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海老フライの尻尾物語  作者: 紙彌成
冴えない尻尾
2/8

海老フライの尻尾が俺を育てた。

後輩の檸檬の搾かすだった奴が、独立して逆に市場で力を振るうとは誰も思っていなかった。私も、彼にこんなあだ名ではなく、ちゃんとレモンジュースの称号をあたえておくんだった、と後悔したが、後輩に指図されるのは御免被るか。オマール海老も身を食べられたら、色が赤いだけの殻は、当然捨てられる。ロブスターは、外資系に行ったらしいとフライ仲間のブラックタイガーに教えてもらった。同じ、養殖場の仲間はやはり、頼りになるな。


俺は、パセリと友好を深めるために、お酒の力を借りることにした。奴はこの誘いを受け入れた。失恋の憂さ晴らしか、これからを考えるためなのかは予想できない。

「お前と俺でみんなを見返してやろう。」

鼻息荒く、海老のように跳ねまくった調子で、俺は、話す。

「おう、身近にいた、梅ちゃんにアプローチしてみます。」

今度は、大胆にも、檸檬の会社の受付嬢に目をつけるとは。恐れを知らん奴だ。しかし、その大胆かつシンプルな日の丸弁当に心奪われた。

俺たちの浮ついた気持ちが白米のようになって、上手くいくかもと、思ってしまった。その日は、酸っぱい話とほのかな甘みで夜が明けてしまった。


私は、今日から、食品リサイクルセンターに来ている。私みたいな残飯を海老フライの尻尾としてではなく、細かくし、タブレット状にして、飼料にされてしまうのではないかと思うほど、再就職の面接は辛かった。面接で私は、当たり障りのない評価のようだが、パセリの第一印象はすごく良いようだ。確かに、味と地味さに目をつぶれば、とても優れている。色どりに栄養価、殺菌作用に食物繊維まである。私には根性しかない。実は、副社長だった伊勢海老は根性と言うより、あっさりした味だった。ここは大きな差だろう。上手くアピールしてみよう。


「貴方の前の会社での評判はうちでも、聞こえていますよ。営業成績がうなぎのぼりなんて業界じゃ有名ですもんね。」

しかし、私たちは、絶望を見ることになった。

「我が社にはあなた方を雇うほどの力がありません。営業成績を上げる前に、作業員が足りてないんですよ。」と言うことで二人ともまたただの生ゴミに戻ってしまった。いつになったら私たちが社会で役に立つようになるのだろう。


俺たちの弁当の色どりはどんどん暗くなっていってないか。そんなことを考えていたら。なんと噂の檸檬が現れた。

「先輩いま仕事何されてますか。」

檸檬ごときに遅れをとるとは不覚と思ったが、一応、爽やかなレモンに免じて答えてやるか。

「正直、生ゴミだ。」

レモンの種みたいな目をして

「え、なんで僕に言ってくれないんですか。」

と奴は答えた。そういえば、奴は前の会社に入る前は酸化物扱いだったな。俺との相性は最高の海老フライとレモンのコンビだったが。

こいつのことなど頭から離れていたことを誤魔化しつつ

「俺は、先輩面をしたかった。」

と強がった。

するとむせたように、檸檬が、

「そんな先輩に、俺は育てて貰ったんです。」

と声がでた。

「最後の食べカスでも何かの役に立つ。そう教えてくれたのは、貴方ではないですか。」

こんなセリフを聞いたら俺泣いちゃうじゃないか。

俺も、尻尾のトゲが丸くなったようだ。

「ありがとう。」

俺は、レモンジュースに、心から礼を言った。

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