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月面競争  作者:
4/15

その四

 半年後、人類は三度みたび月面に立つ。前回はソ連だったが、今回は米国だ。月面よ、我々は帰って来た。アイル・ビー・バック! じゃなかった、アイム・バック!


 アメリカの宇宙飛行士たちは、持ってきた資材をさっそく組み立てていく。


 やがて一軒のお店が完成した。


 ロシア料理の店である。


 といっても、メニューは一つだけ。宇宙食のピロシキだ。


 米国政府はさっそく、ソ連にホットラインをつなぐ。


「ハロー。親愛なる友人である君たちに、ちょっと教えておいた方がいいかなと思ってね」


 先ほど月面最初の『ロシア料理店』をつくったことを伝えると、


「ドル以外に、ルーブルも使えるから、ぜひとも利用して欲しい。一時間だけの限定営業だ。どこかの国みたいに、極寒の中で二時間も並ばなくていいぞ」


 大笑いしてからホットラインを切る。


 お次は、世界に向けての発表だ。各国の主要テレビ局や大手新聞社を集めて、大統領は演説する。


 さっきソ連にはわざと言い忘れたが、今回の「月面初」は『ロシア料理店』だけではない。


 宇宙飛行士たちが今頃組み立てているはずだ。じきに『マトリョーシカ工房』も完成する。


「アメリカは本日、『月面初』を二つも成し遂げた。『ロシア料理店』と『マトリョーシカ工房』だ」


 大統領は満面の笑みで語ると、すぐ近くに置いてあった小瓶の中身をグラスに注いで、


「それでは、コーラで乾杯♪」


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