40.(ランドルフ)公爵家らしくない
自分で内緒にしてくれと言ったのに、あっさりとレオンはばらした。自分で言うのはいいのかよ、と苦笑いする。「様」をつけて呼ばないのも慣れたけど、こういうところが貴族らしくないよな。貴族の子は傲慢で我が儘な子が多かった。俺だってそうだったし、オイゲンも同じだろう。
その意味で分類すると、レオンは珍しいタイプだった。そういや、ユリアンやエルヴィンも同じような感じかも。もしかして、何か秘訣があるのかな? ユリアーナも貴族令嬢らしく淑女教育を受けているが、根っこの部分はユリアン達と同じだ。
貴族令嬢特有のねちっこい絡み方をしないし、オイゲンに対しても穏やかに接していた。こういう雰囲気って、誰かに似ている気がする。食事が終わる頃には、誰に似ているかわかった。公爵夫人だ! 優しい人と暮らせば、穏やかになるのか?
それとも真似して振る舞うから、ユリアーナは似てきたのかも。
「ランドルフ、今日はありがとう。レオンと遊んでくれて助かるわ」
「いいえ。俺も楽しかったので」
食後に絨毯の部屋に行くのも、慣れるまでは違和感がすごかった。ベッドの中以外で、靴を脱ぐんだぞ? それも絨毯の上を寝転がったり、直接座ったり。公爵夫人やレオンだけならともかく、公爵閣下まで一緒だ。おかしいだろと思うが、母上に話したら「素敵ね、我が家でも導入しましょう」だってさ。
兄上や父上が驚いているだろうな。でも母上が最強だから、押し切っちゃうと思う。
絨毯の上で靴を脱ぐことに慣れたら、庭に敷いた絨毯でも脱ごうとしてしまう。自室の柔らかなラグも、ついつい裸足で歩いたし。いや、起きてすぐだったから……って、なぜ誰も聞いてないのに言い訳するんだよ。
「勉強はどのくらい進んだ? 教えてくれ」
公爵閣下の言葉に、レオンが指折り数えて話す。忘れないようにする工夫は見事だが、一つ抜けたぞ。後ろからそっと耳打ちする。
「弓の鍛錬が抜けてる」
「ゆみぃ? したの!」
耳打ちされたら、さも自分で思い出したように話すと思った。なのに、レオンはけろりと教えられたと示し、俺を見て笑う。こんなんじゃ、将来、どっかの貴族に騙されちゃうだろ。公爵になるのに、どうするんだよ。兄上なんて、その意味ではしっかりしているし。
まあ、年齢が五倍以上違うけどさ。レオンもしっかりした公爵になれるだろうか。その隣に俺がいたら最高だな。兄上を置いて、俺に夢を変えさせたんだ。頼んだぞ、レオン!




