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極楽地獄還魂記  作者: 有嶺 哲史
第三章 ラッピのハルマゲドン
9/13

もめごとと宇宙崩壊の周期

 最近、極楽と地獄の間にもめごとがあった。

死して亡者となった魂が極楽にゆこうとするのを地獄が横取りしていたことが発覚したのだ。

もともと判別基準があいまいだったがそれだけではなかった。

明らかに不正があった。

双方の話し合いは、どこまでも口の立つ者がいて決着しそうになかった。

思えば昔はこんなことは無かった。

亡者の中には六文銭以上に何のつもりか大金を隠し持っている者もいたので地獄に来るものが多くなれば地獄が儲かる。

最近の地獄のスタッフの中に大金を必要としている者がいるのではないかと推測された。

単なる縄張り争いではない、これは正邪を明らかにしなければならない。

極楽側は我慢の限界を超えた。


 もう一つ、まもなく顕在化する物理的運命的災いがあった。

多元宇宙は時間とともに地獄や極楽などの子宇宙が増えてくる。

すると母宇宙が耐えきれなくなり、定期的に崩壊と再生を繰り返す。

この災いには火災、水災、風災(この名は実態とあまり関係ない)の三つのレベルがある。

泡のような子宇宙単独で潰れる火災、近隣の複数個の子宇宙が引きずられるように一緒に潰れる水災があり、そして最大の災は母宇宙ごと全てがつぶれる風災だ。

全てがつぶれる風災の周期が正確にわからない。

それは諸説いずれも地球のあるこの宇宙の寿命よりはるかに長い、とされる。

火災とは、かつておれが滞在した中間界の滅亡(ビッグクランチ)がそれだった。

初めてフリアーナに命じられて対処した極楽と地獄の連続した危機は中間規模である水災の予兆だった。

あのときの措置でも災いの本体がやってくるのは避けられない。水災の本格的崩壊はこれから始まる。

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