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パーティメンバー全員に嫌われている様なので潔く脱退します  作者: 排水溝の忍者


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閑話①


【ナラルル王国】に冒険者ギルド本部が在る。期間を経ても良いが出来るだけ早く再加入したいと俺が言い出し【ナナルル王国】に行く事が決まった。


しかし、ここ数日でお世話になった【ウルリパの癒し】の皆さんに感謝を伝えるべく出発は2日後にしてもらった。何せ寝たきり状態の俺に食事を摂らせてくれたり清拭まで...。普通の宿屋ではここまでサービスしてくれない。


特にミシェラさんには感謝してもしきれない。【戦擊の妖精(ヴァルキュリア)】の皆が来た時にミシェルさんが場を収めてくれなければどうなっていたか。


食事に関しても皆が来るまではずっと食べさせてくれていたし、合流してからも皆が居ない時は積極的に身の回りのお世話をしてくれた。


感謝を伝えるだけなら1日でも良かったのだが、身体の調子も考えて少し余裕を見た。【セスレナ】から【ナラルル王国】まで凡そ1週間は掛かる事を踏まえると万全の状態にしておいて損は無い。それに、元々の予定では身体が全快するのにあと2日掛かっていた事を考えると丁度良いとも言えた。



「よし、それじゃあ行こっか」


「「うん!!」」「ああ!」


【ウルリパの癒し】の扉を開き【セスレナ】の街へと出掛けるは【戦擊の妖精(ヴァルキュリア)】の一同。


俺の問い掛けに対して元気良く返事するルルレット、ティルベーア、パウル。【ウルリパの癒し】の皆さんへの御礼の品を購入するべく4人で街へ出掛ける事になったのだ。


「ねぇイフルール!はやくはやくれ!行きましょう!」


「ちょ、ちょっと引っ張らないでよティルベーア」


「ほらイフルール!あっちも色々ありそうだぞ!」


身体が裂けるのでは?右にティルベーア、左にパウルと傍から見れば両手に花だが俺は今別々の進行方向に体を引っ張られている。ルルレットが慌てて止めに入ってくれ何とか助かったが あわや死ぬところだった。


「もう!2人とも何してんのよ!まったく.....大丈夫?イフルール?」


「う、うん助かったよ ありがとうルルレット」


顔を少し赤らめながらソッと腕組みしてくる。反省している2人を他所に【セスレナ】の街で有名なお店を幾つか紹介してくれる。


「まぁでも、実際行ってみないと分からないし近い所から順に見に行きましょ?」


俺は軽くそれに答えると今いる場所から1番近いという店に向けて歩き始めた。場所はルルレットが把握してくれているので安心して店を回れる。


先ず最初に訪れたのは甘味物で有名な『ディ・ディ・パシィエ』女性は甘味物に目が無いとかで3人も目を輝かせて店内を見て回っている。


俺は店員さんがオススメしてくれた何食か小分けで入っているお菓子を幾つか購入した。思ったより値段が高くて驚いたが『アース・ウルフェリオン』の買い取り金で今は潤っているので懐には余裕がある。


因みに『アース・ウルフェリオン』の素材等は幾つか貰える事になり装備を作るのに使う予定だ。【メーギビア】に戻った際に作ろうと思っているが【ナラルル王国】に行くことになったので当分はお預けだ。


「イフルール!次はこっちよ!」


ルルレットに手を引かれるがまま次の店へと足を向ける。先程まで店内で目を輝かせていたのに、既に興味が次の所に移っているらしい。


丸で子供みたいに燥ぐルルレットに競り合う様に擦り寄ってくるパウルとティルベーアは落ち込んでいたのが嘘かのように明るい笑顔を向けてくる。


「イフルール!どうやら次のところは装飾店らしいぞ!楽しみだな!」


「ちょ、ちょっと!2人とも私も!」


またしても腕の取り合いになり揉みくちゃにされるが、まぁ悪くない、かな?『ディ・ディ・パシィエ』から少し歩いた所に見えてきたキラキラと光る宝石の様な店『ルビル・ルル』赤を基調とした外装に星が散らつく屋根と窓。煌びやかな照明は昼間でも夜を彷彿とさせる。


「いらっしゃいませ、ようこそ『ルビル・ルル』へ。」


店に入ると従業員が出迎えてくれる。屋敷の主人にでもなった気分だが雰囲気からも全く落ち着かない。慣れない場所に困惑しつつ、案内されるがまま店内を見て回る。


「女性の方々は此方なんてどうでしょうか?」


別の従業員がパウル達に声を掛け3人共其方について行った。どうやら男女で紹介する商品が違うらしい。それに、先程からチラチラと熱い視線を感じていたので従業員の個人的な思いも含まれてそうだ。勘弁してくれ....


