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【2巻発売9/2】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)年末年始も新刊!
第五章

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885.口留めしないと駄々洩れ

 帰宅したヘンリック様に、ローズの容体を伝える。もう心配いらないこと、でも触れ合うのは数日先になること。医師の判断を支持すると決まり、ヘンリック様は扉の前からローズに手を振った。


 ここで寂しがって泣くか、ヘンリック様へ走り寄ろうとする、私やマーサはそう考えたのよ。いつもヘンリック様にべったりのローズは、きょとんとした顔で手を振り返した。暴れることなく、にこっと笑う。大人になったと表現するのもおかしいけれど、どうしたのかしらね。


 エルヴィンにしっかり抱っこされたローズは、とても機嫌が良かった。もしかしてお気に入りのお兄ちゃんがいるから、お父様は不要とか? わからないわ。同じく理解できず「なぜ」と呟いて固まったのが、ヘンリック様だった。


 お父様と泣いて手を伸ばす、そう思っていたのでしょうね。立ち尽くすヘンリック様の足元から、レオンが顔を覗かせて、ひらひらと手を振った。身を乗り出すようにして、ローズがお返しのお手振りをする。腕ごと振り回す勢いに、ヘンリック様がさらに凹んだ。


 レオンへの対応と違う。わかりやすく落ち込む夫の背を叩き、手を繋いだレオンを引っ張って病室を離れた。ローズがご機嫌で過ごしているならいいじゃないの。そう言い聞かせて食堂へ向かった。着替えるため、ヘンリック様は途中で分かれる。


「お父様、へんだね」


「そうね。ローズが治ったんですもの。抱っこしたかったのだと思うわ。代わりにレオンがお膝に乗る?」


 こてりと首を傾けて、レオンは考え込んだ。まさか、嫌と言われちゃうのかしら? 心配したけれど、レオンは「いいよ」と頷いた。


「ぼくね、お父様のおひじゃ……のる」


「まあ、さすがレオンね。優しくて立派で可愛いわ」


 ふふんと胸を反らすレオンは、繋いだ手を揺らしながら歩いた。食堂へ着くと、いつの間にか先回りしたユリアンがいる。右手の指二本に包帯が巻かれていた。


「大丈夫なの?」


「うん、明後日にはピアノ弾けそう」


 何度もケガをした経験があるユリアンは、自己判断でそう口にした。動かせるようになるのに二日ね。なら痛みが取れるのはもう少し先でしょう。無理をしないよう話していると、着替えたヘンリック様が合流した。まだ項垂れている。


「レオン、お父様を元気にしてあげて」


「あい! お父様、ぼくをおひじゃにのして」


 惜しいわ。乗せて……が崩れている。ぱっと顔を上げたヘンリック様が私を見て、レオンを見る。伸ばされた手に近づいて、小さな息子を抱き上げた。私を真似て、だんだんと育児スキルが上達する夫は、一人称を言い直す。子どもには伝わりやすいわね。


「……お父様でいいのか?」


「うん。お母様が、言ったから」


 ああ、そうだったわ。子どもは口留めしないと話してしまうのよ。失敗したと思ったのに、ヘンリック様は「嬉しいな」と明るく笑った。

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― 新着の感想 ―
気遣いと愛情がダダ漏れ!w ローズちゃんは、お兄さん(エルヴィンさん)に抱っこされてるから今はお父様(ヘンリックさん)いなくても平気!だったのかもしれないですねw
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