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【2巻発売9/2】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)年末年始も新刊!
第五章

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891.小さな騎士様は英雄だから

 階段を上り切ると、レオンはぺたんと座った。普段しない運動だから、使わない場所の筋肉が刺激されたのね。明日は筋肉痛かもしれないわ。


「よく頑張ったわね、さすが小さな騎士様。とても頼りになるわ」


「うん、ぼく……たよらり(・)る」


 これは「頼られる」? それとも「頼りになる」かしら? 両方混じった感じね。頷いたら嬉しそうに笑った。後ろで万が一に備えていたユリアンも、ほっとした顔で手摺りに寄りかかる。


「ユリアン、お行儀悪いわ。それに危険よ?」


「大丈夫、リア姉が管理する屋敷で手摺りが折れるわけないだろ」


 前世でそれはフラグなのよ? 危険なの。どう言い聞かせたらいいかと思っていたら、通りかかったフランクに見つかった。


「シュミット伯爵令息ユリアン様。そのような姿勢でどうなさいました?」


 遠回しの嫌味で「みっともない」と指摘されたユリアンが、顔を歪める。口が「あちゃぁ、見つかった」と動いたのを見て、フランクの説教が火を噴いた。まさにそう表現するしかない。きっちり詰められ、最後に涙目で「ごめんなさい」をするユリアンに苦笑いした。


 素直に私の話を聞けばよかったのに……。


「ふりゃんく……こあいね」


 以前と同じ幼い言い方になったのは、それだけ怖かった証拠かも。自分が叱られたわけでもないのに、レオンは震えながら私の後ろに隠れた。スカートの隙間から覗いて、すぐに顔を引っ込める。


 叱り終えたフランクが「今後お気をつけください」と言って、表情を和らげた。それを目撃したレオンが、へにゃりと顔を笑み崩す。


「いつも、の……ふらんきゅ」


 ダメよ、ここで笑ったら。ぐっと腹に力を入れて頬を引き締める。馬鹿にして笑うわけじゃなくても、幼子は心が柔らかいの。傷を受けたら簡単に直らない。だから我慢しないと……さっきもそうだけれど、そう思うほどにこみ上げてくる。


「いつものフランクよ。怖くないでしょう? おてて繋いでもらったらどうかしら?」


 私の提案に、フランクが満面の笑みになった。以前から孫のように愛するレオンを抱っこしたがる彼は、膝をついて手を差し出す。じっと見るレオンへ、上手に交渉した。


「疲れてしまったので、小さな騎士様のお手を借りたいのですが……助けてくださいますか?」


 騎士は困った人を助ける英雄。レオンは絵本からそう学んでいる。私の読み聞かせで覚えた英雄に憧れていた。きらきらと目を輝かせ「うん!」とフランクの手を握る。僕、ちゃんとできているでしょう? そんな顔で私を見上げるから、もう片方の手は私が繋ぎましょうね。


「なんか、俺だけ可哀想(かわいそ)くねぇ?」


「ユリアン」


 笑顔で私とフランクが名を呼ぶ。言葉遣いを注意する二人の声が重なり、ユリアンはぴしっと背筋を正して「すみませんでした!」と敬礼した。

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― 新着の感想 ―
愛有るお説教が、火を噴いたwユリアンさん、これも愛ですよw後、みっともないだけでなく、危険な事するからです。フラグ回収して大怪我しなくて良かった! レオン君は立派な騎士様!
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