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23章「生活」
住所はこのアパートを指していた。
お世辞に綺麗とは言えない、暗いアパートだった。
「・・・ここ?」
「はい。・・・行きましょうか」
・・・・・・
チャイムを山本が押すと、ドアが開いた。
開いたが、肝心な依頼者が見えない。
「・・・解放団の人?」
下に、依頼者である少女がいた。
・・・・・・
「うわあ・・・」
酷い有様だった。
洗い場は食器で埋もれて、埃で汚い。
「ねえ、掃除とか、やってないの?」
「やってないよー?」
「・・・お母さん、お父さんは?」
「仕事でいないよー?」
山本は絶望していた。この子は、育児放棄されていた様だ。
余りにも残酷だ。この子は、幸せというのを知らない。顔は普通の少女にしか見えない。だが内面は劣悪な環境に産まれた悲劇でしかない。
「・・・お姉さんが、部屋を整えてあげるから、ちょっと待ってて」
そう言って、山本は家事を始めた。




