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悪逆の魔女のグルメ旅  作者: もり


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8.【異世界召喚】

 

 自分がなぜここにいるのかわからなかった。

 さっきまで資料室で仮眠していたはずなのに。

 最近、睡眠不足が続いたから白昼夢でも見てるのかな? って思った。

 それにしても……。ここ、森の中なんですけど?

 しかも夜。

 でもきっとこれは夢。


 頬を撫でる生温かい風も、すぐそこでがさがさ鳴っている草も夢。

 そうであって。

 グルルとかって唸り声も夢。


 そう自分に言い聞かせていたら、グルルの正体がわかった。

 暗闇の中で目が光るとか本当だったんだな。

 てか、三つ光ってる気がする。

 あ、夢だから何でもありなのかな。

 なんて考えているうちに、三つ目が勢いよく近づいてきた。

 って、襲われる!?


 この間、一秒くらいだと思う。

 これこそ走馬灯というか、体は動かないのに、頭は超回転してる。

 走馬灯って確か、自分の過去の経験から、目の前の命の危機を回避する術がないかを探してるんだっけ?


「――ネム!」


 そのとき、男性の声がしたと思った瞬間、目の前に見知らぬ人が立った。

 というか、襲いかかってきた三つ目を追い払ってくれたっぽい?

 キャンッ! って鳴き声が聞こえて……あ、うん。この人、刀を持ってる。

 刀じゃなくて剣?

 夜目が利くようになってきて、何となくだけど見える。


 少し先の地面で何かがピクピクしてる気配はさっきの三つ目かな? はっきり見たくないので、明かりがなくてよかった。

 と思ったのに、ほんのり明るくなったし。

 しかもこの男性の手のひらから小さくぽうっとしたやつが出てきたよ。


 昔、おばあちゃんが読んでくれた絵本に出てきた魔法みたいだねえ。……これ、夢だよね?

 だって、不思議明かりで見えるようになった男性がカッコいいというのも重要ではあるけれど、何よりその服装がヤバイもん。

 その絵本に出てきた騎士みたいだよ。

 あえて三つ目の方へ視線は向けないけど、同じように絵本に出てきた魔物っぽい気がする。


「†aut☆g§jxdgkp?」

「……え?」

「npejguxag&§hy?」

「すみません、わかりません……」


 どうしよう、何か話しかけてきてくれてるけど全然わからない。

 とりあえず私の知ってる言葉じゃないのはわかる。

 夢の中だから? どうすればいいの?

 そもそも、こんなにリアルで長い夢ってある?

 いや、それでも……。


「ρJYOπmpcЕЖhrd!?」

「§k†πoht!?」


 増えたー! 人間増えたー!

 四人増えて、五人になったよ! 

 みんな剣を構えてて、私に敵意あるっぽいよ!


 詰んだ。

 私を助けてくれた人が四人から庇ってくれてるように見えるけど、ちょっと劣勢?

 みんな不満そうだよ。

 頑張れー! 


 心の中でイケメン騎士さんを応援してたら、四人の中で一番年配のイケオジ騎士さんが他の三人に何か言った。

 少し厳しい口調に他の三人が怯む。

 だけど一人が私を指さして訴え始めた。


「axネム&†koqЕ!」


 うん。何言ってるかわからない。

 でも私についてなのはわかる。

 それから話し合いがどう決着ついたのかはわからないけど、五人に守られながら森の中を進むことになった。

 何度も獣に襲われて、何もできない私は完全に足手まといなのはわかっていたから、足が痛いなんてものは我慢。

 森の中は歩きにくくはあるけれど、こちとら営業畑で鍛えてますから。

 それに何度も「ネム」って言われるんだけど、何となくそれは「バカ」って言われている気がする。

 まあ、それも仕方ない。甘んじて受け入れます。


 てってかてってか走るように進んでいると、時々心配そうにイケメン騎士さんは振り返ってくれていた。

 優しいなあ。私なんて置いていってもいいのに、お荷物背負い込むなんて。

 そうしてたどり着いたのは、森の中のぽつんと一軒家。

 窓から明かりが漏れていて、それだけで心が温かくなってほっと息を吐く。

 でも、安心したのは私だけで、この小屋こそが諸悪の根源の棲み処だったなんてね。


 私たちが小屋の前へと進み出ると、扉が勝手に開いた。

 そのときは、中の住人が来訪者に気づいて開けてくれたのかと思ったけれど、扉の向こう――小屋の中には誰かがいるようには思えなかった。


(建付けが悪いのかな?)


 なんて呑気に思った私は、まだまだ危機的状況に気づいていなかった。

 だけど、騎士の人たちが一歩一歩重い足取りで小屋へと向かっていることで、ようやくヤバい場所なんだってわかった。

 それでも、私たちは小屋の中に難なく入れて、のんびりカウチに座ってお茶を飲んでいた魔女――〝悪逆の魔女〟と対面したんだよね。


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