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うちに着くと、ヘヴンさんは当たり前のように俺のジャージに着替えた。
「”組織”の男、昔学校の近くでナンパされた人かもしれないわ。その人もスーツで、背が高くて変な人だった」
「ナンパ!?」
ヘヴンさんは小さく頷いた。
「ナンパっていうか『君に興味がある、我々とともにこないか、希望の未来を保証しよう』みたいなことを言われたの」
「それってナンパより宗教の勧誘みたいじゃん」
「でもあたしだけで、他の人には声をかけていなかったわ。ソウルメイトについて知ってるかと思って話を聞いていたのだけど、“組織”の――そのときは“組織”だとは分からなかったんだけど、本拠地に連れ込まれそうになったからあわてて帰ってきたのよ」
「なんという……危険な目にあったんでござるな……」
「で、多分なんだけど、それから“組織”から付きまとわれ始めたような気がするの」
「その話の信憑性はともかくとして、一つ気になったことがあるんだ」
「なんでござるか?」
「まさか、”組織”に心当たりが!?」
「ヘヴンさんさ――」二人が固唾をのんで俺を見つめる。
「服が派手すぎるから目立つんじゃない?この辺ではそんな服着てる人いないし、出歩いてたらすぐに見つかっちゃうよ」
「え?」
「ん?」
二人はあっけにとられた顔をした。
「でも、あの服しかないわ。……そんなに長居するつもりでもなかったし」
後半はごにょごにょとしていて聞き取れなかった。
「そのジャージでいいでござるよ。拙者も着ているし、目立たないでござる」
いや、逆の意味で目立っていると思う。
「嫌よ!野暮ったい!」
「ジャージはないにしてもその辺で買おうぜ。ユニクロとか」
「ちょっと行けばジャスコもあるでござるよ」
「いやよそんな服を着たら精神が汚れるわ」
俺と鳥羽は、言葉を発せられなくなった。これも精神が汚れているせいなのだろうか。
「そうだ!渋谷にいきましょうよ!近いんでしょ?一回行ってみたかったの」
ヘヴンさんの有無を言わさぬ一声で、翌日は渋谷観光をすることになった。




