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残りの連休を目一杯休養に費やして、連休明けからは普通に登校をした。
「あ。おはよう」
「おはようー品川君!なんか大変だったみたいだねー大丈夫?」
隣の席の折井におそるおそる挨拶をすると、連休前と同じく明るい返事が返ってきた。しかし、その言葉の裏を読むと「余計な事言うんじゃねーぞクズ」という事だろう。
俺は空気の読める男なので、こう答える。
「そうなんだよねー猫に引っかかってさー」
「猫に引っかかったの!?」
折井はケラケラと、本当に楽しそうに笑う。
かわいい。
まるで連休中に起きた事は、俺が入院していたときに見た夢のようだ。
折井は相変わらず、明るくて俺にも分け隔てなく話してくれるいい奴だった。
「おりーちゃんおはよー。どうしたの?」
「品川君が、猫に引っかかったって、」
最後まで言わず、折井は大笑いした。
「猫に引っかかった?何それ?」
折井の友達が俺に聞いてくる。俺は鳥羽が話した作り話を聞かせてやる事にした。
「まじそれ!?ヤバいね!」
俺の周りに人だかりが出来た。
真面目に心配してくれる人から、馬鹿にする奴まで様々だ。
チャイムが鳴るまでの数分で俺の所行はクラス中に行き渡ってしまった。おまけに連休中に旅行に行った人からは色んなお土産をもらってしまった。
それもこれも、全部折井のおかげだ。
俺は折井を見た。
折井は親指を突き立てて歯を見せて笑った。
「もうけたね!」
「折井のおかげだよ」
「じゃああたしにもちょっと頂戴!」
折井はそういうとチョコレートを机の上から掠めとった。
「あ、やばい」
担任が入ってきたので、折井はあわててチョコレートを机の中に隠す。俺も習った。
「えー、連休明けですが、皆さん気を抜かないように。はしゃぎすぎて怪我をするなど言語道断です」
クラス中の視線が俺に注がれた。クスクス笑いが聞こえる。俺は体を小さくした。
「それから、今日は転校生がいます。珍しい時期ですが、皆さん仲良くするように」
クスクス笑いがざわめきに変わった。
「こんな時期になんて珍しいね。何かあったのかな?」
折井がこそこそと話しかけてきた。
「イジメとかじゃん?」
俺が適当に帰すと、折井が渋い顔をする。
「じゃあ、八景島さん、皆さんに挨拶を」
担任に促されて入ってきた転校生を見て、俺も折井も言葉を失った。
「今日からこのクラスでお世話になります。八景島天子です。仙台から来ました。よろしくお願いします」
転校生は、どう見てもセーラー服を着たヘヴンさんだった。
「デウス、あたしも愛しているわ」
俺の横を通り過ぎる時、彼女がそうささやくように言った気がした。




