十二話『スラムでの後始末』
またまた一日遅れて申し訳ない。
急にね....夜勤がね....
追記:投稿時13話となってましたが正しくは12話ですごめんなさいm(_ _)m
向かうはスラム。
俺は先ほどのお仕置きを実行するために向かう。
現在時刻深夜の3時、あたりは静まりかえってはいるがスラムでは逆にその静けさが針となって身体に刺さってまるで本当に刺されているかのように幻痛を感じる。
だが今の俺の心の中はあの入り口の時から切れ続けている。
決して俺の大切な物を奪おうとする奴を許すわけにはいかない。
まずはあのデブだが今目の前にあるのは潰した筋肉ダルマだ。
「ヒィ...ヒィ...ヒィ...」
先ほど俺が潰した身体より酷く喉にも穴があいておりもうどこから呼吸しているのか分からないほど醜く潰されている。
これは流石に同情しそうになるが殺されてもおかしくないほどの残虐な行為をし続けていたんだろう。
因果応報だ。
だが俺がこいつにしてやることは一切ない。
「ヒィ...タス...ケテ...」
誰が居るのか分からないのだろう。
取りあえずいる人間に助けて求めているのだろう。
「無様だな、筋肉ダルマ。精々あがいて生きろよ。まぁもう会うこともないだろう。」
ふと周りに注意を向けると数人こちらに向かってくる気配がある。
恐らくこいつに恨みがある奴だろう。
俺にはどうせ関わりはない。
「じゃぁな。お前の相方も直ぐに連れていってやるからよ。」
俺は再び糞デブの気配を追いかける。
歩いていると道すがら威勢のいい兄ちゃんが出てきた。
「そこの小奇麗な兄ちゃん。金目の物を置いていってくれえぇかな?」
「お?丁度いい。お前このスラムの奴隷商は知っているか?」
「あぁ、勿論。」
「そこにいる女は要らないか?」
「あ?なんの話をしているんだ?」
「そこの地下の鍵を持っているんだよ。いらないか?」
「なんでテメェがそんなものを。」
「たまたま手に入ったんだよ。ちなみにそこにいる商人と男三人は伸びてるから好きにしてもいいぞ。」
「...男と女どちらもいるのか?」
「そりゃ、奴隷商だからな。」
「対価は?」
「いらん、俺はお前に鍵を受け取ってもらってそれを使ってくれればそれが俺への対価だ。」
「なんか、怪しいがトラップなんてないよな?」
「しいて言えば奴隷商で伸びてる奴がもう少しすると起きるかもしれないくらいだ。」
「分かった。なら同志も集めて直ぐに向かうことにする。」
どうやら信用はしてくれたようだ。
と言うかこいつら俗にいう両刀なのか。
やはりスラム。
怖いところだ。
奴隷商の鍵も変態に渡したし、最後の目的の糞デブに会いに行く。
糞デブは3階建てのレンガ作りでボロボロの建物の2階の一角の部屋でうずくまっていた。
「な...なんなんだあいつは....あの3人を....それに相棒も....」
部屋の隅で体育座りしながらブツブツと何かを永遠と唸っている。
スラムにもあんまり居たくないのでこちらに目を向かせるために近付く。
「おい?ここで何をしている?」
「―――――んぁ?ヒィ!!!」
糞デブは俺を見た途端小さく悲鳴を上げて後ろの逃げ場のないレンガ壁を爪でひっかいていく。
「ぁあ!ころ、殺さないで、殺さないでくれ!命だけは!」
ガリガリと壁をひっかきながら俺に救いを求める。
「お前は俺の大切な物に何を言った?何をしようとした?そして、何を勘違いしているんだ?」
「へ?」
「お前は言ったな。キサラを犯すと。」
「あぁ...」
全く、まだ手を出されていないのにここまでキレる俺もまだまだだ。
これから成長していかなくては。
「お前は言ったな。俺の前で犯すと。」
だからこれで最後にしよう。
キサラも綺麗だがこれからはミレリアも仲間に加わったのだ。
同じような感情を持たれて、同じような目で見られ、同じような事を言われ思われ続けるのだ。
我慢、いや妥協しないといけない。
被害が及ぶ直前で対抗しなくてはならない。
「お前は言ったな。俺に金目の物を出せと。」
「あぁ、あぁ、」
