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銀翼の飛翔  作者: fey5
第5章 学園と仲間と ―初年度―
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44話 入学式とクラスメート

新暦1347年 ガレリア大陸 カルティア王国 王都カルティア




入学式の日を迎え、長い間お世話になった宿屋の女将に別れを告げた。


あれからケオランと共に選択科目を決めて、必要な教材や学園のローブを購入した。


必須科目は算数、王国史、世界史、魔法属性学、魔法理論、魔法実践Ⅰ、運動Ⅰの7つ。


選択科目は一般科目が薬学Ⅰと建築学Ⅰ、魔法科目が風属性Ⅰと治癒魔法Ⅰ、武術科目が剣術Ⅰと体術Ⅰの6つ。


1年では選択科目をそれぞれ一つずつは合格しなければならない。


必須は週に2回授業があるのでこれでフルコマとなる。


ケオランとトキの違いは魔法科目と武術科目。


ケオランは火属性Ⅰと魔法生物学、槍術Ⅰと体術Ⅰをとることにした。


なんでもギンとハクを見て、俺も霊獣を仲間にしたい!らしい。


霊獣はゴウホウ霊山にしかいないのに、それでも仲良くなる方法を知りたいんだ!とのこと。


一般科目はトキの選択を聞いてじゃ~俺も、と決めていた。


トキは自分が将来使う可能性があるものだし、一緒に受けてくれるのは心強いからいいのだが、自分とは違う知識を身につけてもらいたくもあった。


まだ誘うのは時期じゃないと思っているし本人の自由なので、この時は口を挟まなかった。



待ち合わせ場所に集合してケオランと入学式に向かう。


お互い真新しい白のローブを着ていた。


胸にカルティア王国の紋章がついており、右肩に斜め線が1本、赤で刺繍されている。


学年が上がる毎に線が増えるらしい。


もはや着慣れてしまっていたあの派手なコートは休日くらいにしか袖を通さなくなる。


そのコートを含め、荷物は前日に全て寮に運び終えていた。


部屋の相方はケオランだった。


どうやらロリックがうまいことしてくれたらしい。


ケオランには奇遇だなぁといけしゃあしゃあと答えた。


一応、ギンが一緒でもいいかと聞くと、もちろんいいぜと快諾してもらえたので胸をなでおろした。



入学式は一番大きな建物で行われる。


前から新入生、後ろに在校生、さらに後ろに保護者、横に学校関係者や貴賓席がある。


国王代行でセルクスも来ていた。


どうやら長ったらしい挨拶があるのはこの世界も同様のようだ。


学園長のロリックは5分とたたずに終わったが、貴賓のなんたらさんがかれこれ30分は話している。


隣のケオランはこっくりこっくりとうたた寝していたので肘で突いて起こす。


ようやく長い話が終わり、在校生代表で生徒会長が挨拶をする。


起きたケオランが教えてくれたのだが、去年抜群の成績で主席合格した例の公爵令嬢らしい。


名前はエレスティナ=ケルストといい、ウエーブのかかったロングの金髪をなびかせて歩く姿がとても綺麗だった。


肌が透き通るように白く、蒼い瞳は大きく欄と輝きをもち、長いまつげが遠くからでも見える。


その佇まいと優しい微笑みを浮かべる彼女に、どこからかほぅとため息が聞こえた。


その様子からは、美少女ではなく美女という大人な女性が正しい表現だろう。


すらすらと話す言葉は先ほどの大人のように声をあげるわけでもないのによく聞こえる。


挨拶が終わると、会場は盛大な拍手に包まれた。


(お嬢様とかご令嬢って言葉が合う人だな。どんな魔法使うんだろ)


トキは容姿より魔法の方に興味が向いていた。


ケオランはヒュウと口笛でも吹きそうな様子だったが、すぐ興味をなくしたようだ。


(こいつは色々と変なところがあるよな)


トキも人のことを言えたものではないのだが、そんなことを思っていた。


そして、次に司会が進行を進める。



「新入生代表挨拶。新入生代表、トキニア=ゼペルルクス」



(…………は?)


