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穴掘りの加護『スコップ』は、思ったよりも無双です?  作者: 満原こもじ


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第24話:何かが埋まってる

 <ガイド>アリスと話しながら、森の中の旧道をどんどん進む。


『お上手ですよ』

(えへへ。ちょっと<威圧>のコツがわかってきた気がするよ)


 今日は出現した魔物全てに<威圧>をかけている。

 相手を脅したり怯ませたりするスキルだね。

 今までほとんど使ったことなかったけど、さっきのアリスの説明で重要なスキルとわかったから。

 できるだけ熟練度を上げておこうと思う。


(ねえアリス。やっぱり<威圧>を極めている人はすごいのかなあ?)

『さて、<威圧>を極めている人間がいるのかはわかりませんけれども』

(えっ? どうして?)


 相手の行動を制限することができる、結構なスキルってことだったじゃない。

 有用なスキルは鍛えておくべきでしょ?


『<威圧>を習得するほどレベルを上げている者は、当然効率的に魔物を倒して経験値を得ているはずです』

(うんうん、わかるわかる)

『しかし<威圧>はそれだけで相手を倒せるスキルではありません。効率を考えれば、コスト少なく魔物を倒せるスキルや技を磨くと思われます。<威圧>の熟練度を上げようというのは、盲点になる考え方ではないでしょうか?』


 言われてみれば。

 アリスのフラットな視点からの意見はすごく参考になるなあ。


『<威圧>を訓練する機会というのも、実はあまりないと思います。魔物に使うのですと、倒して経験値や素材を得る機会を減らしてしまうことになります。人間に使えば対人関係を壊してしまうことになりかねません』

(もっともだなあ)


 何となくオラオラ系のチンピラが<威圧>しまくっている場面が思い浮かんだ。

 実際に<威圧>習得のレベル三〇に達しているチンピラなんて、いるかどうかわからないけど。


『むしろ<威圧>は凶悪な魔物が使用してくる注意すべきスキル、という認識が一般的かと思われます』

(そうだ、魔物が使ってくることもあるんだったね)


 レベル三〇以上の魔物なんて強いに決まってるもんなあ。

 幸いそういう魔物と戦う機会はないけれども。


『レベル三〇以上の魔物が災害級とされるのは、<威圧>を使用してくるため被害が広がりやすいということがあるのです』

(ありがとう。<威圧>がどういう位置付けなのかわかった気がするよ)


 おっと、シャドウウルフの群れだ。

 こいつらはほとんど群れで現れるなあ。

 初めて出遭った時はビビったものだけど、ぼくにはスコップ土くれショットがあったから。

 頼りになる技があるというのは自信になると知った。


 ぐっと目に力を入れる感じ。

 <威圧>を発動し、全体に効果を行きわたらせる。

 よしよし、オオカミ達がビクッとして逃げていくね。

 クマの魔物が単独で出た時に使うバシッと<威圧>をぶつける感じなのと、使い分けができるようになったのは今日の進歩だ。


(でもアリスは、ぼくが<威圧>の訓練をすることが必要だと考えているんだよね? それは何故かな?)


 今日たまたま急ぎ足で魔物を倒している時間がないから、というだけではない気がする。


『ヒトシ様の加護【スコップ】が戦闘向けでない、ということが一番の理由ですね』

(……ということはつまり?)

『確かにスコップ土くれショットは、特にレベルの低い敵が群れで現れた場合には非常に有効な技です』

(……逆にぼくに本当の強者と戦う力はないってことか)

『その通りです』


 アリスの言ってることは厳しいようだけど、自分と同レベル程度の相手とは戦っちゃいけないことくらい、ぼくにもわかってた。

 ぼくは決して強くない。

 でもある程度の魔物を倒せる実力があればいいと考えていたんだ。

 十分稼げるし、生活に支障はないから。

 でもアリスの考えは違うみたいだな。


『ヒトシ様の加護【スコップ】の特異的な有用性がいつまでも隠しおおせるのか、という問題があります』

(アリスはムリだと考えているの?)

