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2、国道で寝てたら人生終わったと思ったら始まった件 〜黒糖飴を奪い返したら大富豪に拾われた〜完璧な世界編  作者: Nao9999


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第26話:小さなズレ

第26話です。


壊すと言っても、

最初から大きく動く必要はない。


ほんの少しの“ズレ”。


それがやがて、

大きな歪みへと繋がっていく。

「……ここだな」


画面を見つめる。


流れ。


数字。


全部が整っている。


だが――


完璧すぎる。


「……だから、崩せる」


小さく呟く。


狙うのは、大きな部分じゃない。


小さいところ。


誰も気にしない場所。


「……このライン」


指でなぞる。


廃棄ルート。


処理されるはずの素材。


だが――


「まだ使える」


価値が残っている。


ただ、拾われていないだけ。


「……ここに流すか」


別のラインを開く。


小さな市場。


規模は小さい。


だが――


柔軟だ。


「……いけるな」


入力する。


ルートを、ほんの少しだけ変更する。


大きくじゃない。


気づかれない程度に。


「……これで」


数値が動く。


ほんのわずかに。


だが――


確実に。


「……」


しばらく見続ける。


異常は出ない。


当然だ。


完璧なズレだからな。


「……面白ぇ」


自然と笑う。


これが一つ。


まだ終わりじゃない。


「……次だ」


別のラインを見る。


人の配置。


過剰な負荷。


「……ここもズレてる」


効率重視の歪み。


だから――


「分散する」


配置を、ほんの少しだけ変える。


無駄にならない範囲で。


だが――


負担は軽くなる。


「……これで」


また、数値が動く。


だが、異常にはならない。


ギリギリのライン。


「……完璧だな」


小さく呟く。


気づかれない。


でも、確実に変わる。


「……」


椅子にもたれる。


全体を見る。


変化は小さい。


だが――


流れは変わった。


「……これが積み重なったら」


想像する。


大きなズレになる。


システムが、噛み合わなくなる。


「……いいね」


口元が緩む。


その時――


「……何をしているのですか」


声。


振り返る。


教育係。


いつの間にか立っている。


「見ての通りだ」


軽く返す。


「調整」


嘘じゃない。


「……」


女性は画面を見る。


数値。


変化。


すぐに気づく。


「……これは」


一瞬、言葉を止める。


「最適化、ではありませんね」


鋭いな。


「どう思う」


逆に聞く。


女性は少しだけ考えて――


言った。


「効率は、微増しています」


その通りだ。


「ですが」


続ける。


「意図が不明です」


当然だ。


「……意味あるのか」


俺は笑う。


「ある」


はっきり言う。


「後で分かる」


今じゃない。


まだ小さい。


「……」


女性は黙る。


完全には理解していない。


だが――


止めない。


「報告は」


一応、聞いてくる。


「任せる」


肩をすくめる。


「バレても問題ない」


むしろ――


「その方が面白い」


本音だ。


女性は小さく息を吐いて――


言った。


「……あなたは本当に」


言葉を切る。


そして――


「危険です」


そう締めた。


「知ってる」


即答する。


「でも」


前を見る。


画面を見る。


流れを見る。


「壊れる前って、静かだろ」


小さく呟く。


女性は答えない。


ただ――


その言葉を聞いていた。


「……まだ始まったばかりだ」


立ち上がる。


「これからだ」


ほんの小さなズレ。


でも――


それは確実に広がる。


この世界の中で。


気づかれないまま。


静かに。


確実に――


壊していく。

読んでいただきありがとうございます。


第26話では、“小さなズレ”が描かれました。


目立たない変更。

しかしそれは、確実に流れを変えています。


主人公の狙いは、

一気に壊すことではなく、

“気づかれないまま歪ませること”。


次回、その変化が少しずつ表に現れ始めます。


引き続きよろしくお願いします。

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