十七話『その刀、名を椿』
昨日の宣言通りに投稿させてもらいました。
「ちわっす。刀出来てる?」
「お~兄ちゃんか!出来てるぞ。試作品第1号だ。」
そう言って俺にポンっと刀を渡してくる。
俺は鞘に収まっている刀を少しだけ出して刃を確認する。
「この刀を作るのに玉鋼ってやつを使うらしいんだがこれがまた厄介な代物でな。苦労したぜ。」
「この刀の名前は?」
「そんなもん、まだない。」
「え?」
「それはあくまで試作品だからな。何回か折り曲げては熱して鍛えて冷まして熱して鍛えて冷ましてを繰り返すんだが俺の鍛え方が甘いせいか数度撃ち合うと折れちまううだよ。」
本来、刀とは撃ち合うものではなく先手必勝、一撃必殺の攻撃なのだ。
刀の薄さと扱いやすさを考えればある程度の金属の刀ではそれは確かに折れてしまうだろう。
「金属が悪いのかは分からないがその刀はまだ試作品の段階と言うことで兄ちゃんにくれてやるよ。」
「じゃぁありがたく。」
「これからも刀は打っていくから良ければ買っていってくれよ兄ちゃん。完成は知り合いの国で伝わる、何度撃ち合おうとも折れることのない刀、紅を目指してるからよ。」
「紅?」
「おう、なんでもその刀身は赤いんだが普通の赤色と言うには鮮やか過ぎるんだとよ。そういう赤をその国では紅といってその色の名前を刀に付けているらしいぜ。」
「へぇ。そうだ。ならこの刀にも名前を付けていいか?」
「うん?試作品だからすぐ壊れちまうと思うがいいのか?」
「大丈夫だ。これのバージョンアップしたやつの名前の付け方も考えてある。」
「ならいいんだがどんな名前にするんだ?」
「それはだなぁ―――――。」
「椿、ですか。」
「そうだ。」
俺はその後家に帰って家事をミレリアと一緒にしていたキサラを呼び出し刀を渡した。
「俺の国では椿と言う木に咲く淡く綺麗な花があるんだ。その名前を取った。」
「花の名前ですか。それにしてもこの刀は試作品と言っていましたが。」
「あぁ、オッチャンはそう言っていたがそれはそれで完成は完成なんだ。」
「ですが数度撃ち合うと折れてしまうんですよね?」
「そうだ。だが本来の刀とはそういうものなんだ。」
「剣とはまた違うのですか?」
俺は武器屋で思っていた事をキサラに話した。
「成程、先手必勝、一撃必殺ですか。」
「まぁそんな旨い事行くわけでもない。だから実践での使い方は攻撃を受け流すんだ。」
「受け流す?」
そう刀は撃ち合えばその瞬間刃こぼれを起こしてキレ味が激減してしまう。
なのでそうならないように刀身を使って攻撃の軌道をそらしてかわすのである。
攻撃を見極めて受け流す。
言葉にすれば簡単なのだがこれがなんとも難しい。
力の流れを読んで刀身にダメージを与えないようにそらすのだから手首の使い方や身体の動作、位置を正確に操作して攻撃を横にそらさなくてはならない。
これは言葉より経験である。
俺も知識でしか知りえないのでそれを踏まえてキサラと練習していくしかない。
「まぁその訓練は午後からだ。その前に早めの昼食と俺のご褒美だ。その後から少しだけレアルの様子を見るとしよう。」
「かしこまりました。」
ミレリアを呼んで昼食にする。
俺は2人より早く食べ終え自前の冷蔵庫からあるものを取り出す。
それを見ると完成度は中々の物である程度の食材を自給自足していきたいと思っている。
ご褒美が入ったトレイごとダイニングに持っていくと丁度2人が昼食を食べ終えたところだった。
「シン様、それが今回のご褒美なのですか?」
「え?そうなのですか?私の勘違い...」
何故かミレリアが目に見えてシュンと落ち込んでしまった。
本当に何がご褒美だと思っていたのだろうか。
「今回のご褒美は、その名も『プリン』だ!」
「「プリン??」」
俺が用意したのは甘くてプルンプルンなプリンが入った銀の小さなコップだ。
「キサラ三人分のお皿を持ってきてくれ。」
「かしこまりました。」
俺はキサラがお皿を用意している間にプリンを傷つけないように周りを細い櫛でコップとプリンの間に空気を入れていく。
「どうぞ。」
俺はキサラから一枚だけお皿を貰いコップの上にかぶせる。
そしてそのままコップとお皿を同時にひっくり返す。
「キサラ、ミレリア、見ていろ?」
2人して喉を鳴らしてお皿とコップを凝視する。
俺はゆっくりとコップを上げると中からぷるるん!とプリンが出てきてお皿の上に楕円形に鎮座する。
「はぁぁぁ!なんですかこれは?!これがプリンなのですか?不思議な形をしていますね!」
興奮気味にキサラを食らいつくがミレリアは。
「これがプリンですか?なんといいますか...」
ちょっとがっくりしている。
「ミレリア、スプーンを。」
「あ、はい。」
ミレリアが三人分のスプーンを持ってきた。
俺はその間に残り二つ分のプリンを丁寧にお皿の上に置いていく。
「よしじゃぁ食ってみろ。」
「ご主人様、なんか感触が...」
「不思議な感触です。」
スプーンですくい上げて恐る恐る2人がプリンを口にする。
すると...
「ん~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!おいしいですぅ!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!なんですかこの触感に甘み!そしてなんとも言えないまろやかさ!」
「シン様!プリンとってもおいしいです!」
「なんですか?!このプリンは!今まで食べたことのないような触感と甘み、そして味は!最高です!」
2人してプリンをぺろりと平らげてしまった。
そうして2人して俺のプリンを凝視する。
一応、完成度がどの程度の物なのか一口だけ食べたがまぁまぁプリンらしく出来たと思っている。
そんなプリンでも欲しいのか。
俺はプリンを俺が掬いあげた場所から二つに切っていく。
「....いるか?」
「はい!」
「是非とも!」
そうして2人して俺の分のプリンまで食べてしまった。
しかも俺が掬いあげた部分を綺麗に最後まで残して名残惜しそうに口にしたあと口にした途端さっきまでプリンを食べていた幸せそうな顔の中でも一番と言えるような笑顔で食べ終えたのだ。
その時に「これがシン様の...」「ご主人様の味...」と言っていたがまぁそれは俺が作ったから俺の味だろう。
「満足したか?」
「最高のご褒美です!」
「私もです!」
「なら良かった。後はレアルの様子を見に行くか。」
「「はい。」」
そうして三人でレアルが眠る部屋に向かった。
最後まで読了ありがとうございます。
今回は普段より少なめ程度ですが本当は昨日の分と一緒にしたかったのでこんな感じになってしまいました。
宣言通りに昨日に続いて投稿できたことにホッとしています。
今一番の悩みの種は物語の進行日数がキサラを奴隷にしてから一週間も過ぎてない内容の濃密さです。
レアルが起きれば少しずつ日数を延ばしていこうかなと言う現在の方針は無事叶うのかな...
まぁともあれそんなプロット通りに進んでいっているようないないような様を見届けてください。
それではいつもブクマありがとうございます。
まだまだ続きますのでいつもの通り薄く眼を開けて優しい目で見てやってください。
新しくブクマされた方ありがとうございます。
厳しい評価を頂けると作者は泣きますがよろしくお願いします。
それでは次の話で(↑_↑)ノシノシ




