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ep17 施術者見習いとルミカの意外な才能

朝、開店前の「メンズエステ春香」。

四人分の制服が並ぶ光景に、春香は思わず感慨深くなる。


「私もついに店長って感じじゃん…!」


一人で始めた小さな店が、今ではルミカに加え、新人が2人もいる。

人数も増えたし、そろそろ楽になるかと思いきや。


「はぁぁぁぁぁぁ…!」


春香は営業終了後、控え室でソファに沈み込んだ。

一緒に座っているルミカも、少し苦笑いを浮かべている。


「新人二人、可愛いし素直だけど…」

「まだまだ手がかかりますね…」


ルミカが気遣うように言う。


「私、もうちょい楽できると思ってたんだけどなぁ…」


そう、現実はそんなに甘くない。

むしろ、新人教育で忙しさは倍増していた。


爆乳おっとり系のシルビア。

20歳。元ニートで読書が趣味という彼女は、施術に入ると優しい手つきで客の体を包み込む。

そこは素質がある。だが。


「え〜っと、次は…」

「シルビア、もう30分経ってるから!」

「あら、そうでした?」


とにかく遅い。

おっとり具合が災いして、1回の施術に時間がかかりすぎるのだ。


「時間内に収める!これ、鉄則!」

「は〜い…」


ほんわか笑顔で返事するものの、その後も時間ギリギリになることが多い。


一方、エルフのアルム。

18歳で、とにかく可愛らしいスタイル抜群のドジっ子。

人懐っこく元気いっぱいなのだが。


「きゃっ!…あわわ、ごめんなさい!」

「アルム!?オイルぶちまけるな!」

「あぁ…足滑らせちゃって…」


オイルを手に取るたび、床に垂らす。

客の足にぶつかる。

ついには、自分が滑って転ぶ。


「うわー…おっちょこちょい過ぎる…」


しかも、そんな様子を見たおじさん客が

「いいよいいよ、可愛いね〜」

と笑って許してしまうものだから、ますますタチが悪い。


「教えるって、難しいなぁ…」


春香は、ふと天井を仰いでつぶやいた。

自分は感覚で覚えてきた部分も多い。

それを言葉で伝えるのが、こんなに難しいとは思わなかった。


「私、指導力ないのかも…」


ぽつりとこぼしたその時――。


「ん?」


ルミカが、控え室でシルビアとアルムに指導していた。

春香が言ったことを、彼女なりに噛み砕いて教えている。


「シルビアさん、こうやって薬指と小指に引っ掛けて親指をテコの原理で押すと、疲れにくいですよ」

「あら、ほんとですね〜」

「アルムちゃん、オイルはこう持つと手から垂れにくいですよ!」

「なるほど…!」


「おおっ…?」


春香は少し驚いた。

ルミカは、春香が教えたことをしっかり吸収している。

そして、それを後輩に教えられるほど成長していた。


「…お前、すごいな」

「え?なんですか、急に」

「いや、頼もしいなって思ってさ」

「えへへ…私、先輩ですから!」


春香は思う。

ルミカがいてくれて、本当に良かった。


「今日も時間内に終われました!」

「オイル、こぼさずできました!」


シルビアとアルムが、それぞれ少しだけ自信を持った表情を見せる。


「いいじゃん!」

「少しずつ慣れてきたね!」


春香が笑顔で褒めると、二人も嬉しそうに笑った。


「…まぁ、新人入れて楽になると思ったけど…」

「逆に忙しくなってますね」


春香とルミカは苦笑いしつつも、少しだけ誇らしさを感じていた。


仲間が増えた分、大変だけど。

一緒に店を回していく。

そのことが、ちょっと楽しくなってきた。


「よし、明日も頑張るか!」


春香はそう言って、4人体制の「メンズエステ春香」に明日も光が差すことを願うのだった

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