隣のケオランも驚いている。


そして、トキはもっと驚いていた。


そして、学園関係者の端から二番目に座るロリックが見えた。


これでもかと口角をあげてこちらを見ていた。


(あのクソジジイ!!やってくれたな!!)


新入生代表挨拶のしの字も聞いていなかったトキはその笑顔を見て、ロリックが口止めしていたことを理解した。


ロリックにとって、あの我が侭はどうやら高くついたらしい。


なかなか代表が立たないために会場が少しざわめき出す。


(やるよ!やってやればいいんだろ!!)


そして、トキは立ち上がり壇上に向かって歩き出す。


ロリックへの怒りが頂点を超えそうだった。


(……クールになれ。そう、クールだ。俺はアイスマン。Be cool)


ふーっと息を吐いて壇上をあがる。


総勢500名近くを前にトキは口を開いた。



「暖かな日が差し柔らかな風が舞う今日、私たち新入生150名は栄えあるカルティア魔法学園の生徒となりました。本日は私たちのために、このように素晴らしい入学式を行っていただいたことを感謝致します。新たな学び舎を前にし、この学園の一員になれたことに希望と期待、そしてなにより責任を胸に満たしております。この学園の歴史を築く、その礎となりうる私たちは日々の努力を欠かすことなく勉学に励み、学園の名と自分自身に誇りがもてるよう勇往邁進する所存です。しかし、まだまだ未熟な私たちには先輩方、学園長先生をはじめ諸先生方、そして家族の皆様の助けが必要となるでしょう。どうか私たちの進む道を照らし、支え、導いてくださいますよう、温かなご指導をどうぞよろしくお願いたします。短くはありますが、以上をもって新入生代表の挨拶とさせていただきます。新入生代表トキニア=ゼペルルクス」



わあっと拍手が湧いた。


(ふー。いいのか?あれで。いいのか?いや、短かったけど自分にしてはよく言えたな、あんな言葉。二重の意味で)


席に戻るとケオランがニヤニヤしながら拍手をしてきた。



「いや~やるね、トキニア君。君、詐欺師の才能あるんじゃない?」



うるせぇと返しておいた。


ケオランにはあの挨拶が心にもないことだとわかっていたようだ。



「ってかさ、最初の様子じゃ、トキも知らなかったわけ?」


「ああ。たぶん学園長の仕業だろうな。いや、確実に。ちょっとわがままが高くついたらしい」



ふーん、とあとは興味なさそうなケオランを尻目にロリックをしっかり睨んでおいたが、今はこちらを見向きもしない。


(覚えてろよ、クソジジイ!)



