39-3.(レオン)男同士の内緒だったの
ランドルフも来て、お家はまた賑やかになった。ずっと僕と一緒にいる「側近」になるんだって。お勉強も鍛錬も、一緒なんだ。
「おうち、かえん、ない?」
「たまに帰るけど、普段はこの屋敷にいるよ。レオン様の側近だからね」
お母様に「レオン」と呼ぶよう言われて、ランドルフは悩んだ。でも僕もそう呼んでほしい。伝えたら、笑って頷いてくれる。優しいお兄さんだ。僕もお兄ちゃんになるから、お揃いだった。
「らん、どぉふ」
「言いづらそうだな。うーん、ラルフってのはどうだ?」
「らうふ!」
こっちのが言いやすい。ランドルフも「少ししたら上手に言えるだろ」と笑った。今日からラルフと呼ぶね。お絵描きを一緒にしたら、僕より上手だね。粘土や鍛錬も! 何度も凄いと言っていたら、ラルフが首を横に振った。
「俺のほうが年上だからだ。同じ年齢の時のレオンのほうが上手だと思うぞ」
難しくてわからない。お母様に尋ねたら、違う言葉にしてくれた。ロジィが立てたのは一歳と二か月で、僕は一歳で立ったみたい。あの頃はお母様がいなくて、イルゼが知ってたの。フランクも覚えているって。
僕のほうが立つのが早かった。お兄ちゃんだから? と聞いたら、違うみたい。人によって違うから、単純に比べても意味がない? ラルフが凄いのは同じだよ。難しいのはわかんないけど、今がちゃんと凄いんだもん。
「レオンの考え方は素敵ね」
お母様は良く「素敵」って言う。僕は「凄い」が多い。お父様は……なんだろう? 今度教えてもらうとして、これから芝生で遊ぶんだ。
迎えに来たラルフと手を繋ぎ、芝生の上に乗る。広くて緑でちくちくして……走りまわった。騎士の人が屋根を作ったから、その周りも走る。疲れたら屋根の下にある絨毯に座った。靴を脱ごうとしたら、足を外へ出して座れば、絨毯を踏まないの! 凄い、びっくりした!
やってみたら、ごろごろするのに邪魔で……結局脱いだけど。
「あ、ねこ」
アイと同じに大きくて、でも模様が違う猫がいる。追いかけたら、猫が逃げた。僕がさらに走って追う後ろを、ラルフがついてきた。猫と僕とラルフの順番だよ。お庭を走り抜けて、花が咲いているところを通って、その先の林に行っちゃった。
「今の猫は?」
「ちぁう、こ」
うちの猫じゃないけど、また遊びに来てくれるかな。お母様が猫を追い回したらダメよと言っていたのを思い出し、僕は慌てた。理由を聞かれて、ラルフに説明する。少し考えた後、ラルフが悪い顔で笑った。
「内緒にしよう」
「でも……」
「男同士の約束だ。破ったらだめだぞ」
男同士……お母様は女の人だから、別。それならいいのかな? 僕は「うん」と頷いた。でもご飯の時に話しちゃって、追いかけたらダメよと注意されちゃった。ラルフが変な顔していたのを見て、口を手で押さえたけど……もう遅かったの。ごめんなさい、ラルフ。




