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僕らは浅瀬で恋をする  作者: 秋乃しん
234/243

浅照間島2


 「まあ、僕も父さんのことはよくわからないけど。一回でいいから会いに行くつもりだよ。それに、僕もひとつ。やりたいことが増えたんだ」


 夏休みも中旬。

何かを忘れたことなんて後回しに、僕はこの街のことと同時に自分の将来について考え始めている。


 「えぇ!夏樹が街から出るのお!?」


「おおい、あかねぇ。あんまり大声出すなよー」


「なつきっなつきっ、それってほんと?」


 僕の進路をみんなに話せば、みんな揃って目を丸くした。

でも。ずっと街へ残ると豪語していた僕自身が一番に驚いている。

 この街が好きなこと、あの浅瀬が好きなこと。

ゆっくりと忘れてしまいそうな思い出を残したいと思える。

それが僕の望んでいる将来の話だ。


 「まあ、とりあえず…おめでとうだなっ!なつきっ!」


進藤の言葉と、その笑顔はこんなにも眩しかったか。

 気恥ずかしい言葉に僕の頬が上の空。

でも、いい笑顔の進藤に頷く僕。


「うんっ!ありがとっ」


 この思い出も、この島の何者かに届いていくように、過去に繋がる僕に届くように。




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