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海老フライの尻尾物語  作者: 紙彌成
冴えない尻尾
5/8

海老フライの尻尾で鯛を釣る。

千島甲太こと、ブラックタイガーの尻尾が、 とうとう忌々しい、例の海老フライと決着をつける時がきた。車海老とか言う野郎を、堆肥に突き落とし、俺の完食をケチャップと祝いたい。

俺の遠縁に当たるらしいが、そんなことは、関係ない。あんなことがなければ、俺はやつを身内として、仲良くやっていきたかったが、仕方がない。


忘れもしない、新しい取引先の鯛の所に、ご挨拶に伺った時のことを。

「よくお前みたいな海老の尻尾が、鯛を釣れたな。」

ゲラゲラといつもの上品な笑いとは、全く違った下品な笑い方をした。きっと鯛は腐っていたのだろうと、言わんばかりに罵られたのものだから、負けじと言い返した。

「古来より、鯛は腐っても、鯛と言いますよね。あなたの所はさしずめ、火の車海老といった所でしょうか。」

後で思ったことだが、ひとの名前を馬鹿にするのは大人気なかった。これは、さすがに周りが仲裁に入り、お互いにことなきを得た。だが、私は、奴にどうしても勝ちたかった。その後、いつもの弁当にもどってから、 パセリはその話を周りから聞いて、驚きつつも、少し嬉しそうに、話し始めた。

「よく、言ってくれました。私たちが取引したかった、ヒラメとの商談を妨害してきた車海老たちを疎ましく、思っていたんですよ。」

怒られるかと覚悟していたのに、私は今弁当の中で一番美味しい味をだしているようだ。

「みんなに伝えておきたいことがある、大手の鯛と提携するにあたり、鯛主催のセレモニーに、内からも参加できることになった。」

大きな拍手がおきた。

「我が社に来たばかりの、じゃがいもとチキンも参加して下さい。」

新入りの顔も覚えてもらうチャンスだと思い、パセリと彼らと、私の4人が参加することにした。


セレモニー当日は、ポテトフライ、唐揚げ、海老フライのあぶらの乗った私たちと、色の良いパセリで、若者から絶大の支持を受け、セレモニーを盛り上げていく作戦だった。今までで一番大きな仕事かもしれない。そして気になったことがある。そう、なぜかあいつらも、鯛主催のお祝いの席に同席している。

「御機嫌よう、今日は私たちも海老フライとして、参加します。」

やばい、私たちに動揺が走った。なぜならば、相手は、お頭付きだ。勝負にならない気がした。よりによって、お頭付きなんだ。ド派手さに目を惹かれて、どんどん客は、車海老のフライをキラキラと輝くタルタルソースさんとともに皿に取っていく。だが私を救ったのは、子供たちだった。親が、硬いお頭は危ないからと、私を選んでくれたのだ。これで勝負は五分にまで持ち込まれたかに見えた。ところが私のところにケチャップさんが来てくれた。これで俺の勝ちだ。

「なぜ、こんなところに。」

私は、驚き、仕事を忘れ聞いてしまった。

「あなたがいると、マヨネーズさんから聞いたの。」

どうして、マヨネーズが知っているのだろうか。疑問に思った。

「マヨネーズさんがなぜ僕が、ここにいることを知っているの。」

彼女はやれやれという顔をして、説明してくれた。

「マヨネーズはタルタルソースのお姉さんなのよ。」

なるほど、どことなく似ているとは思っていたのだが、これで謎は解けた。

そうこうしている内に、時間も過ぎ、今日の勝負は私たちの勝ちだと確信した。大差はつけられなかったが、尻尾が大きいあいつらは、最初から、海老フライの尻尾を食べてもらう気はなかったようだ。だが磨きをかけてきた私は、残さず食べられていた。今日は、我が社の社運をかけたセレモニーは大成功で幕を閉じた。

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