指輪がある!?
式の事前打ち合わせの時に、凰太に指輪を失くしたことを打ち明ける沙絵。
そして、二人の休みの時に一緒に探すことになった。
◯登場人物
沙絵 46歳
訪問介護の仕事をしている。
凰太 43歳
沙絵の彼氏 家電量販店で販売の仕事をしている
千沙 18歳
沙絵の娘 保育の専門学校に通う。
おーくんとの結婚式まで、あと二日。
おーくんと行った式の打ち合わせの時に、トンカツ屋さんで私は指輪を失くしてしまったことを打ち明けた。
「うんうん、失くしたことはもう仕方ないし責めてもしゃーないやろ。一緒に探したらいいやんか。俺も協力するし」
おーくんは優しくそう言ってくれた。せっかく買った結婚指輪を失くしたなんて、普通ならめちゃくちゃ怒られても仕方ないのに。
私、そんなに悲壮感ただよってたんだろうか。
まぁそんなわけで、結婚式の二日前の二人が休みの時に、午前中から家に来てもらって指輪探しをすることにしたのだ。
◇
【さーちゃんの指輪を探せ】
「おーくん、これって……なに?」
おーくんはA4のコピー用紙に色鉛筆を使って何やら書き出している。
「え、指輪探すための情報を書き出してるんやんか。言葉だけでやり取りするよりも、記録に残すほうが思い出したり出てくることもあるやろ?」
なるほど。でも、なんか色々な色で書いてる様子を見ると楽しんでるような気がしないでもない。私はめちゃくちゃ焦ってるんだけどな……
「おーくん、私めちゃくちゃ探しまくって、それでも出てこないから、もしかしたら盗まれちゃったとかもあるかもなんやけど……」
「ん〜、まぁそれはわからんけども、とりあえず失くした日から今まで探した場所とか物を、教えてくれる? 今までの行動とか、さーちゃんの性格を考えながら、指輪の在り処を考えてみるから」
行動はともかく……私の性格は関係あるんだろうか?
「ん〜と、車の中でしょ? 家の中はもうほとんど探したけども、台所とかお風呂場とか、洗面所も探したし……」
おーくんは私の言葉を聴きながら、色鉛筆でカキカキしている。
ちなみにおーくんは車の運転の時と、書き物とかパソコンをする時はメガネをかけている。メガネ姿のおーくんも超かっちょいいのだ。
「さーちゃんどうしたん? ぼーっとして」
見惚れてると言ってほしいんだけど!
「ぼーっとしてへんよ〜! あ、指輪の場所わかった?」
「ん〜、まだちょっと情報不足かな。結構色々探したんやね……あ、ひとつ聞きたいんやけども。さーちゃん、大事なものを入れておく場所って何かな?」
大事なものを入れておく場所?
「え? 場所っていうか……財布じゃないん?」
おーくんは何を聞いてるんだろう。
「うんうん。さーちゃん、財布って小銭入れと長財布と分けてるって言ってたっけ?」
「え、そうやけど……」
おーくんは何やらニヤニヤしている。
「長財布って確か普段は使わんから免許証とか入れて車の中に置いてるって言うてなかったっけ?」
「そうやけど……まさかその中に入れてるとか?」
私は半信半疑だったけども、おーくんがせかすので一緒に車の方に見に行くことにした。
そして……
「あった〜〜!!」
そうなの。おーくんの言うとおり、私が普段免許証とかポイントカードだけを入れてる長財布の小銭入れスペースに指輪は入っていた。
「ほらな〜。さーちゃんって、何かしてる時とか、電話してる時とか同時にしてる何気ない行動とか、覚えてない時あるやろ? んで、それでも大事なものとかやと、失くさんように、って無意識で入れるとこってあるやろな、って思ってん」
あれだけめちゃくちゃ探したのに……おーくんは一時間もかからず探し出してしまった。まるで名探偵みたいだ。
「おーくん、めちゃくちゃ凄い! それにありがとう……私、このまま見つからなかったらどうしようかなと思って毎日泣きそうやったもん。でも……なんでわかったん?」
おーくんは笑いながら言う。
「そりゃあ、毎日さーちゃんのこと考えてるから、さーちゃんの行動パターンとか、考えることくらいすぐわかるで〜」
「え〜、それって私が単純ってこと〜?」
おーくんは私の方を見て、真顔になった。
「さーちゃんのこと、大好きってことやで」
凰太の協力のおかげで、無事指輪を見つけることが出来た。
めでたしめでたし……?
いや、せっかくなので、結婚式の様子も最後に見ていってくださいね。




