「図星だ」

「だがオレはそのガキを実際見てみねえと、話に乗ると約束はできねえな」

「十分だ。ワシはもう一度少年に会いに行く予定なのだ。君もどうかね?」

「もちろん行く。こんな面白れえ話を聞かされたら、とてもスルーできねえよ」


 ザックを同行させることに成功した。

 実際にあの【スコップ】の加護を持つ少年に会えばわかるだろう。

 その稀有な素質に。


          ◇


 ――――――――――マツモティー村にて。ヒトシ視点。


 いつものように村外れに行こうとすると、パルの家である食堂兼宿屋の前で意外な人に呼び止められた。


「ヒトシ君」 

「聖見官様じゃないですか。お久しぶりです」

「ハハッ、今日は聖見官の仕事で来たのではないんだ。この男を紹介しようと思ってね」


 聖見官……ルルイフ様が連れてきた二〇歳くらいの男の人は、いかにも抜け目なさそうな感じだ。

 そして<簡易鑑定>と<察知>で見たところによると、かなり強い人みたい。

 それ以上のことは何も。

 ぼくを見る目がかなり興味深げだなあ。


「ザックという。ヒトシ君はこの男を見てどう思う?」

「レベルの高い、とても強い人だと思います」

「ハハッ、レベルだけから言えばお前のほうが高いんだぜ?」


 そうかもしれないけど、ぼくのレベルはたまたまだからなあ。

 本当にただの運だもの。


「ヒトシ君と話をしたいのだ。どこかいい場所はないかね?」


 ぼくに関わることみたいだ。

 【スコップ】の加護に触れるんだと、人のいないところがいいだろうな。

 父ちゃんが鍛冶仕事中だから、うちはカンカンうるさいし……。


「やはり町外れがいいと思います。あ、ルルイフ様に見てもらいたいものがあるんです。持ってきますね」


 【スコップ】の加護に引っかかったけど反応のなかった石のことだ。

 <ガイド>アリスによればおそらくスキルストーンだろうって。

 ルルイフ様は<見破り>のスキルを持っているとのことだったから、何のスキルを宿しているか教えてもらえるかもしれない。


          ◇


「間違いない。全てスキルストーンだ」


 やっぱり。

 有用なスキルなら覚えておきたいけどなあ。

 使っちゃまずいスキルもあるって<ガイド>アリスに脅されたから、正体のわからないスキルストーンは怖い。


「おいおい、マジかよ。お前の加護どうなってるんだよ」


 ええと、言っちゃっていいのかな?

 ルルイフ様を見る。


「ザックよ。それはワシとヒトシ君に協力するということでいいか?」

「これだけのお宝を見せられて、放っとくわけねえじゃねえかよ! オレは絶対に裏切らねえことを誓うから、全て話せ!」

「ヒトシ君。ザックは我が国でも有数の冒険者だ。こう見えて律儀な男で信用できる。必ず君の役に立つ。君の加護について話していいか?」

「はい、お願いします」


 ぼくもザックさんはいい人だと思ってたんだ。

 何となくだけど。

 <察知>でふんわり感じるのかな?


「ヒトシ君は【スコップ】の加護を持つのだ。簡単に言うと穴掘りの加護だ」

「【スコップ】? レア加護と聞いてたから【剣聖】や【賢者】みたいなのを想像してたぜ」


 ごめんなさい。

 そんな格好いい加護じゃないんです。

 掘りたいところが何となくわかってそこを掘るだけ。


「穴掘りって聞いただけじゃ有用性がわからなかったわ。魔王のコアだのスキルストーンだのの証拠でようやくだ」

「ところでヒトシ君はどうしてスキルストーンだとわかったのかな?」

「そうだ、スキルストーンは<簡易鑑定>じゃ判別できねえアイテムだろ」

「何だかはわからなかったんですが、ぼくの加護に引っかかるんです」

「マジかよ。どんだけ使えるんだ。【スコップ】パねえな」

「たまたま壊した石から<ガイド>というスキルが出て、スキルストーンについて教えてもらいました」

「おまっ! 未鑑定のスキルストーン割ったのかよ? 意志を持って? メチャクチャ危ねえやつもあるんだぞ!」


 ザックさんって結構オーバーアクションの人なのかなあ?

 ぼくのやってることが非常識だから?

 ルルイフ様が軽く手を広げる。


「待った。ヒトシ君は<ガイド>でスキルストーンを知った。迂闊に割ることの危険も知ったから、以降はそのまま保存している、ということかな?」

「はい」

「じーさん。<ガイド>ってどんなスキルなんだ? オレ初めて聞いたわ」

「基礎的な知識を持った人格が相談に乗ってくれるという、ごく希少なレアスキルだ。ヒトシ君が<ガイド>を習得できたことは、まことにもって幸運と言わざるを得ない」


 やっぱり<ガイド>はレアスキルだったのか。

 ここまでぼく、ツキ過ぎてない?

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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!
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