「許しがたい事だ。本来なら無視するところだが実害が出た。」
そうこいつは正確にはこいつの相方が俺に攻撃を仕掛けてきた。
なら―――
「万死に値する。」
その夜、スラムでは男の鳴き声が響く事になる。
余談だがその男はスラムの物好きに好き放題されたらしい。
生死は不明となっている。
家に帰り身体を洗い、キサラとミレリアが寝ている寝室に寝に入る。
ベットをみるとキサラとミレリアが丁度、俺が真ん中に入れるようにの配慮か1人分の空間を開けて寝ている。
「変な寝方をしているな。」
小さな声で思わず笑ってしまった。
「―――ご主人様。」
これまた小さな声で俺を呼ぶ声が聞こえた。
「キサラか?」
「はい、いつまでもお帰りにならないので起きておりました。」
「寝ててもよかったんだぞ?」
「いえ、私がご主人様をお待ちしておきたかったのです。」
「そうか。」
そこまで言われると俺は言えることは無くなってしまう。
俺はそのまま1人分空いた真ん中に寝転がる。
すると俺の身体に心地よい重さが乗っかってきた。
その重さは勿論キサラだ。
「ご主人様...」
俺はそのままキサラに口づけをする。
初めてだがキサラが甘えてきた。
「私、嬉しかったです。」
「スラムの入り口の時の話か?」
というかそれぐらいしか俺は思いつかなかった。
「はい。先ほどまで、私の為に動いてくださってたんですよね?」
俺は何も答えない。
その代りにキサラに口づけで答える。
俺はキサラを胸の上に乗せたまま心地よい眠りについた。
流石に疲れていたのか起きると太陽はほぼ真上にあり昼頃になっていた。
両隣りには誰もおらず先に起きたことが分かった。
まぁ本当は朝に2人が起きた動きで俺も起きてしまったんだが睡魔にあらがえずに二度寝してしまったのだが。
「取りあえず起きるか。」
俺はベットから身体を起こし、下に降りる。
リビングには美人な2人がキャイキャイと談話している。
俺の奴隷たち、今日も可愛いぜ。
「あ、ご主人様おはようございます。」
キサラは椅子から立ち上がり俺に挨拶するとそのまま歩み寄ってきて俺におはようのキスをする。
「あわわわわ、おはようございます。」
ミレリアはそれを見てアワアワ言っているが俺に近付いてきてもじもじし始める。
うん可愛い。
「おはよう、ミレリア。」
俺はそのままミレリアの細い腰に手を当てそっと抱き寄せる。
そしてそのままミレリアとも朝の挨拶を交わす。
初キスなミレリアはぎこちないが積極的に唇を当ててきている。
「っぷはぁ、ご主人様ぁ。」
唇を離すと甘えるように俺に垂れかかってくる。
「2人とも、今日は取りあえずお休みだ。と言うかレアルが起きるまで行動はできないな。」
「かしこまりました。」
「はいぃ~。」
キサラは軽くお辞儀をしてしっかりと答えてくれたがミレリアはまだ放心状態から帰ってこれないのか曖昧な答えをする。
というかミレリアには朝の挨拶は教えてないはずなんだがなぁ。
そう思うとキサラは俺の心中を察したのか答えてくれた。
「私がご主人様が起きられると挨拶として必ずキスをしますと教えました。」
成程、グッジョブだキサラ。
「はわぁ~、シン様ぁ~。」
何故か全然ミレリアは帰って来ない。
仕方ないので抱っこして椅子に座る。
するとムスッとキサラがちょっと頬を膨らます。
はい勿論可愛いです。
「後で抱っこしてやるから取りあえず飯をくれないか?」
「!!はい!少々お待ち下さい。」
キサラは先ほどとは一変して元気よくキッチンに向かった。
俺はこのままだと食事すらまともにできないのでミレリアを呼び起こす。
「ほらミレリア、帰ってこい。」
「ふぇ。ッハ!申し訳ありません!ご主人様!」
気が付き現状をみてビックリしたのか直ぐに俺の上から立ち上がった。
「いや構わない。それよりさっきの話は聞いていたか?」
「勿論でございます。レアルの様子を見てきますね。」
「あぁ、よろしく頼む。」
軽く会釈してレアルが寝ている部屋に行った。
ミレリアと交代するかのようにキサラが食事を持ってきてくれたので遅めの朝食を取ることにする。
と言っても直ぐに昼食を食うことになるのでパン1つとコンソメスープもどき1杯のみだ。
直ぐに食べ終わり、片づけをするとキサラと一緒にレアルの様子を見に行く。
案の定と言っていいのか残念と言っていいのかレアルはやはりまだ目を覚まさない。
治療が強引だったが体力は自然治癒増幅させているので満タンなはずなのだ。
それでも彼女が起きない理由は一つしかない。
心の疲労だ。
元々身体も弱かったにも関わらず奴隷として過酷な環境で生きてきた。
挙句の果てに適当にいじめて裏に捨てるという悪逆極まりないその所業を受けたのだ。
幾ら体力が戻ろうと、今まで溜めこんだ心の疲労はそう簡単に無くなるわけではない。
たとえ起きたとしても、もしかしたら脳に多大なダメージが残るかもしれない。
身体半分動かない程度であればいいが最悪植物状態の可能性だってある。
あの身体全身にあるやけどや切り傷、青あざ、骨折。
俺からすれば生きていたのが凄いと思う。
よくそこまで拷問されて生きていたものだ。
「体調は確実によくなっているようです。」
「そうみたいだな。だがまだ目は冷めないと思うぞ?」
「な、何故です?!」
「パッと見ただけでもあれだけの拷問の痕だ。精神の疲労は半端ないだろう。」
「そう...ですか....」
「まぁゆっくり行こうじゃないか。」
「はい。...あの、ご主人様。」
「なんだ?」
「レアルもご主人様の奴隷にしていただけないでしょうか?」
「なんだって?」
「ですからレアルもご主人様の奴隷にしてあげて欲しいのです。」
「...説明を求む...」
「たとえこのまま起きたとしても彼女はどうすることもできませんし今の奴隷紋は私含めてフリーの状態です。」
「そうだな。」
「それならいっそご主人様の奴隷になった方が彼女も幸せだと思うのです!彼女は拷問が辛いと言ってました。ご主人様は拷問なんてしないですよね?!」
まぁそんな嗜虐趣味は確かにないがなぁ。
「確かに拷問なんてする趣味はない。だが彼女は....」
そう彼女が拷問を受けた相手は常に人族の貴族なのだ。
起きた時間違いなく人族の俺は怯えられるか威嚇されるかの2択だろう。
「大丈夫です。私が説得します。なのでどうかレアルもここに置かせて下さい。」
そういって彼女は深く俺に頭を下げる。
まぁ現状1人増えたくらいでどうこうなるような事態には陥ってない。
なら構わない。
問題は奴隷の彼女からなんのなしに要求を受け入れることだ。
俺自身はなんの見返りも要らないと言えば確かなのだが、キサラはそうは思わないだろう。
あくまで俺は違う世界から来た人間だからそう思うだけでキサラからすれば主人が奴隷にナメられたと思う可能性が非常に高い。
街を歩いていると偶に見かける貴族なんて最たる例だ。
我を通そうと無茶な要求ばかりしてぎゃあぎゃあ喚ぐ姿をよく見る。
なら選択肢は必然と絞られ、俺はミレリアに何か見返りを求めないといけないだろう。
今後、俺がナメられない為にも。
「よし、良いだろう。但し条件がある。」
「勿論でございます。なんなりと。」
あ、やっぱり当然のことと思われてたのか。
「起きたとしても直後のレアルは間違いなく精神疲労が抜けておらず確実に誰かの手助けが無いと生きていけないだろう。...ミレリア、お前が面倒を見ろ。」
「はい!かしこまりました。ご主人様の命令、しかと受け取りました。」
「勿論、分からない事は俺かキサラに聞け。分からないままで手助けをしても意味がないし、逆に迷惑になる可能性もあるかな。」
「はい、その時は必ず助言を頂きに向かわせてもらいます。」
「よし、なら取りあえずミレリアの奴隷紋の主人登録をしに行くか。」
「はい、支度をしてきます。」
「すまないがキサラはレアルを見てやってくれ。」
「かしこまりました。」
最後まで読了ありがとうございます。
いつもブクマなどありがとうございます。
ブクマ、評価、感想お待ちしております。
次の予定は2月の13日に予定しております。




