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パーティメンバー全員に嫌われている様なので潔く脱退します  作者: 排水溝の忍者


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衝撃の妖精


「うぅ〜〜〜んん!....身体伸ばすのきもちぃぃ!」


あれから2日後。順調に療養は進んでいきとうとうベッドから立ち上がる所まで回復した。


身体をぐっ と天井に伸ばし鈍りに鈍った身体を解していく。<自然治癒(ピュアーリング)>の効果も然る事乍ら、ティルベーアの掛けてくれた<回復(ヒール)促進(プロモーション)>のお陰で治癒力が倍増し思ったより早く快調にまで至った。ティルベーアには感謝しかない。


「まだ無理は禁物だけど...軽い運動から始めて行くか」


立つのが久しぶりなので凄く変な感覚だ。歩けないことは無いが違和感が凄くその場で足踏みし地面をしっかりと確かめる。


取り敢えず部屋の中で一通りの柔軟体操を終えると筋トレを始めた。腕立て・腹筋・背筋・体幹・屈伸、無理のない回数でゆっくりと慎重に取り組んでいく。


時々骨の空気が抜けるパキポキという音が全身から聞こえるが気にせず鳴らしていく。


「ふぅ....ふぅ.....ふぅ.....」


徐々に疲れを感じ始めた。まだ運動といえる運動は行っていないのにも関わらず息が苦しくなり、堪らず口から空気を抜き鼻から呼吸する。


数分もしない内に体に力が入らなくなりそのまま床に倒れ伏した。勢いはなかったものの響くように部屋の中に鈍い音が走り渡る。


「はぁ....はぁ....はぁ.....もう、もうキツイ」


ガチャ


「イフルール入るわよぉ〜....ってどうしたの!大丈夫!」


偶々入ってきたルルレットが驚きの声と共に此方に駆け寄ってくる。俺は問題無いことを伝えるが、表情からは焦りと恐怖の色が滲み出ている。心配するルルレットに体を支えてもらいつつベッドの上に腰をかける。


「あ、ありがとうルルレット....お陰で助かったよ」


「もぅ!無理はしないでよ!イフルールに何かあったら、私は....」


「ごめんごめん、一刻も早く体を動かしたくてさ」


ルルレット含む【戦擊の妖精(ヴァルキュリア)】のメンバーにはまだパーティに戻るつもりがある事を伝えていない。というか、最近はそのは話題に触れないようにしていた。


それもあってか俺の言葉に少しだけ肩を震わせピクリと跳ねさせたルルレットは平静を保ちつつ「そんなに急ぐことないのに」と一言。それに対して俺は優しい微笑みで返す。


そうしている内に扉が開きパウルとティルベーアの2人も部屋へと入ってきた。


「どうした?何かあったのか?」


「.....イフルールがさっき床で倒れてたから、それを支えてたの」


「なに!?それは本当か?イフルール!」


「ちょっとどういう事?イフルール大丈夫なの?」


ルルレットの言葉に即座に反応した2人が凄い勢いで詰め寄ってくる。勢いのあまり思わずベッドの上に仰向けに倒れてしまい、対応もタジタジになってしまう。


「ちょっと、ちょっと!2人とも、大丈夫だから」


「そ、そうか、大丈夫なら、別にいいんだが」


「<回復(ヒール)促進(プロモーション)>とイフルールの<自然治癒(ピュアーリング)>のお陰で治りが早まったとはいえ、まだまだ全快には程遠いんだから.....」


「うん、気をつけるよごめんね みんな」


何とも微妙な空気が流れる。3人の中にはまだ俺に対しての罪悪感や負い目が抜けきっておらず踏み込んだ話はあの夜以降一度もしていないし、されていない。


「.....それより皆どうしたの?お昼にはまだ早いしなんかあった?」


堪らずに声を発した。何を言っていいか分からず思いついたその場の疑問をただ口にするだけの安直な物だが今の雰囲気を紛らわせるのなら内容はなんでも良かった。


「あ、実は....その....」


「ん??」


珍しく歯切れの悪いルルレット。様子を見兼ねてパウルが代わりに、と1歩前に出た。


「イフルール....急かすつもりは無いんだが....聞いておきたくてな。」


その一言だけでパウルが何を言いたいのか、聞きたいのかが分かった。俺は姿勢を正し真剣な表情で皆に向き直る。空気を察したのかその後の言葉は何も続かない。


「パウル、ルルレット、ティルベーア。皆には先ずは感謝を伝えたい。俺を【戦擊の妖精】に入れてくれて本当にありがとう、色々あったのは確かだけど皆のお陰で俺はAランク冒険者としてここまでやってこれた。それは事実だから、ありがとう。」


感謝の言葉を述べ始めた時点で、ルルレットの目には少しばかり涙が溜まっていた。だが、俺は気にせず言葉を発する。


「.....正直、全てを無かった事には出来ないし、脱退したのはあくまで俺の意思だ。でも.....でも今の俺達ならもっと上を目指せるんじゃないかって、そう考えてしまったんだ。」


「だから....だから、もう一度。今度は俺から改めて言わせ

てほしい。俺を【戦擊の妖精(ヴァルキュリア)】の仲間に入れてくれないか!」


何が起こったか分からず口を開け固まったままのルルレットとティルベーア。その2人とは違い言い終わると同時に一目散に抱きついてきたのはパウルだった。


「ちょ、パ、パウル!」

「イフルール....ありがとう。本当にありがとう....。」


感謝の言葉を述べながら目尻から熱い雫を落とす。パウルの体温が服越しに伝わる。しかし、身体は冷えきっており手も酷く冷たい。


「不安だったんだ。いや、もう一緒に冒険は出来ないと思っていた....だから、だから.....。イフルール今まで本当なすまなかった.......」


何も言わず咽び泣くパウルを軽く抱き寄せた。呆然とする2人を手招きし改めて4人で【戦擊の妖精(ヴァルキュリア)】の再結成を確かめあった。





〜冒険者ギルド〜


「......イフルールさんの再加入は此処では承認できなくて.......。」


「「「「え?」」」」


【セスレナ】の冒険者ギルドにてパーティの再加入申請をしていたところ、受付嬢からそんな言葉が発せられた。どうやら脱退して期間が間もない為、再加入するには一定の期間を経るか冒険者ギルド本部に行かないと駄目らしい。


「申し訳ないのですが、そういう規則でして....」


俺達は唖然としながらもどこか拍子抜けした空気に笑いを零した。思えばこうして何気なく笑い合えるのはいつぶりだろうか。ここからまた新たな冒険が始まるいや、【戦擊の妖精(ヴァルキュリア)】としてここからが本当の始まりなのかもしれない。


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