『難しいと思いますね。ヒトシ様の活躍も実力も知られつつあるではありませんか』

(アリスの指摘は本当に的確だなあ)


 考えてみれば第三王女タスミン姫にもぼくの存在が知られ、王立アカデミーに特待生で入れてもらえることになってたんだった。

 誰だあいつ平民のクセにって、注目されるのなんか当たり前じゃないか。

 いや、王立アカデミーに入学させてもらえることはとても嬉しいんだけど。


『加護【スコップ】はいくらでも稼げます。<見破り>や<察知>、<直感>の効果を合わせますと、レアアイテムを手に入れる可能性もまた常識では考えられないくらい高いのです。ヒトシ様の存在自体に、破格の価値が付与されていると考えられます』

(えっ?)


 ぼく自身に価値?

 あっ、ぼくを働かせればメチャクチャ儲かるだろうってこと?

 そんな大胆なことは考えたことがなかったけど。


『ヒトシ様を誘拐してぼろ儲けしようと考える者もいるでしょう。スキルを大量に取得して、反社会組織の戦闘員を育成しようと考える者もいるかもしれません』

(そんな大変なことだとは、ぼく全然意識していなかったな)


 甘かったかもしれない。

 【スコップ】は神様がわざわざぼくに会って注意してくれるほどのレア加護じゃないか。

 聖見官ルルイフ様やザックさんだって、なるべく他人に【スコップ】の加護の詳細について明かすなって言ってたし。


(ぼくはどうするのがいいかな?)

『身に迫る危険を回避するために、ヒトシ様に必要なものはたくさんあります。その中で、成熟した身体と精神、豊富な経験、知識、技術等を早急に身につけることは困難です』

(うんうん、そうだね)

『一方で最も手に入れることが困難な高レベルを、既にヒトシ様は所持しております。スキルを身につけることでパワーアップすることも、普通の人に比べればよほど容易です』

(うーん、ぼくが近接戦闘系が弱いことはわかってるんだけど、なかなか良さげなスキルが出ないんだよね)

『スコップを持っていない時に使える攻撃スキルを充実させたいものですが』


 アリスの言う通りだなあ。

 ぼくみたいな子供でも有効なのは魔法なのだろうけれども、ザックさんにステータスを見てもらったら、ぼくの魔法力や持ち魔力容量はそんなに大きくないみたいなんだ。

 レベルはあるからぼくが魔法を使えないわけじゃないよ?

 でも身体強化魔法以外の魔法に頼るのは、方向性として正しくないみたい。

 だから習得している攻撃魔法は、接触電撃魔法<モノボルト>だけなんだ。

 で、今はこれがほぼ唯一の近接攻撃手段になってるの。


 ぼくの攻撃のバリエーションって少ないよなあ。

 練習が簡単な<投石>も覚えたいスキルなんだけど出ないしなあ。

 いや、戦闘職の人だって普通はレベルアップに伴う自然習得だけで頑張ってる。

 ぼくの言ってることは贅沢だってわかってはいるけどさ。


(運は仕方ないもんね)

『仕方ないですね。パワーアップのチャンスを逃さないようにしましょう』

(うん)


 この前手に入れた高位魔族のコアを壊してレベルアップしろ、というアリスの思考がチクチクと突き刺さるんだけどさ。

 あれはザックさんにあげることに決めたから。


(あ、何かいいものが埋まってる)


 この辺は初めて来るから、道沿いでも掘り出してないアイテムがあるな。

 しかしこれは?


『スキルストーンですか?』

(いや、違うみたい)


 これを感じられるのは多分、【スコップ】の加護に<直感>や<察知>が相乗効果を発揮してるからなんだろうけどな。

 確かにそんなことがわかっちゃうなんて、ぼくすごいわ。

 もっと自分の価値というものを客観的に評価できるようになりたいな。

 いや、そういう部分はアリスに補ってもらえばいいや。


 埋まってる何かを急いで掘り出そう。

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