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泣いていた理由とはなんだろうか。適当に答えたものの気にはなる。正直、泣いていたことなんて探られたくはないだろうが、頼まれたんだからまあ仕方がないと自分を納得させた。
午後の授業が始まり、一応、林琴未の様子を見てみたが、しっかりとした表情で黒板を見て、ノートを書いていた。別に変わったことはない。視線を感じたのか林琴未がこっちを振り返る。一見気の強そうな双眸と目が合いそうになり慌てたが、さりげない風を装って黒板の方を見ることに成功した。多分。
そして、授業が終わり、SHが終わると、部活がある人は部活へ向かい、特にない人は帰り支度を始める。
林琴未は―――後者だった。荷物をまとめ、教室を出ていく。
ちょうど自分も帰り支度が終わったところなので、後につくような形で玄関に向かう。
下駄箱のところで鉢合わせになったが、こちらを気にすることはなく、玄関を出て校門に向かっていく。
遠ざかっていく背中をしばらく眺めていたが――――変わった様子はなかった。
ただ、前を向き、凛とした背中が遠ざかっていく。
「ん?どうした?ぼーっとして、今帰るのか?」
振り向くと、三崎祥平と―――6組の河名美月がそこにいた。
嫌な予感がする。
「・・・うん、まあそうだけど。
それで?―――いつも二人は仲良く帰ってるの?」
三崎は照れながら河名の方を見て、河名は恥ずかしそうに下を向いた。
「いや、つい最近だけどな。付き合い始めたんだよ」
・・・気に食わない。
「ふーん、そっか、じゃあね」
「あれ、お前も帰るんじゃないの?」
三崎が不思議そうに聞くが、
「ちょっと学校に用事思い出したから、戻る」
この二人がいるのを見ながら帰る気分じゃない。
「そうか、じゃあまた」
二人は仲良く、玄関を出て歩いていく。その姿を見送ると、遠くに林琴未の姿が見えた。
林琴未はこっちを振り向いて見ていた。どこか悲しそうに見つめるその瞳。
仲良く帰る三崎祥平と河名美月、二人の姿を林琴未は見ていた。




