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海老フライの尻尾物語  作者: 紙彌成
冴えない尻尾
7/8

エビしんじょうに尻尾は入れるな。

 今日の弁当は何かがおかしい。いつも傍らで待っていてくれる、ケチャップさんがいない。

「なぜなんだ。」

悪い考えが頭をめぐる中、天ぷらになった時のことが頭をよぎる。

「もしかして、天ぷらになった時のことが、ばれたのだろうか。」

もしそうなら、私が浮気していると思われて、見捨てられてしまったのだろうか。いやいや、そんなはずはない、誰からそんなことを耳にするだろうか。あの場には、ケチャップと顔見知りのやつはいないはずだ。

彼女と会ったとき、衣をいつもと変えたのを見せたせいで、天ぷらとケチャップの組み合わせは、いくらなんでもナンセンスだろうと愛想を尽かされたのだろうか。


「よく思い出すんだ、俺。」

まったく思い出せん。事実関係を洗い出すしかない。あの日あったのは、塩さんと天つゆさんだけのはず、初めての、わが社のCM撮影だったから、スタッフは外部から集めたな。パセリに誰が来たか確認する。

「撮影には誰が来てたっけ。」

「確か4人きてましたよ。名簿はどうしたんですか。」

「それだ。スタッフの名簿が確か事務室においてあるはずだ。」

急いで事務室まで向かう。

パセリはどうしたのか不思議そうに見ている。

山積みの資料の中を泳ぐようにかき分け、資料を探した。

「あった。これだ、この名簿だ。」

いたのは、うどんに、そばと丼ごはんに、シャリの4人か。みんなプロだし、守秘義務を破るとは思えない。あれこれと考えていると。

「どうされました。社長何かお探しですか。」

声をかけてきたのはわが社のお局、ブラックペーパーさんだった。


胡椒さんと呼ぶと、ぶちきれられたこともある。そんな彼女が、私に話しかけてきたのは解せない。

ともかくあの日のことを聞いてみよう。

「ケチャップさんがわが社のCM撮影の資料を欲しがっているから探している。」

と鎌をかけたら。意外な反応を示した。

「ケチャップさんは、その件について知らないはずですが。」

私が、ぬか喜びをした直後に、ブラックペッパーさんは、私をしびれさせた。

「いや、マヨネーズさんに業者の選定を依頼したから、そこから知らされているかもしれませんね。」

私のにらんだ通り、マヨネーズに、胡椒のばばあが情報を流したのか。プランクトン1匹逃さない名探偵甲太と自分をほめてやりたい。しかし、彼女の誤解をまずは解かねば。続けざまに質問する。

「彼女がどうしているか知りませんか。」

「そういえば、彼女なら今日、クルマエビさんと会うみたいですよ。」

私の腰が曲がっていく、猫背を通り越して、エビ背になっている。


私は、飲まずにはいられなかった。家から近い居酒屋で、どんどん飲む。酔いも手伝って、アルバイトの、気の利いたエビしんじょうは、私の愚痴を聞いてくれた。

「彼女は男を見る目がない、よりによってCARと付き合うなんて。俺が女だったらあんな奴に尻尾は絶対に振らんがな。」

「私には、尻尾がないのでわかりませんが、その殻が固いところ、かっこいいです。」

アルバイトなのに味のしみてるこいつに慰められて、愚痴を一通り話し終わったら、

「おれは、あの不景気を何度も乗り越えて生きてきたんだ今度だって乗り越えて見せる。」

私の十八番の武勇伝、揚げ物同盟の話しをはじめたのだった。

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