12章「さらば猫よ」
山本がステージに立つと、黒猫達は消えた。
疲労から、思わず席に座った。
コーシュカと山本が向き合い、話し始めた。
「貴方。あの修行僧の味方をしているんですか?」
「・・・したくもなかったよ。僕の目的に有効だからそうしただけだ」
「なら」
山本は大幣をコーシュカに向けた。
「ここで、死んで」
大幣に光が灯り始める。天に居るような、明るい金色の光だ。
山本はコーシュカを成仏させるつもりだ。
そしてコーシュカは・・・
何もしない。ただ、穏やかに目を瞑っていた。
「・・・」
光が消えた。それと、コーシュカに抱きついた。
「・・・何を」
「貴方を残酷に消えさせるのは惜しいです」
2人は、それ以降言葉を交わさなかった。
コーシュカが消える。このまま安らかに。
最後にコーシュカは言い残した。
「・・・ああ、やはり君は蘭子と同じだ。容赦無くて、優しい・・・」
そう言い残した。
・・・・・・
時間が経ち、夕方になっていた。
「・・・コーシュカは?」
「彼は成仏しました。これ以上、危害を及ぼす事は無いでしょう」
そう、山本は床に座った。
日が山に沈もうとしている。
「バケは、どうしたんだろうか」
「バケ・・・それがコーシュカの変装の名前ですね。バケ君はいると思います。大丈夫、先輩とバケ君の日々は幻想ではありません」
「よかった。バケは家かな」
「・・・帰りましょうか」
日が完全に沈んだ。
それは、あるショーに生きた猫の心も沈んだ様だった。




