表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪逆の魔女のグルメ旅  作者: もり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/23

3.お醤油はソウルフード


 楽しそうで何より。……というわけで。

 店主さんが調理場に戻ったので、こっそり秘密の鞄から小さな瓶を取り出してふたを開け、ポトフに中の液体を数滴たらす。

 それをポンちゃんは見逃さなかった。


「ユーナ様、ボクにもオショーユほしいです!」

「ポンちゃん、こっそりね」

「わかりました。すみません……」

「謝らなくてもいいよ。ね?」


 もちろんそのままでも十分美味しいポトフなんだけど、お醤油を数滴足すだけで味が引き締まるんだよね。

 やっぱり『醤油』は私のソウルフードで、造らずにはいられなかった。

 それで、ポンちゃんの怪我が治って魔法が上手く使えるようになる間、元魔女の家だった森の中の小屋で試行錯誤して造ったってわけ。

 そのあたりは割愛するけど、とにかく最恐の魔女の力は伊達じゃないってくらい、魔法は便利ですごかった。

 とはいえ、勝手に隠し味を足すのは店主さんには失礼だからね。

 ポンちゃんに秘密にするよう注意したら魔法で隠したはずのケモミミがしょぼんとしているのが見えるようで、私は慌ててお醤油を足してあげた。

 今度は上手く隠せるようになったシッポがぶんぶんしている幻が見えるくらい、ポンちゃんは嬉しそうに顔を輝かせる。


「美味しいです! やっぱりソウルフードは最高ですね!」

「う、うん。そうだね」


 ポンちゃんは店主さんにばれないようにか、私がよく口にする「ソウルフード」って言葉を使って喜んでる。

 実は『醤油』だけでなく『味噌』も造ったんだよね。

 だから、野宿するときにはお味噌汁や味噌炒めを作ったりしているからか、ポンちゃんにもすっかり「ソウルフード」は馴染んでしまったみたい。


 二人で美味しいご飯をほくほくしながら食べていたら、空いていた椅子にいきなり知らない男性が座ってきてびっくり。

 ずいぶん馴れ馴れしい人だなと思ったけれど、かなり酔っているみたい。

 いつの間にか店内は酔いも回ってきたお客さんたちで大賑わいで、店主さんも忙しそうに働いている。


「いやあ、ほんとーに! あんたがリザードを倒してくれてよかったよ!」

「……いえ、私だけの力ではなく、この子も一緒に頑張って炎リザードを倒すことができたんです」

「ははは! いい加減、嘘はやめろや。本当はあんたらが倒したんじゃなくて、すでに弱ってたんだろ? お前みたいな女と子どもが炎リザードを倒せるわけねえんだから」


 謙遜して答えたら、すうっと笑顔が引っ込んで絡まれ始めたよ。

 嫌な感じの酔っ払いだ。

 絡み酒っていうか、人に迷惑かける感じかあ。

 体格もいいし、ひょっとしてこの町の力自慢だったりして、プライドを傷つけたのかも。


「運がよかったんでしょうね」

「んだと? 馬鹿にしてんのか!?」


 ああ、やっぱりダメなやつ。早く周りが止めてよ。……と思ったけど、みんな酔いすぎているのか、面白そうに見ているだけ。

 娯楽の少ない場所では、ケンカさえも見世物になる感じ?

 店主さんはこっちのちょっとした騒ぎには気づいていないみたいだし、どうするかなあ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