その三
アメリカ国民が息をのむ中、いきなり映像が途切れて、ソ連の国家元首が登場する。
「本日、我が祖国は月面着陸を達成した。そして、月面最初の『ベースボールスタジアム』を建設した」
ベースボールスタジアムといっても、先ほど映っていたのは、月面に一塁、二塁、三塁、本塁のベースだけを置いた、貧相なものだ。
が、それでも「月面初」には変わりない。
この事実に、アメリカ国民はショックを受ける。
ベースボールと言えば、アメリカを象徴するスポーツの一つだ。
だからこそ、月面初の『ベースボールスタジアム』は、アメリカの手によるもの。そうであるべきなのに、ソ連に先を越されてしまうなんて・・・・・・。
さらに別の映像が差し込まれる。
今度は『ハンバーガーショップ』だ。月面に貧相な店が建っていて、その看板には『ハンバーガーショップ』とある。
再び映像が途切れて、ソ連の国家元首が現れた。
「ついでに、月面最初の『ハンバーガーショップ』もつくってみたよ。オープンして三〇分で閉店したがね。どうやら、ハンバーガーはあまり人気がないらしい」
満面の笑みで語ると、すぐ近くに置いてあった小瓶の中身をグラスに注いで、
「それでは、ウオッカで乾杯♪」
美味しそうに飲み干した。
衝撃的なニュースに、アメリカ国民は嘆き悲しんだ。ベースボールに続き、ハンバーガーまでも・・・・・・。
しかし、すぐに怒りへと変わる。
こうなったら、もう一度月面着陸を実行するのだ!




