その3
タイミング。
それを一瞬でも見誤れば、勝つのは前後の見知らぬ方になる。
それはやはり勝負師としての名が廃りますわ。
ならばやるべきことはただ一つ。
「張り込み調査ですわ」
翌日、電車で4駅先の目的地に到着。
その目的の売り場にも無事発見できたので、向かいにあるハンバーガーチェーンや喫茶店をハシゴしながら観察。
半日粘って見えてきたのは、まばらながら、定期的に買う人が入ってきていることですわね。
これはいい傾向ですわ。
お金の巡りは運気の巡りというように、お金の循環がない場所では流れが生まれませんのでやはりタロットが驀進といっても限度がありますの。
しかし、この流れなら、47%まで見えてきましたわ。
あとキーになるのは、それなりに運、あるいは適度にお金を持ってそうな人の後に入ること。
これはガラポンなどでわかりやすいのですけれど、当たりというのは前の人がいいところで止めてくれているから勝てるのであって、一番槍が当たりやすいわけではありませんの。
つまり、あと一歩幸薄そうな人の後が、勝てるわけですの。
そして売り場のお姉様。やはり運気を司られているわけですので、この方が信用に足るのか?
そこを見極めなければ翌日にした方がいい可能性もありますのでね。
そして結論は……今日ではありませんわ。
今日は一粒万倍日、そのせいか客足が絶えず、少し疲れているようにも見て取れましてね。
そういう日は例えどんな祝福された日でも当たりはしませんの。
また、日を改めますわ。
そしてその時は来ましたわ。
午後3時12分。
売り場隣のコーヒーショップでコーヒーを嗜んでいた時のことですわ。
仕事途中の休憩ですかしら?すこし着崩したおじ様が、ふと目線を送っているのが見えましたの。
あの所作は……きっと買いに行く。
残っていたコーヒーを一気に飲んで、その匂いが染み付いてむせそうになりながらもチェーン店を後に。
な、なんとかおじさまの後ろに並べましたわ……
その方にもにこやかに対応をされ、手渡したあとに、ついにその時は来ましたの。
今なら言えますわ……78.9%で勝てると。
「いらっしゃいませ」
「ジャンボリーのバラ、10セットで」
焦ってきたせいで少し余裕がなかったからでしょうか、ちょっと剣幕に押されそうになってるお姉様に申し訳ないとは思いつつも、当初の目的のものを頼みますの。
「はい、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10ですね。3万円になります」
「こちら、ご確認くださいませ」
「1、2、3万円、3万円頂戴いたします。
こちらどうぞ、当たるといいですね」
「ありがとうございます、ごきげんよう」
これで今の私は負ける理由の方が見つかりませんわ。
あとは、当選日を待つだけですの。




