木枯らしの中での結婚式
結婚式の二日前になんとか凰太の名推理のおかげで指輪が見つかった。
これで無事に式を挙げることができるね。
◯登場人物
沙絵 46歳
訪問介護の仕事をしている。
凰太 43歳
沙絵の夫 家電量販店で販売の仕事をしている
千沙 18歳
沙絵の娘 保育の専門学校に通う。
凰太の父 74歳
凰太の母 69歳
ホント〜〜〜に! よかったぁ〜〜!
何がよかったかって? 指輪だよ、指輪。
結婚式の二週間前に、結婚指輪を失くしてしまうなんて最悪だよね……もう私は仕事も手につかないくらい焦っていた。
でも、おーくんに素直に話して、相談して、一緒に探してもらうことで、見つかったのだ。
あぁ、ホントによかった……
というわけでおーくんとの結婚式当日。
ちょっぴり残念だったのは、朝からずっと雨模様なことだ。木枯らしも吹いていて少し寒い。
まぁでも天気ばかりは読めないから仕方ないよね。
「これからも何か言いにくいこととかでも、なんでも言ってくるんやで? 失敗をしてしまうことよりも、隠し事をするほうが俺は嫌やから」
と、おーくん。
「うん、うん。これからはちゃんと話す。ねぇねぇおーくん、最近の信号機ってなんであんなにぺったんこになったの?」
さっそくなんでも聞くことにした。
「え。あれやろ、LEDになったからぺったんこになったんやで。節電にもなるし、電球代えなくていいし、どんどんぺったんこになっていってるやろ、今。てか、結婚式の時に聞かなくてもいいやつ〜」
今は衣装を着て、私がヘアメイクをしてもらっているとこなのだ。
おーくんのご両親とチサはあとで来ることになっている。
「奥様、どうですか? 髪はアップにして、サイドを少しカールして垂らしてみました」
奥様! 奥様だって! もうすでにニヤケが止まらない……
「あっ、はい! めちゃくちゃ素敵です、ありがとうございます! おーくん見てみて〜」
「うんうん、見てるで〜。綺麗にしてもらったやんか。ドレスも似合ってるで」
私は外が寒いのもあるけど、肩の出ないようなレースで覆ったウェディングドレスにしてもらった。
おーくんはグレーシルバーのタキシードでめちゃくちゃカッコイイ。中に着るワイシャツは自前で用意することになっているから、今日のために新しく白のワイシャツを買ってきた。
「では、あと一時間後に始まりますので、よろしくお願いしますね」
「「よろしくお願いします!」」
◇ ◇ ◇
ハーバーランドにある小さな結婚式場の中。
おーくんのご両親と、チサと、おーくんと私でするささやかな挙式。
式場はとても小さくて、でも可愛らしくて、真ん中の祭壇? みたいなところに外国人の恰幅のいい牧師さんが立っている。
「あなたは、病める時も、健やかなる時も、新婦のことを永久に愛し、慈しみ、敬うことを誓いますか?」
「はい、誓います」
おーくんが答えた。
「あなたは、病める時も、健やかなる時も、新郎のことを永久に愛し、慈しみ、敬うことを誓いますか?」
「は、はいっ!誓います!」
私は緊張しながらも答えた。
「ではここで、二人の愛の証である指輪の交換を行います。指輪をここへ」
式場の担当の人が指輪を台に載せて持ってきてくれた。
「それでは、お互いの指に指輪をどうぞ」
私はおーくんの指におーくんの指輪を、おーくんは二日前にようやく見つかった私の指輪を、私にはめてくれた。
あぁ、私の指輪ちゃん。見つかってくれてありがとうね〜!
「それでは、皆様の前で誓いの口づけをお願いします」
わ、チサがちょっと恥ずかしそうにして見てる〜。それにご両親もめちゃくちゃ見てるんだけど〜! なんだか少ない人数だと余計に恥ずかしいよね。
「さーちゃん、こっち向いてや」
おーくんの方を向いて目を閉じる。おーくんは私に優しく口づけをした。
「ここに一組の幸せな夫婦が誕生しました。皆様どうか祝福の拍手を!」
牧師さんが言うと凄く感じが出る〜!
式場の牧師さんが立っていた後ろ側の壁を見ると、自動で背面の壁にあったカーテンが開いていく。
わっ、わっ、そんな仕掛けあったんだ! 打ち合わせの時に言ってたっけ?
しかも……!!
「皆様ご覧ください。今日は雨模様でしたが、この瞬間に空は晴れ、しかも大きな虹がかかっています。まるで二人の未来を祝福しているかのようではありませんか!」
牧師さんの言うとおりで。
ホントにたまたまなのか、神様がしてくれたんじゃないかというタイミングで外が晴れて、ハーバーランドの海側の空に、綺麗な虹がかかっていた。
「おーくん凄いね!!」
「めちゃくちゃ綺麗やな〜、これも日頃の行いやで〜」
日頃の行いが関係あるのかはわかんないけど、私は感動して、ちょっぴり泣いてしまった。
おーくんのご両親も、チサも笑顔で拍手してくれている。
あぁ……私。めちゃくちゃ幸せだ。
愛する人とこんな素敵な場所で、娘のチサと、おーくんのご両親にも祝福してもらえて結婚式を挙げることができて。
ちなみに小さい式場だから、ご両親とかチサの声もまぁまぁ聞こえてくる距離である。
「お父さんお父さん、おーたくん良かったやんね〜、こんな綺麗な奥さんと結婚できて!」
「ほんまやなぁ〜、おーたくん、ちっちゃい時に自転車乗って居眠り運転して顔ズル剥けてた時あったやんな〜。なんかわからんけどその顔を思い出してしもたわ〜」
お父さんその情報今!!?
おーくんも聞こえてるのか、苦笑いしている。
「おーくん。ホントにありがとうね。私、めちゃくちゃ幸せ。愛してるよ、おーくん」
「うん、こちらこそありがとうな。さーちゃん、俺も愛してるで」
式の最後に可愛いブーケを係の人にもらった。
「チサ、おいで〜。ほらこれ貰ったら結婚できるっていうやつやで〜」
「あのねぇ、ママ。この中で私しか貰える人いないでしょ? あと、私の場合、まず相手を探さないとなんだけど〜!」
私もおーくんも、ご両親もみんなで笑った。
完
作品を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
凰太と沙絵と千紗の、これからの新生活を応援していただけると嬉しいです。
こちらの作品は、武頼庵(藤谷K介)様主催『木枯らしの風景企画』参加作品です。
作品全体の中に、指定キーワードを入れております。
【結婚式場】エピソード1
【ビール(他のお酒でも可)】エピソード3
【自動車(種類は何でも)】エピソード2
【杖】エピソード3
【鉢植え(鉢だけでも可)】エピソード4
【ブーツ(靴でも可)】エピソード4
【鎌】エピソード3
【虹】エピソード7
【15時】エピソード4
【電話(スマホ・ケータイも可)】エピソード2
【信号機】エピソード7
【シャツ(種類は何でも可)】エピソード7
【色鉛筆】エピソード6
(実際は複数回使用しているワードもあります)
上の画像は、今回のエピソードのイメージイラストを、生成AIを利用して作ったものです。




