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コンビニには、何人か先客がいた。俺たちが入ると、立ち読みをする男、お菓子を選ぶカップル、弁当を買う大学生くらいの男、みんながみんなヘヴンさんの姿を見た。俺がそっちを向くとあわてて目をそらした。怪しい。もしかしたらストーカーの仲間かもしれない。
「あの、すみませんお尋ねしたいことがしたいことが」
俺が店内にいる客を睨みつけている間に、鳥羽が普通の言葉でレジ係に話しかけていた。後ろにはヘヴンさんがくっついている。あっちはあいつらに任せておこう。
俺は店内をゆっくりと一周して客の姿を確認した。立ち読みしているやつは明らかに部屋着で、足下はビーチサンダルだった。遠方から来た人ではないだろう。こいつは容疑者リストから外せるな。
他の人もじっくり確認しようと思ったが、弁当の男はもう会計を済ませて自動ドアをくぐっていた。カップルも鳥羽達が聞き込みをしているレジの、隣のレジで会計中だ。
俺がヘヴンさんの横に着いた時、カップルはいちゃいちゃしながら店の外に出て行った。まあ、カップルが犯人という可能性は低いだろう。俺は二人の背中を見送った。
「ああ、いたいた。なんか機械の前でずーっと立ってる人がいたわ」
コンビニの店員は、夕方の時間にしては珍しくおばちゃんだった。
「どんな人でしたか?」
鳥羽が聞くと、おばちゃんはいぶかしげな表情を見せる。
「その人がどうかしたの?知り合い?」
「あ、いや……その……」
「知り合いだと思うんですけど。さっきプリントされた写真渡されて、犯人当てゲームみたいなのを友達の間でやっていて、分かんないんですよねー」
鳥羽が口ごもったので、俺は適当なことを言った。
「まあ、そうなのねー。楽しいのはいいことだけど、店員に迷惑かけるのはちょっとねー。夏休みではしゃいじゃうのは分かるんだけどね。次からはもっと考えてやりなさい。今日はあたしが入っててよかったわねー。こう言うのに寛大だから、あたし」
「はあ」
「で、どんな人でしたか」
「そうねえ。背の高い人だったわよ。あなたくらいあったかしらねえ」と、鳥羽を指差した。「ねえ、オリーちゃん?」
おばちゃんは振り返り、隣のレジの女の人に声をかけた。この人、昼に来たときにもいた人だ。
「え?」
「ほら、さっきずっとあの機械の前にいた人よ」
「え、ああ。あんま覚えてないけど、背の高いスーツ着た人でしたね」
「それ以外に何か特徴とかはありましたか?」
「特に無いわねーオリーちゃんは?」
「あたしも特に無いですねー」
オリーちゃんと呼ばれたバイトは、面倒くさそうな顔で答えた。
「そうですか、ありがとうございます」
俺は二人に一礼をすると、二人をコンビニから追い出すように出た。
コンビニから出ると、むわっとした空気に包まれた。
「ちょっとデウス、どうしたのよ?」
「デウス殿、何を急いでいるでござるか?」
「え?いや?なんとなくさ」
俺は空を見上げた。大きな積乱雲が見える。一雨来るのだろうか。
「雨振りそうだし、それにもう話は聞き終わったし、いいだろ?あまり長くいて不審がられても困るしさ」
「それはそうでござるが……」
「それともなんか買うものあった?」
「それよりヘヴン殿、あの容姿の男に心当たりはあるでござるか?」
鳥羽は俺の質問に答えずに、ヘヴンさんに聞いた。
「ええ、なんとなく彼じゃないかと……」
「あ、ヘヴンさん」
俺はその言葉を遮った。
「ここじゃ誰に話を聞かれているか分からないし、うちに帰ってから話そう」




