その二
そして一九六九年。
ついに米国が成し遂げる。月への有人宇宙飛行だ。かぐや姫も驚きの大偉業である。
今度はソ連が衝撃を受けた。
ソ連の共産党幹部が同志諸君に訴える。
「月に人類が住むのも、遠い日のことではないだろう。ただし、それは我々ではない。アメリカ人だ。このままで、いいのかね?」
先を越されはしたものの、こちらも月への有人宇宙飛行を実行すべきだ。
なんたって、月は地球唯一の衛星。そこに米軍基地をつくられるようなことがあれば、祖国ソ連の宇宙開発において、致命傷になりかねない。
そうした宇宙における不利は、冷戦の行方にも、大きな影響を及ぼすだろう。米国側に寝返る国が、次々と出てくるかもしれない。
「この世界は、ソ連思いの優しい国ばかりではないのだ」
米国のちらつかせる不純なお金に目がくらむ、そんな国の方が圧倒的に多いはず。人類はまだ発展途上だ。
「しかし、逆に考えよう。もしも、ソ連軍の基地を月面につくることができれば・・・・・・」
そのためには何が何でも、月面着陸を実行する必要があった。
それで翌年、ソ連も成し遂げる。月への有人宇宙飛行だ。
ただし、これは世界初というわけではない。二番手だ。米国の世論に与える衝撃は、あまり期待できない。
だが、ソ連側は秘策を用意していた。
月面からの映像を、世界中に発信する。
そこに映っていたものに、米国中が震撼した。あれは、まさか・・・・・・。




