訪問介護の仕事
二週間後に凰太との挙式を控えたタイミングで、大切な結婚指輪をどこかに無くしてしまう沙絵。
果たして指輪は見つかるのか??
◯登場人物
沙絵 46歳
訪問介護の仕事をしている。
凰太 43歳
沙絵の彼氏 家電量販店で販売の仕事をしている
千沙 18歳
沙絵の娘 保育の専門学校に通う。
二週間後の挙式までに無くしてしまった指輪を絶対に見つけなきゃいけない。
でも、仕事もしながらだからなかなか時間がないんだよね……前に住んでいた香川でもそうだったんだけど、私は訪問介護の仕事をしているの。
介護の仕事の初めは施設だったんだけど、子供のことをしながらということを考えるとある程度自分の時間を作れる訪問介護の仕事を選んだんだ。
簡単に言うと一日数件の利用者さんのお宅に訪問して支援することと、あとは一応私は管理者をしてるのと、会社の介護の部署は凄く人少ないから請求業務やら、事務処理や、シフト管理もしてるんだけども、自分で仕事を調整できるという点では全然いい。
あ、あとね、移動中は自由だからコンビニで休憩も出来るし、子供のご飯を作りに帰ったり、あとはおーくんと電話やメールも出来るんだ。
もちろんおーくんの都合もあるけども、毎日ヘトヘトになって疲れてる時に、おーくんの声を聞けたら元気が出る。よし、もう少し頑張ろう! てなれる。
ただ、二週間のうちに休みは四回しかない。そもそもどこで無くしてしまったかもわからないのに、見つかるのかな……
「いってきまーす」
今日は私は仕事の日。娘のチサよりも早めに家を出るのだ。朝早めの時間の支援があるからね。
そして自動車に乗り込んで、イヤホンを付ける。かける相手は決まってる。
「おはよう、おーくん」
『うん、おはよ〜。いつも早いやんね』
おーくんも今日は仕事の日なのだ。おーくんは家電量販店でメーカーの販売の仕事をしているんだけど、私よりは始業の時間は遅い。
「二週間後楽しみだね〜! 来週に最終の打ち合わせがあるくらいかな?」
『うんうん、もう準備はほとんど出来てるもんな。さーちゃん、何か不安なことあったらいつでも言ってくるんやで』
おーくんの優しい言葉が今は逆に辛い……不安あるんだけど〜! あるんだけど、おーくんには言えないよ〜! 結婚指輪どこかに無くしちゃったなんて言えないよ〜! あ、言〜えないよ〜♪ て歌ってる歌手さんいたような……て、歌ってる場合じゃない!!
「あっ、うんうんっ! 不安なんてないよ〜! あ、強いていえばこれから行く利用者さんのお婆ちゃんがだいぶ認知入ってて、家がゴミ屋敷なんやけど、そのゴミを片付けるのが不安っていうくらいかな〜」
そうそう、訪問介護と言っても、身体って言われるお風呂やトイレや体を直接触る仕事は、もちろん利用者さんにもよるんだけど、だいたい半々くらいだ。
そもそも、訪問介護と言うのはお家に訪問したり、たまにサービス高齢者住宅っていう見守り付きの賃貸マンションみたいなところに行くこともあるんだけど、基本は自宅に伺う。
そして、今から行く利用者さんのように貯めまくったゴミを片付けたり、掃除したり、ご飯を作ったりという、いわゆる家政婦さんみたいな仕事をすることもまぁまぁの確率であるのだ。
『前も言ってた婆ちゃんやね。期限切れのシュウマイ三十箱冷蔵庫に入ってたっていう。いつも大変やね〜』
「そうなのよ〜、まぁ慣れっこだから大丈夫。じゃあそろそろ入ってくるね。行ってきます」
『うん、さーちゃん頑張ってな。俺も頑張ってくるわ』
今日も朝からおーくんの声を聞いて仕事が始まる。
よしっ! 頑張るぞ! あ、指輪も見つけるぞ〜!
二週間のうちに指輪を探さないといけないが、休みは四日だけであとは全部仕事だった。
どうするどうする??




