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【2巻発売9/2】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)年末年始も新刊!
第五章

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902.驚くべき刺繍の腕前

 刺繍の模様は家の紋章でいいみたい。よくわからないけれど、黒に黒では見えないと思う。まあ、ユリアーナが出来るというのだから、平気なのかしらね。


「ろじぃに、あげる」


 自分のマスクを指差してレオンが騒ぐ。慌ててユリアーナはもう一つのマスクを取り出した。やや小さくてピンクにレースがひらひら。これはローズの分でしょうね。見せてもらうと、綺麗に重ねたレースが豪華ね。


 これだけヒダがあると……ウィルスの侵入をすっごい妨害しそうよ? 普通のマスクより効果が高いかも! ただ、洗うのも大変そうね。手間暇を考えて普通のマスクを用意するのは、貧乏伯爵家の考え方。今の私は公爵夫人だから、もう少し裕福な考え方をしないと。


 手洗いする使用人に仕事を増やしてあげる。そう考えたら、あまり罪悪感がないのよ。彼女達が美味しい食事を食べて、たっぷり眠って、家族にも仕送りできる。そんな豊かな生活を与えられるなら、少し汚すくらい気にしないのが公爵夫人らしいわ。ただ、私には難しいの。


 やっぱり手間を考えてしまう。


「お姉様のマスクはこれよ」


「あら、ありがとう」


 受け取ったのは、やはりレースが使われている……けれど? 広げてみると、レースをくるりと丸めて、小花のように加工してあった。それが右上に一つ、左下に三つ。バランス良く配置されて可愛い感じに仕上がっている。


「ユリアーナの分ではないの?」


 間違えたんじゃないかしら? そう思って聞いたら、笑いながら「お姉様だって、まだ令嬢で通りそうな年齢なのよ」と言われた。いいえ、無理でしょう。子どもを二人も産んで、三人も育てているのよ? 微笑んで誤魔化した。


「私はね、これ」


 ユリアーナが自分用に刺繍したマスクは、ちょっと凄かった。全体に刺繍が施されているの。まるで花の絵画のようだけれど、よく見れば薔薇や百合は使われていない。オレガノやラベンダーなど馴染みのハーブ類と野草ばかり。


「凄いわね。見ただけで花の名前がわかるわ」


 緻密な刺繍に驚いていると、ユリアーナはもう一枚取り出した。そちらはまだ途中までしか刺繍されていない。先ほど手を止めた作品だった。薔薇を中心に刺繍され、周囲には下絵がある。これも仕上がったら美しいマスクになりそう。


「お茶会で会うから、ヴェルにあげようと思って」


 他にも紋章入りを作ると張り切っている。頑張りすぎないよう、途中で邪魔するのが私の仕事になりそうね。ああ、でも専属侍女のアンネがいるから……よく頼んでおきましょうか。

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  ☆ 新刊 ☆  コミカライズもスタート
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― 新着の感想 ―
精神年齢はゴホンゴホンだろうけど実年齢は21~22あたり?だろうから令嬢の範囲内ではあるな。
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