表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪逆の魔女のグルメ旅  作者: もり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/24

10.駅馬車


 いくつか町や村を飛行魔法でショートカットして、海辺の街に近くて人に紛れられる街からまた駅馬車で旅をする。

 でも車内に座っているだけじゃ退屈なので、御者のおじさんの隣にポンちゃんと座らせてもらって、いろいろな話を聞いていたら、驚きの事実発覚。


「え? ベイカの街までは行かないんですか?」

「ああ。ここからだと、海沿いの道を走ることになるからな。今、あの辺はクラーケンが出没するから、危険なんだよ」

「でも、クラーケンは海の生き物ですよね? 海路を行くわけでもないのに危険なんですか?」

「ベイカ近くの街道は海岸線に沿ってそのまま続いているからなあ。荒波の日には通れないほど海に近いんだよ。しかも水深がけっこうあるもんだから、クラーケンが岸まで近づけるってわけさ」

「それって、いきなり海からクラーケンの足が現れて、引きずり込まれるってことですか?」

「そういうことだね」


 確かにそれは怖いよね。しかも人間を襲ったクラーケンをイカ焼きにして食べるのはないな。うん。

 なんていうか、倫理観がね。

 ちなみにリザード種は草食だけど、狂暴で縄張り意識が強く、人間を敵とみなしているから危険種だっただけ。

 しかも、縄張りを広げることが強さの証明的な本能があるらしくて、いきなり人間の居住区を縄張りにすることもあるとか。

 だからこそ、駆除の必要があったんだよね。

 というわけで、せっかくここまで来たし、クラーケンも退治していたほうがいいかな。

 イカ焼きは諦めても、他の海鮮をたっぷり味わえばいいわけだし。


「ボク、クラーケンって見たことないんですけど、人間を食べちゃうくらい大きいんですか?」

「いや。大きいのは確かだが、人間を食べるわけじゃないぞ、坊主」

「え? 食べられるわけではないんですか? でも襲われるって……」


 ポンちゃんがぶるりと震えて言えば、御者のおじさんは困ったように笑って首を横に振った。

 人間を食べないなら、どうして襲ってくるのかな?

 いたぶるのが趣味とか、遊び感覚?


【魔女の知識:クラーケンは深海の生き物だが、時々海洋船を襲うことがある。火系魔法に弱いが、水中に潜られると厄介でもある】

 って、わざわざ大海原を渡る船を襲ったりするのに、何が目的なんだろう。


「クラーケンの狙いは酒なんだよ」

「酒って、あの酔うお酒?」

「ああ。ほら、進水式のときとかに酒を船首にぶつけるだろう? あれでどうやら、流れ出た酒の味を覚えたらしい。で、人間なら酒を持っていると考えたのか、手あたり次第襲ってくるようになったんだ」


 クラーケンってお酒とか飲むんだ。それは魔女の知識にもなかった新事実。

 しかもそれを狙うとかって、アル中なクラーケンってこと?

 話に聞くだけなら面白いけれど、実害は出ているんだよね。


「お酒だけ狙うってことは、人畜に被害はないということですか?」

「それが残念ながら、馬も人も構わず馬車ごと海に引きずり込むもんだから、溺れて亡くなってしまう人もいてね……。ほら、浅瀬ならともかく、街道沿いの海は深いし、波に削られた岸も人が登れるような場所はないから」

「そうでしたか……。あ、でもそれなら、先に海にお酒を投げ込んでしまえばいいのではないですか?」

「そのクラーケンはかなり大きいらしいからね。ひと瓶くらいじゃなく、ひと樽は必要だろうから、通行のたびに毎回投げ入れていたら大損だよ」

「それもそうですね……」


 本当なら国の軍隊とかが退治するべきなのに、ここでもやっぱり戦争の影響なのかもしれないな。

 って、陸でそれだけの被害があるなら、海上はもっと大変なんじゃない?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