記憶の照らし合わせ
孤児院から少し離れた森の中に、俺とレイは居た。
木を背もたれにして立ち、小声で話す。
「1993年、4月俺らが三歳の頃だ何があったか覚えてるか?」
「お前が引っ越してきた。俺たちが最初に一緒のクラスになったのはいつだ?」
「幼稚園の年長の時だな、それ以降は小6まで一緒にならなかった」
あの後、二人で記憶の照らし合わせをする。
お互いが同じ世界から着たかどうかの確認のためだ。
片方が質問し、もう片方が答え、質問を返す。
「小学6年の時のクラスは?」
「6-2、担任は小島。その年、修学旅行で組んだもう一人は?」
「本田。あのチキンのせいで俺らは班決めでジョーカーを引かされた。中一の時にはまったゲームは?」
「M●S2、お前に勧められたのに、今では俺の方がストーリ詳しいな、あのシリーズ」
「確かに」
レイは苦笑いすると、他には?と俺を促す。
「俺がお前に勧めたアーティストは?」
「s●rface、あー、カラオケ行きたくなってきた……。じゃあ……」
3時間ほど話した結果、想い出は全て一致している。
「ここまで記憶が一緒なら、まぁ、今まで通りの感じでいいだろ」
今まで通り、背中を預け、背中を預かる仲だ。
「……最後に一つだけいいか?」
少し間を置いて、レイが俺に真面目な顔で尋ねてくる。
「どうした?」
「……お前の性癖は?」
「……」
若干絶句しながらもレイに耳打ちする。
「……あぁ、よかった、俺の知ってる直之だ」
レイは心の底から安堵したようにつぶやく。
「そんなことで認識を強めるな!」
突っ込みながらも、彼らしい納得のしかたに懐かしさを覚える。
「とりあえず、これからもよろしくな、ハル」
ハルの部分を強調してレイが言う。
「あぁ、こちらこそまた頼む、レイ」
俺たちは固く握手をすると、並んで孤児院へと歩き出した。




