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その五
この映像を、ソ連は国内でまったく放送しなかった。
アメリカの小賢しい手口に、我が国の純粋な国民たちが騙されないための配慮である。
だから、アメリカ二回目の月面着陸を、ソ連の大衆は知らなかった。ゆえに、嘆き悲しんだり、怒ったりはしない。
しかし、共産党幹部たちは違う。
血相を変えて、
「この屈辱、ただでは済まさんぞ! よくもピロシキを・・・・・・ぐぬぬぬ!」
「だいたい、ピロシキしかメニューがないくせに、『ロシア料理店』を名乗るな! ボルシチは必須だろうが!」
こうなった以上、やるべきことは決まっていた。月面での借りは、月面で返す。アメリカよ、思い知るがいい。
「今度の月面着陸では、『映画スタジオ』と『ジーンズ販売店』をつくるぞ!」
「異議なし! アメリカ人どもの『オーマイガー』と悔しがる姿が、目に浮かぶようだ♪」
一方、米国も次の計画に取りかかろうとしていた。
「今度の月面着陸では、『ウオッカの自動販売機』と『キャビアの自動販売機』をつくるぞ!」
「異議なし! ロシア人どものヤケ酒する姿が、目に浮かぶようだ♪」




