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引く
美しい女は変わり始めた。
最初は。
ほんの少し。
「それ、私を通してもらった方がいいですよ」
次に。
「先方には私から話しておきます」
そして。
「勝手に連絡されると困るんですよね」
糸を引き始めた。
自分の巣を守るために。
一つ。
また一つ。
強く。
女は従った。
争わない。
「分かりました」
それだけ。
けれど。
一度直接つながった人間は。
不思議そうに言った。
「別に直接でよくないですか?」
女は答えなかった。
また別の人が言った。
「毎回あの人を通さないと駄目なんですか?」
「私は分かりません」
女は本当にそう答えた。
美しい女は、さらに糸を引いた。
連絡の順番。
誰を通すか。
誰と誰が会うか。
自分がいなければ。
この巣は成り立たない。
そう確かめるように。
強く。
もっと強く。
そして、、、最初の一本が切れた。
大きな音はしなかった。
誰かが美しい女を通さずに女へ連絡した。
それだけだった。
次の一本も。
また一本。
女は何も奪っていない。
ただ。
切れた糸の先に。
人が残った。




