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バカと天才は"神"一重  作者: 抹茶
入学編
32/88

第24話 


「というかお前は誰か待ってたのか?」


 何か明らかに待ち合わせみたいな雰囲気だったんだが。


「兄さんを待っていました」

「俺?」

「えぇ、お昼をご一緒にと思いまして。どこにいらっしゃるのかクラスメイトの方々に聞いたら理事長室に居るというので、近くで待っておこうと……迷惑でしたか?」


 そう言ったフィルは少し不安そうな顔で俺を覗き込む。


「いや、全然。むしろ待たせて悪かったな」


 笑ってフィルの頭を撫でてやる。


「い、いえ、そんな……」


 顔を赤らめるフィルちゃん……くぅ~最高です!

 ふぅ……興奮したらお腹すいたわ。


「フィル、弁当は作ってないから食堂で食べるとしてこの時間は大丈夫なのか?」


 席が既に無さそうなんだが……。


「その点は問題ありません。テトラ達に席をとって貰ってますから」


 ほほう……中々やるなフィルちゃん。

 というかそれよりも……


「テトラって何時の間に仲良くなったの?」


 そこが俺の疑問である。

 確か昨日会ってたけど少し話したって感じだったし……。


「さっき兄さんの居場所を尋ねた時に話してたら意気投合しまして」


 嬉しそうに微笑むフィル。それを見ると友達が増えたことと、俺のクラスメートと仲良くなったということで嬉しくなった。


「あ、おーいリオードー!」


 食堂に着くと真っ先に名前を呼ばれる。

 見ると手を振っているシンがいて、その周りにはグラン、テトラ、リリーもいた。

 その横には空いてる席が2つ。


「おーサンキュー」


 俺は軽く手を上げて返事をし空いてるシンの隣に腰かける。


「テトラ、ありがとうございます。」


 その隣にフィルが腰かけた。


「中々早かったですね。理事長に何と言われたのですか?」


 既にみんな昼飯をいただいているようで、質問してきたグランのテーブルには焼き魚がメインの和食ランチが置かれていた。


「いや~少しやりすぎだってさ! 後、シンに死ねと伝えておいてって」

「何で!? 俺何もしてないよね!?」

「ち、ちょっとシンくん……ご飯粒飛んでる」


 口にご飯を入れたまま話すシンを見てテトラが顔をしかめる。


「キモい……死ね」

「リリネットさん? 何でシンじゃなくて俺を見て言うのかな?」


 メガネの奥から冷たい眼差しが俺にも向けられたので、渋々黙ることにした。


「あ、そういえば聞きたい事があるんだけど」


 ふいにテトラが手をあげた。その視線の先には……俺?


「何?」

「うん、先生との模擬戦のこと」


 興味津々……という表現が当てはまるくらいテトラの目は輝いていた。

 というか皆様興味津々だな、フィルも込みで。


「ヘイヘイ、何でも聞いてくださいよ」


 俺は降参の意を示すように両手をあげて答えた。


「んじゃ……何であんなに強いの?」


 ……何だその質問は。

 全く意味がわからん。


「何を言っているんだいテトラ、そんなことあるわけないじゃん!」

「いやいや、普通に先生と互角に戦ってたよね?」


 手を振って俺の言葉を否定するテトラ。


「ん~、だってベルさん半分くらいしか力出して無いからな?」


 これはマジ。

 あの時のベルさんは5割……よくて6割くらいかな?

 あの人が本気でやったら確実に俺は瞬殺されてたな。


「いやいや、普通に俺達から見てもお前が強いのわかるってーの! 最初の動きとか新入生のレベルじゃねえぞ?」

「それは同意しますね。あれは目で追えませんでした。」


 シンとグランまでテトラの言葉に乗っかってくる。


「そ、そんなことねえよな? リリー?」

「…………」

「無言でそんな事は無いっていう目で見るの止めて」


 マジ味方がいないんですが。

 いや、居たね!

 俺の絶対的理解者にして最愛の妹が!


「フィルはどう思う?」

「兄さんは最強です!」

「フィルさんっ!?」


 裏切りじゃー! 謀反じゃー!


「兄さんったら……相変わらず謙遜なさって。兄さんは私のご自慢の兄ではないですか」


 そう言って嬉しそうに笑い、俺の手を握ってくるフィル。


「おいおいフィル、そりゃ言い過ぎだぜ」

「そんな……兄さんこそご自分を過小評価し過ぎですよ。まあ私はそんな兄さんだからこそ誇らしいのですが」

「お、おいアイツら兄妹だよな?」

「えぇ、完全に恋人の世界ですね」

「は、はわわわわっ……」

「………………」


 俺とフィルがこのままふたりの世界に浸っていると危なくなるので話を戻す。


「まあどちらかといえば体術には自信あるかな? 魔術が使えない分そこで頑張るしかなかったし」

「我流ですか?」

「いや、師匠……てか父さんがいたよ」


 あの人はもうヤバかった。

 未だに勝てる気しねーもん。

 多分俺が10人いてやっと互角に戦えるレベルくらいだなありゃ。

 とまあ話は逸れたがこれでもう質問は無いだろ。


「あ、後一つ聞きてえ」

「何すか……」


 シンさん……空気読んでくださいよ。


「あの雪って人は何なんだ?」


 真剣な目つきで聞いてくるシン。

 だがそれは確実に下心あるようにしか見えないんだが……。


「兄さん! まさか喚んだのですか!?」

「うぉっ!?」


 何故かいきなり声を荒げるフィル。


「兄さん、余程の事が無ければ喚んではいけないとあれほど言ったではありませんか!」

「ち、ちょっとフィルさん?」


 何かいきなりキャラが変わってきてるんですが……

 というか背後から物凄いオーラが……。


「フィルはあの雪って人を知ってるの?」


 テトラはフィルの雰囲気に気づかないのか平然と質問をする。


「えぇ、知ってるも何も毎回出てきては色仕掛けで兄さんを誘惑して……ちょっといい体だからって調子にのって、本当に不愉快極まりないです……」


 ブツブツと呪文のように不満を呟くフィル。

 それに答えるかのように俺達が座っているテーブルが見る間に凍っていく。


「うおっ! テーブルが凍っていくんだけど!?」

「それだけじゃないです! 食器や食品まで凍ってます!」


 シンとグランだけでなくテトラとリリーも慌て出す。


「フィル、おいフィル!」

「はっ……」


 俺がフィルの肩を掴んで揺すると気づいてくれたようで、顔をパッと上げる。

 するとさっきまで凍っていた物が元に戻っていく。


「も、申し訳ございません……」


 フィルはしょんぼりと肩を落とす。


「悪いな?」


 俺は4人に謝罪を述べる。


「べ、別に構わねえよ」

「に、2回目ですしね……」

「フィルってスゴいんだね」

「本当に申し訳ございません」


 まだ驚いてはいるようだが、特に怒っている様子も無いので安心していた時だった。


「オイ……」




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