表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怨霊の化R  作者: 新山翔太
47/48

47章 「INVISIBLE 1」

 ハイヒライが入団して一週間経った。彼は僕達と会う度に「仕事はまだですか」と聞いてくるが、こちらも手が出せない事だから言い訳に困っている。

 彼の健気な姿は見ていて心癒されるのも確か。このまま出来れば平和な日々が続いて欲しい。


 ある日、教室の隅でクラスメートが何か話していた。その二人の声があまりに大きかったので、本を読んでいた僕の耳にも嫌でも届いた。

「なあなあ知ってる? ポルターガイストの噂!」

 聞き慣れない単語が耳に入った。ポルターガイスト。

 その言葉について調べようと、スマートフォンを取り出し検索にかけた。

「誰一人手を触れていないのに物体の移動、物音、発光等が起きる現象……か」

 最初は全く知らないと思っていたが、その説明を聞くと何となくその単語についてのイメージが固まってきた。

 ……それでも、現実にそんな現象がある物なのだろうか。……いや、あるのか。

 この世界に解放団という存在がある限り、そんな現象も無いとは言えない。

 僕は二つの空席を眺めた。……生憎清水と佐藤のコンビは今日、やんごとなき事情で欠席中。

 肝心のハイヒライも今日は姿を見ない。

 ……つまり、僕が頼れる相手は……。

 僕は後ろを振り返った。

「や、コタロー君」

 無邪気な笑顔で僕を迎える怨霊。そう、我らがバケ。

「なあ、バケ。……肝試しって行った事あるかい?」

「……あー、そういえば無いかも」

 彼はふわふわと浮かびながらそう言う。この空間にいる人間達には、彼の姿は見えていない。……まあ、何となく感じている者は居るかもしれないが。

「そうか。じゃあ、行こうぜ」

「……どーゆー風の吹き回し? ……まあいいや。それなら楽しみだなあ!」

 彼はそう言うと、辺りを高速で動き回りながらはしゃいだ。

 ……一人はバケ。……そしてもう一人は。


 僕は放課後、ある人物にメールを打った。「ポルターガイストの噂を聞いた事があるか? それの調査に付き合ってくれ」と。

 すると、直ぐに返信が届いた。

「初めて聞きましたね。コタロー先輩さえ良ければ今夜でも行きましょうか」

 僕の事をコタロー先輩と呼ぶのは一人しかいない。……山本香しか。

 すると、バケが後ろから覗いてきた。

「お? 何? デート?」

「……違えよ」

 正直に言うとバケに言われて初めてそんな意識を持った。……そうか、客観的に見ればそうか。

 ……確かに彼女は素敵だと思うが……。彼女が男と恋仲に堕ちる事は無いだろう。そもそも巫女なのだから。色恋沙汰に陥る様な人では無い……。


 その夜、僕はバケを連れ、二人夜の校門の前で待っていた。

 夜風が冷たく、身体が震える。ふと横を見ると、バケは涼しげな顔でこちらを見ている。……そうか。霊は気温を感じないのか。それもある意味羨ましい。

 周りの家は皆電気を消して静まり返っている。この街には、今は僕とバケしかいない。

 このまま時が止まってしまいそうだ。

「……バケ。どこか行きたい所はあるか?」

「うーん……。そうだ、水族館行こうよ、水族館」

「……おう。いいな」

 僕とバケはそんな他愛の無い会話をする。最近はバケもそれなりに生活に慣れてきた様で、色々な所に出かけたりしている。

 ……折角だし、これが終わったらバケの言う通り水族館にでも行こうか。

 そうしていると、足音が聞こえた。その先には、巫女装束を着た山本が居た。

「ふー……。コタロー先輩、バケ君、お待たせしました」

 月光に照らされて映る彼女の紅白模様は、いつもより美しく見える。

「……ああ。じゃあ行こうか」

「そうですね!」

 なんだかぎこちない。……夜の高揚感からか、はたまた見慣れない夜の彼女の姿か、それとも後ろで僕の事をにやにやと見るバケのせいか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