その後も順調に式は進み、クラス分けとなった。


クラス分けは守衛待機室も兼ねる案内所横の掲示板に掲載されていた。


ケオランと同じく1組だった。


これで必須科目やHRは一緒に受けられる。


案内にそって自分たちの教室を目指す。


教室に入るとすでに20人ほどがおり、各自で自由に過ごしていた。


席はどうやら決まってないようだ。


入口でケオランにどうする?と聞くと後ろの方にしようぜ!と返ってきたので賛成した。


真新しい木の匂いがする教室の中は机と椅子がセットで6列×5で並んでいた。


窓はクロウリア魔法学園で見たような透明なガラスでできており、1階のここからは運動場が見えている。


席は前の方が埋まっており、後ろは空いていたので窓側の一番後ろにトキ、その隣にケオランが座ることになった。


教室に入った時もそうだったが、他の生徒がこちらをちらちら見てくる。


気にせずケオランと雑談していたが、なにやら注目を浴びているようだ。



次第に席が埋まっていき、トキたちの周囲にも人が座った。


トキの前には女の子が、ケオランの前には男の子が着席した。


すると、ケオランが物怖じしないいつもの調子で前の男の子に声をかける。



「俺はケオラン=マッキス。よろしくな。そっちは?」


「あっ……僕はチーグル=クアン。よ、よろしく」



少しおどおどした少年チーグルは黒に近い茶髪を前髪パッツンした坊ちゃんスタイルだった。


泣きボクロが涙を流しているように見える動揺さ加減だ。


笑顔がひきつっている様子がひどくいじりたくなる。


そして、ケオランがストレートに突っ込む。



「なんか、お前って色々と残念だな」


「おい、ひどいぞその言い方。せめて個性的って言ってやれ」


「うぅ、どっちもひどいょ」


「あ~すまんすまん。俺はトキニア=ゼペルルクス。トキって呼んでくれ。よろしく」


「よ、よろしく」



チーグル少年はタレ目でビクビクしており、背も低いためか小動物を想像させる。


残念ながら耳は大きくないし、口癖がチウだったりはしない。


ケオランがトキに合図して、トキの前にいる子にも話しかけろとジェスチャーしてきたのでジェスチャーで返す。


(トキ、目の前の女をナンパしろ)


(無理、お前がさっきみたいに声かけろ)


(かぁ~お前ナンパもしたことないのかよ。このへたれ)


(お前の方がこういうときは適役だろ)


(ったく、仕方ねーな)


「あの、それどういう会話が成り立っているの?」



チーグルを他所にケオランが声をかける。



「ねぇ、君の名前はなんていうの?僕の名前は愛の配達人こと銀翼トキニア=ゼペルルクスさ、だってさ。こいつが。俺はケオラン=マッキスな」


「おい!人の名を勝手に使った上に変な名称つけんな」



前の女の子がこちらを振り返った。


赤茶色の髪を肩より上で切りそろえ少し巻いており、目も髪の色と同じで丸く大きい。


マフラーを巻いたら似合いそうな可愛い女の子だった。


そして彼女がトキに言う。



「私はあなたが愛を運ぶのを遠くから無視していますので、話しかけないでください」


「俺はそんなもん運んでねーけど、そこは遠くからでも見るべきじゃないのか?もしくは遠くからとかいらなくね?」


「ふう。あなたが例えどんな苦労を乗り越えながら配達しようとも私には関係ないので死んでください」


「扱いがさらにひどくなった!?初対面なのに死ねって初めて言われたよ?いや、死ねって事自体初めてだわ」



ゲラゲラとケオランが笑っている。


チーグルは大変ですねと憐れみの表情を向けていた。



「おい、あんた。一応言っとくがさっきケオランが言ったのはでまかせだからな。あと、自己紹介くらいしてもいいんじゃないか?」


「……マーレーニ=ツクワよ」


「ふうん。よろしく、マーレイニ」


「マーレイニじゃなくてマーレーニよ。間違いないで」


「ああ、すまん。気をつけるよ」



そう言ってマーレーニは前を向き、何かを読み始めた。


ケオランはなかなか面白かったからよし、とか言っていた。


雑談をしている内に教師がやってきた。


灰色の髪をした結構若そうな男性だ。



「このクラスを担任となったナルバンド=ウリエンです。担当は歴史をはじめとする一般科目です。よろしく。まず、今日は今後の予定を話したあと、皆さんには自己紹介と魔力検査を行っていただきます。それらが昼までで終わり、あとは自由行動です。クラブ活動の勧誘などもそのとき行われますので見に行くのもいいでしょう。授業は明日からとなりますが、早く学園生活に慣れてくださいね。今後1週間は勧誘期間となるので、放課後を利用してクラブ活動やギルド活動をして自分の生活スタイルを決めてください。前期の終わり頃、8月の最初に試験があり、そのあと学園祭が催されます。楽しみにしていてください。では、自己紹介から始めましょう。廊下側の前の君からどうぞ」



出身、名前、得意魔法、趣味、抱負、将来の夢や目標など当たり障りのないカンジに皆発言していく。


幾人か成績上位者の名前もあった。


男女の割合は1:1くらいだ。


チーグルは土属性が得意で親と同じ建築家を目指しているらしい。


トキの目が光る。


ケオランは元気のある声で気安いカンジでよろしくぅ、と言っていた。


俺の歴史にまた1ページとかは言わなかった。


そして、マーレーニは――



「北西部にあるワコルーニ村出身のユユ=クリストットです。よろしくお願いします」



叫びそうになったのを必死に抑えた。


(一文字も違うじゃねーか!言い直させる必要もなかったし!)


