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3/3

本来の形へ

完結です、ありがとうございました

 翌日。


「……」

「……」


 俺は一緒にいられる時はずーと肌身離さずナオのことを見ていた。落ち着け、予知夢は夢を観た次の日に起こっている。今日さえ乗り越えれば大丈夫だ(たぶん)。

 しかしこの日は特に不吉な事態は起こることなく、次の日もまた次の日も何も起こる気配はなかった。

 おかしい、どうなっているんだ? と俺はナオの様子を見ながら一人不思議がっていると、


「もうっ! ここ2、3日私の後ばかりをつけて、一体なんなの!?」

「え?」

「彼氏でもないのに、女子の後をつけるなんてっ。それじゃあ私のプライバシーがまるでないじゃない!」

「いや……でも……」

「まさか!? 私だけじゃなく、他の女子にもやってるんじゃないでしょうねー!?」

「いやいや、そんなことするわけないだろ!?」

「そう、ならそれで良いけど……!」


 ん? 一体何が良いんだ?


「それでどうして私の後をつけるの?」

「え?!」

「何か訳があるんでしょ?」

「それは……」


 そして俺はここ最近から続く一連の夢の話をした。


「バカバカしいっ、そんなことあるわけないじゃない!」

「けどここまで偶然が重なったら気になるだろ!?」

「なら仮にそうだとしても、起こるのは次の日なんでしょ? なら今回の夢はハズレよ、ハズレ」

「しかし……」

「“しかし”も“かかし”もないわよ! この不審者!」

「だ、誰が不審者だ!?」

「お巡りさーん、元彼からストーカー行為を受けてます」

「あ、おいこら止めろっ!」

「なら私の後をついてこないで!」

「…………」


 そして遠くの方から騒がしそうに複数人の声が聞こえた。


「何かしら? 橋の方で人の声が聞こえるわ」

「止めとけ。何か厄介なことに巻き込まれるぞ」


 しかしナオは俺の忠告を無視して、急いで声のする方へと向かった。


「あ、おいっ……! ………ったく、何やってんだ俺……」


 俺は頭を掻きながら、今の状態がまるでピエロな気分になってきた。


「バカバカしい、帰るか…」


 とその時だった。バチャーンッと何かが水面に入り込む大きな音が聞こえ、さっきのところからわーと声が上がる。


「なんだ……?」


 橋の方を見ると、なにやらざわざわして慌ててる様子だった。そしてそこにナオの姿が見当たらなかった。

 まさか……。

 俺は嫌な予感がして、無我夢中で走った。

 ナオ、ナオ、ナオ……!!

 そして到着した俺は彼らの眺めている方向を見ると、幼い少年とナオが川の中で溺れていた。


「あの馬鹿っ!!」


 ナオは泳げないんだ!! くそ、どうする!? えぇい、もう!!

 ドボーン!! 大きな水飛沫を出しながら俺は川に飛び込み、二人を助けた。


「はあはあ」

「はあはあ……」

「雅樹ー!」

「ママー!!」


 そして少年は母親のところへ向い、俺とナオは川近くのコンクリートの堤で座っている。


「トモ……ありが……」

「馬鹿ッ、どうしてあんな無茶をしたんだ!?」

「だ……だって……。子供が溺れているんだから助けようと思うじゃない……」

「お前泳げないだろ!?」

「……」

「俺が近くにいたから良かったものの、あのままだったら助からなかったかもしれないんだぞ!」

「ゴ、ゴメン……なさい……」

「お前がいなくなってたら……俺は何を糧に生きて……」

「え……? トモ……?」

「済まないナオ! 俺が悪かったっ。悪かったから……その……俺ともう一度やり直さないか?」

「え? それって……」

「あぁ、やっぱり俺はナオのこと好きだ! お前がいないと俺はダメなんだっ」


 彼女はぐずっとしながら、


「……私もトモのことが好き。別れてからずっと後悔してたの……」

「! それじゃあ……」

「うん、もう一度貴方と付き合うわ……」


 俺はほっとして、良かったこれで万事解決…………ん……?


「わーーーーー!?」

「な、なにっどうしたの!?」

「お、俺のスマホが壊れている……! いままでためておいたデータ達が……可愛い彼女達がーー!!」

「アプリゲームなら向こうでデータ保存してるんじゃないの?」

「スマホだけに保存しといたデータもあるんだよ!! あっ! も、もしかして………わーー!! ディスクもびちゃびちゃだ!!」

「な、なんでゲームディスクまで持ち歩いているのよっ!?」

「お前のせいだぞ!! このおたんこなす!! 俺の糧をどうするんだ!!」

「あんたさっきは私を糧に生きるって言った癖になに言ってるのよ!?」

「これはこれ、それはそれだ!!」

「~~~~~~~!! この馬鹿トモーー!!」




                  おしまい

本当は短編の分量ですが、一日で書けなかったので連載の形で書かせていただきました。

ブックマーク、評価を頂きありがとうございました。

次の作品も楽しみにしていただければ嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最後はまた付き合うようになってオチまでついて面白かったです。 [一言] トモがゲームよりナオと一緒に居る方が好きになる時がいつか来ると良いね!
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