723.謝罪と仲直りで、お散歩まで
反省した様子で、ローズはレオンの前に移動する。おむつにスカート姿なのだけれど、ずるずると尻を擦って近づいた。絵の邪魔をされたレオンは、まるで自分が謝る側のような表情をしている。悲しそうな感じだわ。謝るのはローズなのに。
「ごめ、ちゃ……にぃ、ろじぃ、や?」
謝りながら、自分を嫌いになったかと尋ねる。叱られた経験がよほど堪えたのね。しょんぼり小さくなりながら、ちらちらとレオンを見た。許していいか確認するレオンの視線に、任せると意味を込めて頷いた。
「ろじぃ、いいよ。嫌いなんない」
ぱっと顔を上げ、ローズは驚いたようにレオンを見つめる。伸ばした小さな手が、ローズの頭を撫でた。妹を許して撫でる兄、眼福だわ。二人とも頑張ったわね。
ローズじゃないけれど、私も膝を擦って近づいた。二人を纏めてぎゅっと抱きしめる。もう少し大きくなったら、ここにディも加わる。もちろん、元気になったラルフも……あら、私の腕が足りなくなりそうだわ。そうしたら、ヘンリック様の手も借りましょう。
「二人とも手と顔を洗って。ラルフのお見舞いに行きましょうか」
「あい!」
「うん」
先に立ったレオンの手に掴まり、ローズが「よっちょ」と立ち上がる。そのまま手を繋いで歩き、イルゼの用意した濡らしタオルで顔と手を拭いた。きちんと拭けたレオンと違い、ローズはイルゼの手を借りて顔を綺麗にする。
頬や首筋にも絵の具が飛んでいたのよ。着替えさせるのは、迷ってやめた。この後で家庭菜園へ向かう予定なので、また汚れてしまう。ヘンリック様を迎える夕方までに綺麗にしたら間に合うわ。
レオンと私が手を繋ぎ、ローズは迷ってレオンの手を握った。私がまた叱ると思ったのかしら? ふふっと笑い、仲良く廊下を歩く。ラルフの部屋でノックして、飛び込んだのは子供達が先ね。勢いよくベッドまで走り、起き上がっていたラルフの横にばふっと乗り上げた。
顔から突っ込んだレオンと、真似しようとして身長が届かないローズ。明暗が分かれた二人だけれど、私が後ろからローズの尻を押し上げた。両足がじたばた動いて、靴が片方脱げる。これは……左足みたい。靴を拾いながら、ベッドサイドの椅子へ腰かけた。
「体調はどう? 食べたいものとかある?」
微笑んで尋ねる間にも、レオンはベッドの上にぺたんと尻を落として座った。正座の両足を外へ崩したような姿勢よ。関節が柔らかいみたい。ローズは真似しようとして、諦めた。彼女は体が硬いのね。
「そろそろ、外へ出たいです」
困ったように笑う大人びた所作に、少しだけ考える。離れの家庭菜園までなら、大丈夫かも。医師に確認して許可が出たら、一緒に散歩しましょう。