装飾品は、値段も然る事乍ら謝礼の贈り物としても少し重たい気がした。なので一旦保留にし、特別強くオススメされたネックレスを3種類だけ購入した。これは【ウルリパの癒し】の皆さんとは別の買い物だ。


「色んな宝石がいっぱいあったわね!」


「あぁ!魔道具の類いまで、様々な種類が豊富に陳列されていた、正に宝石箱だったな!」


こうして今日一日中【セスレナ】の街を散策しつくした俺は帰りには両手が塞がり手荷物でパンパンになっていた。冒険やクエストとは違った疲労感が全身を襲うと同時に皆と出掛けた事の楽しさも実感する。


夕暮れ時、日は殆ど沈み夜が顔を出し始めた頃。パウルの提案で夜食を食べに行く事になった。手荷物は<収納袋(アイテムポーチ)>に仕舞い両の手を空にすると再び2人に腕を取られる。


今日1日だけで色んな種類の店舗を幾つも周ったがその度に両腕を誰かに取られていた気がする。悪い気はしないが人数的にも1人は余ってしまうし、今までとは違いすぎて最初の方は多少戸惑ったりもした。


しかし、人というのは慣れるもので夜食に向かう道すがら俺は場所も決めていないのにエスコートする様に腕を引き歩く。余った1人に関しては後々何かで清算している。今回で言えば夜食の席は隣ということで手打ちにした。


因みに両腕にルルレットとティルベーア余りはパウルなのだが、パウル本人から申し出があった為平和的に解決した。


暫く歩いた挙句どこに行くかも決まらぬまま路頭に迷っていると凄く立派な執事服を着たイケメンの男性に声を掛けられた。


「御一行様、本日の夜食(ディナー)はお決まりでしょうか?もしお決まりでなければ此方は如何ですか?最高の夜をお届け致しますよ」


「え、なに、ちょっと怖いんですけど...」


「これは失礼致しました。私し『ラ・ミゼラ・ブルー』の案内人『ピシネスカ』と申します。以後お見知りおきを」


手で促されるまま俺達は人のいない裏路地へと招かれた。怪しさはあったものの店舗名と本人が名乗った名前が記載された小さな紙を渡され、その作り込みと丁寧さから本当なのだと信用する事にした。


招かれた先は行き止まりになっていた。案内人が行き止まりの壁を叩くと静かに動き始め軈てその姿を表していく。 青と海を連想させる外観は秘密の入口へと誘う魅惑の扉。


開かれた先は大いに賑わっていた。案内人曰く選ばれた人間しか入店を許されない秘密の飲食店らしく声を掛けられた人間しか場所を知らない。それでも大盛況な店内を見て怪しさは一気にぶっ飛んだ。それに、良い香りが空腹を引き立てる。


「な、なんなんだここは....。」


「す、凄いわね。内装も素敵だし....こんな隠れた名店があったなんて.....」


「特別なお客様しかお声掛け致しません。御一行様は入店するに相応しいと思いお声掛けさせていただきました。どうでしょう、気に入って頂けましたか?」


俺達は黙って頷くとそのまま席へと案内された。全ての席が個室になっており周囲の状況は把握できない。逆に言えば此方の状況も周りにバレる心配はない。


特に聞かれても問題ない会話しかしないが4人だけという空間は特別感を演出させる。完璧に閉ざされた個室は広々としていているが人と人との距離は思ったよりも近い。


「では、約束通りイフルールの隣は私が座らせてもらうぞ?」


そう言って奥に俺を押し込むと隣で満足気に腕を組んでくるパウル。普段は感じる事の無い体温と柔らかな感触に意識を奪われつつ白い目のルルレットとティルベーアから目を逸らす。


「見てくれイフルール!どれも美味しそうな料理達だ、どれにしようか!」


「そ、そうだね....あまり聞いた事の無い料理名まで、2人は?どうする?」


「う〜ん....これなんか美味しそうじゃない?」

「うんうん、私もそれ気になってた!」


机の上に置かれたメニューから注文する料理を選ぶ。見た事や聞いた事の無い料理は魔法で立体的且つ鮮明に映し出されるので安心して注文する事ができる。


「お客様、御注文はお決まりになりましたでしょうか?宜しければお伺いさせて頂きますよ?」


案内人であるピシネスカさんが丁度良いタイミングで尋ねてきた。俺達は気になった点を確認してから料理を注文する。


「それでは、暫くお待ちくださいませ。」



「ふぅ〜...お腹いっぱいだな。」


「そうね!イフルールの料理には負けるけど、此処の料理をすっごく美味しかったわ!」


「あぁ!是非また来てくれと言われたしな!ここは行きつけにさせてもらおう!」


料理を食べ終え店を後にした俺達は夜の街で大満足な感想を言い合っていた。お腹が満たされた事で気分は落ち着き景色が色鮮やかに見える。


【セスレナ】の街を見渡し感傷に浸る。滞在した期間は短いが色々な事があり過ぎて思い出は相当に濃い。脱退して、新たな拠点にして、AAランクモンスターを倒し、気が付けば再び【戦擊の妖精】メンバーに。課題は色々有るし問題も山積み、全てが解決した訳ではないが、俺は、俺達は確実に前に進んだ。


この街での一区切り、終わりを感じながら夜が更けていく【セスレナ】の街を艷めく美しい3人と共に歩いていく。これからの新たな冒険の足並みを揃えるように。


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