4
がらんとした空間。本当に図書室には誰一人いなかった。
戸惑った表情の林。図書室の椅子に向かい合わせで座る。
「えーと、いきなりでごめんね」
そういうと軽く笑った。
「で、何の話?」
真面目な表情になり、話を振ってきた。
「夕方、生徒玄関で林さんが泣くって聞いて、それは何でか原因を突き止めて欲しいって言われた」
「・・・誰から?」
「三崎祥平」
表情がこわばった。
「祥平に言ったの?その答えを」
祥平、そう呼ぶ声から親しさが窺える。
「言ってない」
ほっとした表情になる。明らかに安堵したようだった。
「ごめん、ぶっちゃけこれを聞くのはただの興味からなんだけど、」
不思議そうに見つめてくる。
「―――なんで好きだって言わない?」
玄関から見つめる先には三崎とその彼女が写っていたはずだ。仲睦まじい二人を見て泣いていた。
しばらく沈黙が降りた。
「祥平に、私は一番の親友だから、ってよく言われたの」
そう笑った。
「馬鹿かもしれないけど・・・その関係を壊したくなかったの
ただ、臆病なだけかもしれない。でも言うつもりはないわ」
凛とした表情でそう言い切った。
「そっか」
「話はおしまい?」
「うん、悪いね、いきなりで」
「じゃあね、なっちゃん」
「・・・その呼び方、やめてくれないかなー」
くすりと笑った。
「そう呼ぶの祥平だけだもんね。他の子には呼ばせないのに祥平は別なんだ?」
「いや、三崎にも許可した覚えはない。ただ、面白がって呼んでるだけだよ」
ちょっとふてくされたように言うと、こらえきれなかったようであははっとおかしそうに笑った。
気の強そうに見えるが、笑った顔は優しい。
ああ、そんな笑顔に憧れていたのに、失恋するとはね。
ガタン、椅子から立ち上がり、
「じゃあね、藤崎夏樹くん」
そういって彼女は颯爽と出て行った。




