報われぬ過去 その5
レオ・バレッタとチャンクはマリアを殺した男を探しに盗賊の野営地に来た。
チャンクがスーッと息を吸い込み、叫ぶ。[出てこい!ショットガンナー!]チャンクの叫びは林の中に消えた。
静寂が二人の緊張感を高揚させる。
[オオ。お早いお着きで。保安官様。何用ですかな?]
[このやろう!マリアさんを殺ったろ!]レオが前に出る。[オヤオヤ。困った坊主だ。ボウヤ。何処にそんな根拠が?][ショット。貴様の腕は認める。正確には貴様の魔法か?][これはこれは。チャンクさん。保安官みずからお誉めの言葉を頂けるとは。光栄ですな]
情報屋は昨日の事が気になり。ソーッと、つけてきた。木陰に隠れてその光景を見る。[マリアが殺られたか。だから深入りするなと言ったんだ]ポンポンと肩を叩く男がいた。[情報屋さん。いつもお世話になっておりまして………すいません][ボス。貴方も後を?][あんな奴等だが可愛い連中だからな。失いたくは無い][私もですよ。ボス。どんなに店で暴れられても次の瞬間、情報を流している。お互いに甘やかし過ぎですね][そのようだな。奴は何者なんだ?][精霊の力を宿すガンナー。土の神 ライドー。その力を継承する者][神の力?つまり二人は][………ボス。申し訳無いが…………もし、私の知る話が本当なら…………][そうか。助からんな]
[ショット。1つ聞きたい。マリアをどう殺った?あれほどの女を射止めるとは][あれかい?冥土の土産に教えてやろう。あれは魔法さ。精霊魔法。土の神 ライドーの力][やはりな。あんな荒らせるのは神々意外考えられない][知ってるんですか?チャンクさん]チャンクはレオの耳元で囁いた。[アア。お前も見た事があるだろ?リンクアップの能力を。普通、スクラップに生命は宿らない。あれも精霊魔法さ][でもマリアさんがいなけりゃ…………][お前だ。マリアからお前に替わるだけさ。マリアもそうして欲しいと言うだろうよ][俺が?出来ない。あんな者]
[ナアナア。何しに来たんだ?アンタラ。はえーとこ、おっぱじめようぜ!こっちは都合が良いんだ。たった一匹の餌に二人も掛かってな。ちょうど良い。目障りな連中だと思っていた所さ]
[ボス。どうします?][フーム。相手の動きもわからないんだ。無理に介入する必要も無いだろう][そうですね。私も貴重な情報収集になりますから。高く売れそうですしね][任せよう。彼等に]
[レオ!左に回れ!]レオは、テンガロンハットを深く被り直し、マントを投げ捨て、左に走った。
ショットガンナーは仁王立ちをし、腕を組み、ドッシリと構えている。
[………不動の構え。攻防のバランスが取れた、ブレ無い構え。コヤツ出来る]チャンクは瞬時に分析した。
[スキアリ!]レオは大きく飛び上がり、二丁拳銃を抜いた。
ダンダン!
煙を上げて弾が火を吹く。
[やったか?]
ショットガンナーは組んだ腕をほどき、残像を残し、弾を止め、打ち返した。
[マズイ!レオ!かわせ!]
ヒュンヒュン
レオは顔を掠めた弾の風圧でかすり傷を負う。
[チッ…………無駄に攻撃はしないほうが良いな。もっと近づければ]
クルクルクルッと回転しながら地面に着くレオ。
[レオ!俺の対角線に着け!]チャンクは右側、レオは左についた。
[ホウ。不動の構えを解こうと。果してどうかな?]
二人は宙でクロスし、頂点でレオが二丁拳銃のトリガーを引いた。
[今だ!火炎噴射!]レオの弾に合わせてチャンクが口から火炎噴射を出す。銃弾は、炎を纏い、熱風がショットガンナーの上空を襲う。
[フン。なかなかの攻撃だ。だがな]
ショットガンナーは熱風をカッと見上げ、組んだ腕を地面に当てる。[レイジングウッド!]
ショットガンナーの周りを木が包み、熱風が木に当たる。
バリバリバリッ…………
ショットガンナーは無傷だった。
[レオ!今のタイミングで良いぞ。だがトリガーを引く一瞬、ポイントがずれてた。奴に気を使うな]
[あの一瞬でそんな事まで。…………チャンクさん。貴方に従います。やりましょう。一緒に][レオ。俺の相方に相応しい顔になったな。マリアも喜んでいるみたいだ]
[さーて。俺に構えを解かせた奴も久しぶりだな。楽しめそうだ。さあ、二回戦といこうか?]
ショットガンナーはスーッと息をし、静かに立ち上がった。
レオが着地した瞬間ショットガンナーがスーッと滑ってレオの前に立ち塞がった。
スッバン!バン!ガン!
見えない攻撃でぐらつくレオ。
スッガーン!
回し蹴りをレオに当て、吹き飛ばされる。
[レオ!]チャンクがショットガンナーに向かう。
スッドーン!
チャンクの目の前に立ち塞がり、裏拳を当てるショットガンナー。
[クッ…………この動き。見えない…………][クックックッ不動の構えの真逆さ。仁王の構え。力がみなぎる。この力がお前たちのリミットだ。この力が限界に達する時。それがすなわち、お前たちの死だ]
[ッテテテテ………クソー!なんとかならないのか!チキショー!]レオは砂に拳を当てた。
続く