ケオランは伏して笑っている。


そして、トキが席を立つ。



「南西部、パイオニル村出身のトキニア=ゼペルルクスです。得意魔法は風属性。よろしくお願いします」



苛立ってしまっていたので、つい投げやりに言ってしまった。



「自己紹介も終えたので、魔力検査に移りたいと思います。ですが、魔力検査は貴重な魔道具を使って行います。5組から順に検査していっていますので、もう少し待ってくださいね」



その間は周りと話していていいそうだ。



「なぁ、ユユ=クリストットさんや。さっきの自己紹介とは全然名前が違うのはどういうわけだ?」


「……私は稀に嘘つくわよと言っただけよ」


「んなふうには聞こえなかった」


「耳が遠いのね。かわいそうに」


「勝手に人を憐れむな。誰もそんなこと聞こえていなかったぞ」


「え?俺は聞こえてたけど?」



ケオランが驚いたようにトキを見た。


そして我慢できなくて笑い出す。



「あなたは耳が遠くて友人にも簡単に見捨てられる可哀想な愛の配達人(笑)なのね。私も見習いたいくらいとてもよくわかる自己紹介だわ。そろそろ自分の存在意義を自己問答して自殺したほうがいいんじゃないかしら?」


「人の心をえぐり過ぎだ。マジで古傷に触るから勘弁してくれ」



久々に嫌な思い出が蘇ってしまった。


泣きそうな苦笑いを浮かべたトキを見て、無表情のままピクリとだけ眉が反応した。



「少し、言いすぎたわね。ごめんなさい。ケオランとチーグルといったかしら。友達はよく選んだほうがいいわよ?」


「俺に言わなかったらいい問題じゃないし、本人にも聞こえてるんだよ!」



トキの叫びは放置でなにやら3人は楽しそうに会話をしだした。


(あれ?味方がいない?おかしいな。鼻から涙が……)


グスっと鼻をすするトキにケオランがフラレたからって泣くことないさと見当違いな慰めをくれた。



学園生活のことを話題に盛り上がっていると、教室に丸い形をした大小二つの灰色の置物が持ち込まれてきた。



「注目ー!魔道具が届きましたので魔力検査を行います。この中で自分の魔法適正を知っている人は?うん、全員知っているようですね。ですが、自分の魔力量は具体的には知りませんよね?ん?クラップ君は知っているのかな?」


「はい、1mの火球を6個出せるくらいです」


「……そうですか。今の自分の限界を知ることは大切なことですね。魔法理論でも習うことですが、魔力量は生まれつき変わりません。繰り返し練習することで魔法効率が上がり、より多く、より効果を大きくすることはできるので勘違いすることも多いです。この魔道具は大きい方が適正属性を、小さい方は魔力量を数値で測定することができます。魔力量は多いに越したことはありませんが、それは練習をして効率をあげればいいだけなので低くても気に病まないでください。では、一人ずつ測定していきます。あっ、自分の結果は無闇に言わないことをお勧めしますよ」



自己紹介をしたときのように廊下側から測定していく。


どのように表されるのか、自分の能力が気になるのは皆同じようで騒ぎ出していた。


先生が用紙に適性と数値を記入して渡しているようだ。


クラップ君はナルバンド先生が言ったことを気にせず、基準や平均を知らないだろうに自分の数値(580らしい)を口にしてすげーだろと自慢している。


(学校側は記録しているようだが、他人に自分の能力を把握されるのは避けろってことだろうに。俺は闇属性の隠形魔法については誰にも言ってないし、できれば適正があるってのも隠しときたいな。数値は……どうなんだろ)


