ep12 電撃コンビ誕生!?低周波で根本改善
「春香さーん、次の人いいですかー?」
ルミカの元気な声が響く。
「はーい、どうぞー!」
(あぁ、受付がいてくれるって、こんなに助かるんだな……)
私は今日も太陽の手を振るいながら、「メンズエステ春香」を営業中である。
助手ルミカ加入から数日。
慣れないながらも、受付や掃除、軽い施術補助なんかもやってくれて、私の負担はだいぶ減った。
……とはいえ、まだまだ忙しい。
施術、施術、施術。
今日も春香は手をすり減らし、腰を痛めながら働いていた。
「いやぁ、助かるわ春香さん! 魔法治療で楽になるけど、最近また腰が重くてさぁ」
そう言ってベッドから降りるのは、常連の冒険者シルバ。
「俺もだよ。肩も腰も、すぐ元に戻るんだよなー」
他にも同じような声がチラホラ。
(あー、わかる……)
魔法治癒は万能ってわけじゃないらしい。
痛みは一時的に取れるけど、根本的な体の歪みとか、疲労の蓄積までは治らない。
(それって、現代日本の肩こり腰痛と一緒じゃん……)
ふと、整骨院で受けた低周波治療を思い出す。
(ピリピリ電気流して、筋肉ほぐしてたなぁ……)
ちらっと受付に目を向ける。
「ん?」
ルミカがこちらを見て首を傾げた。
(……電気魔法あるじゃん)
頭の中でピコンと音が鳴る。
「ルミカ、ちょっとこっち来て」
「はい?」
「電気、出せる?」
「え? ピリピリってやつですか?」
「そう、それ」
「出せますけど……」
「ちょっと私に試して」
「えっ!? 春香さんに!?」
「大丈夫、大丈夫」
ビリッ!
「痛っ!!」
「す、すみません!」
「いや、いいんだ、いいんだ……あぁ、この感じ……」
まさに低周波治療器の感触。
ちょっと強めだったけど、これ、使えるんじゃないか?
「ルミカ、これで施術やってみよう」
「えぇっ!?」
「低周波治療ってやつだよ。知らないだろうけど」
「ていしゅうは……?」
「まぁ名前は置いといて。電気で筋肉ほぐして、その後は私がやる。ダブル施術だ!」
「おぉ……」
冒険者シルバがベットで少しびびっている。
「え、何するんですか?」
「新メニューだ。騙されたと思って、力抜いてみ?」
「お、おう」
ルミカが電気をピリピリ流す。
「あっ、うぉっ!?」
「大丈夫ですか!? 痛くないですか!?」
「お、おぉ……変な感じだけど、あったかくなってくる……」
しばらく電気を流した後、私が仕上げにオイルマッサージで筋肉を流す。
「うぉぉぉ!? 軽い! なんだこれ!」
シルバ、驚きの声を上げる。
(きたこれ!)
「お、おいおい、俺も頼む!」
「俺も!」
次々と常連冒険者たちが興味津々で列を作る。
そこから先はもう、ルミカと私のコンビ施術が止まらなかった。
電気ピリピリ、太陽の手で流す。
電気ピリピリ、オイルで流す。
「春香さん、ヤバいっすね、これ! 本当に体が根本から楽になる!」
「太陽魔法士様と電撃魔法士様の最強タッグだ!」
いつの間にか、私たちはそう呼ばれ始めた。
(……これもう整骨院じゃね?)
オイルマッサージから始まったはずなのに、着実に異世界整骨院サロンへと進化しつつある。
「春香さん、なんか……すごいですね」
施術後、ルミカが笑う。
「まぁね!」
ちょっと誇らしい気持ちになりながら、私は店の看板を眺めた。
『メンズエステ春香』
そろそろ看板、変えた方がいいのかな……
そんなことを思いながら、今日も店は繁盛していた。




