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パーティメンバー全員に嫌われている様なので潔く脱退します  作者: 排水溝の忍者


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帰還/出発


俺が【セスレナ】に戻って来られたのは日がかなり沈み夜の帳が降りきった後だった。人の声は所々で聞こえるが、どこもかしこも店仕舞いし灯りは消え、昼間では考えられない静寂が街を包んでいた。


本当はこのまま【ウルリパの癒し】へ直接帰りたかったのだが、一度ベッドで寝てしまうと恐らく次の日以降は起き上がる事が出来なくなってしまうので俺は先に冒険者ギルドに寄ることにした。


日は回っているだろうが夜明けまでに戻れて良かったと安堵しながら冒険者ギルドの扉を開く。まだ少しの喧騒と目には痛い程の明かりは今の俺には少し厳しい。


目を細めながら受付カウンターまで進むと、奥の方から一人の受付嬢が現れた。深夜帯なので人数も少ないがしっかりと対応してくれる。


「こんばんわ ようこそ冒険者ギルドへ。ご用件をお窺いします。」


「か、かいとりをお願い、し....したくて」


「??? かしこまりました。大きさはどれくらいでしょうか?」


「け、けっこうな、お、おおきさです。」


「では解体場へご案内致します。どうぞ」


痛み故に話し方がおかしくなってしまう。受付嬢も頭に疑問符を浮かべ不審がっている。決して俺が人見知りだからじゃ無いと弁明したいが、そんな事をする余力も気力も残っていない。


俺は黙って受付嬢に解体場まで案内された。



〜解体場〜



「では、此方にお願い致します。」


「は、、はい」


促されるがままに俺は<収納袋(アイテムポーチ)>から倒したモンスターの死骸(頭部と身体)を出した。


「こ!これは!!」


「おいおい!コイツは『地牙狼』じゃねぇか!!」


人数が少ない解体場が騒がしくなり始める。ギルド専属の解体業者と案内してくれた受付嬢は驚愕の表情を見せた。


「す、すごいぞ!!こんな大物初めて見た!! にいちゃん凄いな!これアンタが一人でヤッたのか?」


「え、ええまぁ。お陰様で身体中ボロボロですけど.....。所でこのモンスターの名前って?」


「このモンスターは『アース・ウルフェリオン』別名『地牙狼』とも呼ばれている『牙狼獣 ウルフェリオン』の亜種に当たるモンスターです!」


受付嬢さんが代わりに答えてくれる。


「このモンスターの危険度はAA(ダブルエー)ランクに相当する非常に危険なモンスターなんです。噂では地面を操り岩や石を攻撃に使うとか...そんなモンスターを単独で討伐するなんて.....凄すぎます!」


AA(ダブルエー)!?ま、まじ、か」


モンスターの等級は冒険者ランクと違い細分化されている。その理由は昔に等級以上の強さを持つモンスターと戦い命を落とす冒険者が大勢いたからだ。


「.....その様子だと随分お疲れのご様子。だからさっきから挙動不審に見えたのですね。買取金は後日内訳と共にご用意致しますのでどうぞ本日のところはお休み下さい。」


俺は言われるがまま解体場を後にした。正直限界は既に超えている。


勿論<自然治癒(ピュアーリング)>のお陰でだいぶマシになったし思ったより早く街に着いたのもこの為だ。しかし変わらず全身の激痛は続いている。


「今日は.....本当に疲れた......」


【ウルリパの癒し】に戻った俺はそのまま部屋へと直行しベッドの上に寝転がると直ぐに深い眠りについた。





戦擊の妖精(ヴァルキュリア)】side


「イフルール君、今はセスレナに居るようです」


戻ってきたジュラネルさんが淡々と告げる。それは何も思わない様に取り繕っている風にも見えた。


「セ、セスレナですか。なるほど.....セスレナ....」


パウルが動揺するのも無理はない。なんたって【セスレナ】は殆ど居座っていないしイフルールも外出禁止を出されていたので私達とのクエスト以外では街に行く事もなかった。


だが、逆に言うとそれ故になのかもしれない。私は何処か納得すると共にジュラネルさんに話の続きを聞く。


「なんでも昨晩遅くに地牙狼を持ち込んだ冒険者が居たとか....その方は一昨日にセスレナで拠点登録をしたばかりだそうで」


驚きの連続である。私の知る限り『地牙狼』と言えば危険度AA(ダブルエー)ランクのモンスターだ。それを凡そ単独で倒したであろうイフルールには脱帽と言うしかない。


しかし、


「なんでもその冒険者の方....全身ボロボロで今にも死にかけだったそうで....」


「「「!!!!!!!!!」」」


ジュラネルさんの顔が一気に深刻そうに暗くなる。それもその筈、私達が知る限りイフルールはそれ程強くない。奥の手があるのは知っていたが私達と冒険した中でそれを使う事は無かった。


自分で言うのもなんだが私達【戦擊の妖精(ヴァルキュリア)】は一人一人が結構強い。イフルールは付与魔法が得意なので支援を主体に囮役をする事が大抵だった。つまり、イフルール本人が戦闘に参加する事は殆どなかったのだ。


そんなイフルールが一人でAA(ダブルエー)ランクのモンスターと戦ったのだ、無茶したに決まっている。例の奥の手を使った事は言うまでもなく明白だろう。


「悔しいですが、私はこの街から簡単に離れる事が出来ません。ですから、不躾ながら皆様にどうかお願い申し上げます。イフルール君の事、どうか宜しくお願いします。」


事情を聞いて尚、私達に頭を下げてお願いをするジュラネルさん。「任せて下さい」なんて軽々しく今の私には言えない、言う資格がない。それでも、頭を下げるジュラネルさんに対して何も言わないなんて出来なかった。


「ジュラネルさん、私達、私は....」


「大丈夫です、話せばきっと、イフルール君は分かってくれると思いますよ」


それは一番言って欲しい言葉だった。勿論、やってきた行いは許されない事だしイフルールに許して貰おうなんて思っていない。それでもジュラネルさんの言葉がどれ程私の心を軽くしてくれただろうか。恐らく2人も同じ気持ちだろう事は表情からも分かった。


「今はとにかく、イフルール君が心配です。ですから行ってあげてください」


そんなジュラネルさんの後押しもあり私達は足早に【記念都市ファルン】を出発した。目指すは【セスレナ】其の場所にイフルールが居るという情報を頼りにして。


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