チーグルは検査を終えて肩を落として戻ってきていた。


クラップ君より数値が低かったのだろう。


ケオランは用紙とにらめっこしながら戻ってきた。


ユユは……変わらない無表情。


そして、最後にトキとなった。


ザワつきが収まって、その様子を見守る雰囲気になる。


大きい方に触ると、中心が緑で周りが黒く、さらにその周りが青色に変化した。


続いて小さい方に触るが、見たことがない文字が浮かび上がる。



「これは……さすがだね」



と、小さい声でナルバンド先生が囁いた。


もらった用紙には魔法適正1:風、2:闇、3:水とあり、魔力量は21390とあった。


(母さんも魔力量は多いと言ってくれたけど、高すぎじゃね?それでも高速飛行で枯渇することあるから、やっぱまだまだ燃費悪いんだな)



「いいですか?あくまでこれは目安です。自分に適した属性の魔法を練習するよう心がけてください。では、本日はここまでとします。解散」



多くの子が周囲とどうだったと聞き始める。


ケオランは興味ないようだ。



「トキ、この後どうするよ?」


「案内には目を通したけど、実際の活動はどんなものなのか見に行こうかな。どっちにしろ放課後や休日はクラブかギルド活動をするつもりだし」


「そっか。じゃ~俺もクラブ見学についていくわ。チーグルとユユも一緒に行かないか?」


「え?ぼ、僕もいいの?」


「かまわないぜ。トキもいいだろ?」


「ああ、もちろん」


「私はギルドランクをあげたいから結構よ」


「へ~もう登録は済ませてあるんだな。どこのギルドで今何ランクだ?」


「……冒険者ギルドでまだEランクよ」


「そっか、じゃ~クラブでいいのがなかったらパーティ組もうぜ!俺はまだどこにも登録してないけど」


「……気が向いたらね」



ケオランには比較的素直に答えることに理不尽さを覚える。



「トキも冒険者ギルドだったっけ?ランクは?」


「少し前にBランクへのランクアップ試験を受けてまだ返事をもらいに行って「「「Bランク!!??」」」……うるさい」



ユユやチーグルまで揃って声をあげた。


できれば聞こえないようにしてもらいたかったが、話す場所と時を間違えたようだ。


クラス中から視線を集めてしまった。


うそ、まじかよ、という声が聞こえる。


3人から謝罪されたが、まずは移動することにした。



「悪い、トキ。でも驚いたなぁ。冒険者ギルドで配達依頼してるのは噂で聞いてたけど」


「次からは気をつけてくれよ。無闇に注目されたくない」



それは最初から手遅れだと言われる。


気まずいことをしてしまったからか、ユユも入れて結局4人で昼食をとった後、クラブ活動の見学に向かうことになった。


それ以降は会話も弾み、ユユもチーグルやトキと同じく平民で、将来は冒険者としてやっていくつもりであると話してくれた。


ユユは四席で合格したらしく、授業料免除にならなければ入学を諦めるつもりだったとか。


生活費などは全て自分で稼いでいるという。


チーグルは家族がお金を援助してくれたので、働き出したら家に仕送りするんだと(似合わないが)息巻いている。


昼食が終わってからギンを二人に紹介してあげた。


チーグルは目を輝かし、ユユは「美味しそうね」と呟いていた。


ギンと一緒にユユを警戒すると「冗談よ……高く売れそうね」と言われた。


やはり警戒が必要だ。



クラブ活動といっても、2年生150名の内で学内クラブに参加しているのは100人に満たない程度だ。


その規模はしれていたが、色々見て回った。


剣術部、馬術部、弓術部、棒術部、体術部、魔球部、ダンス部、山岳部、水泳部、室内楽部、合唱部、演劇部、料理部、史学部、etc。


途中からなんとも微妙な空気になった。


どこも熱烈に歓迎してくれるのだが、どれもぱっとしない。


ケオランは「槍がない……」と落ち込んでいて、チーグルは「建築部がない……」そりゃないだろうと思った。


今日はもう止めて、明日まだ見てない活動を見ることにした。


正直、皆もう期待はしていない。

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