表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍重版】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
第五章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

832/839

720.観葉植物を枯らすタイプ

「奥様は、妙なことをお考えになるんですなぁ」


 驚いた顔をしてハンスが大きな声を出す。温室で作業していると聞いて出向いたのよ。腕まくりして作業する二人は、腕だけでなく頬や首筋にも泥がついていた。たぶん汗をかいて擦ったのね。


「おい、言葉を選べ。すんません……初めてでも育ちやすい苗、っすか」


 ティムとハンスの親子は、やっぱり敬語が苦手ね。これは私も腹が立たないからいいの。ただ、言葉を知らないだけだから、敬意は感じるわ。外のお貴族様だと怒り出す方もおられるかしら? 普段は貴族と接しない職種だから、使わない言葉なんて覚えないでしょう。


 同行したイルゼが器用に片方の眉尻を上げるけれど、首を横に振ってやめてもらう。叱られたら、次から私達に話をしてくれなくなるわ。知らない言葉は使えない。覚える必要も機会もなかった。大人になって叱られながら覚えさせても、きっと身に付かないわ。


 植物に関する知識と、その手に刻まれた技術が大事なの。野菜の皮むきをする下男や洗濯を担当する下女でも同じよ。貴族に接しない仕事なら、本人が知っている限りの敬意を示してくれたらいい。


 もしお客様に触れる機会があって失礼を働いたなら、それは女主人の失態よ。そんな場所に、相応しくない者を配置した私が悪い、それが責任者だと思う。


「ええ、綺麗な花が咲いたり、美味しい実が収穫出来たり。そんな苗がいいわ」


「えっとぉ、育てんのは貴族様で?」


「そうね。貴族家の夫人や子女になるわ」


 肯定すると、うーんと悩み始めた。私は前世で観葉植物を全滅させるタイプだったの。育てるのが上手な友人の部屋から、丈夫だと太鼓判を押された植物を持ち帰り……十日ほどで枯れてしまった。水と肥料の上げすぎだったのよね。


 その次のチャレンジは、クーラーの風で枯れた。懲りずに買ってきた花の鉢は、可哀想に三日で萎れる。最後に諦め半分でサボテンを買って……あら、記憶にないわ。サボテンだから、大丈夫だったと思うけれど。さすがに、サボテンは貴族家に差し入れできないわね。


 ここでは庭師が仕事をしてくれるから、とても助かっている。実は貧乏伯爵家時代の家庭菜園は、エルヴィンの管理だったの。あの子が育てるとトマトも赤くて甘いし、茄子も大量に取れたわ。物語で読む「緑の手」は彼のことね。


「ありゃどうだ?」


「肥料が難しいだろ。こっちは?」


「水切れが命取りだぞ」


 ひそひそと相談し、ティムがくるりとこちらを向いた。


「花は咲かねえんすが、簡単に収穫できる野菜は……ありやす」


「ただ、お貴族様向きじゃねえんで」


 二人が言い淀むのを聞き出した結果、懐かしい響きが耳に届く。『はつか大根』あれって、簡単な植物なの? ティムによれば「飽きる前に結果のできる野菜」というカテゴリーみたいね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
観賞植物ならジャガイモとか? 育て易いかは知らないけど、今でも花を愛でる種類があるのよね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