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第十八章:帰ってきた夫、あるいは霊能おばあちゃんの爆誕

皆さま、お越しいただきありがとうございます。

完璧な救済を掲げる聖女・歩花と、その夫でありすべてを無に帰す虚無の化身・キョム。この時空を超えた壮大な夫婦喧嘩……じゃなくて、夫婦愛に巻き込まれた俺。第16章でキョムの「不安定な存在」を俺の物語で強引に繋ぎ止めましたが、彼はそのまま霧のように消え去ってしまいました。 第17章は、姿を消した夫を追う歩花の切実な想いと、思わぬ形での再会。そして、キョムが連れてきた、これまたとんでもない「新メンバー」の登場です。45歳、胃薬代わりに冷たい水を煽る俺の受難、どうぞ見守ってください。


1. 霧の彼方からのメッセージ

「……歩花。そうカリカリするな。あいつの輪郭は、俺の物語で少しだけ安定したはずだ」

俺は、岩場に座り込み、遠くの霧を見つめる歩花に声をかけた。 キョムが消え去ってから数時間が経過していた。彼女は、夫が霧散した場所から一歩も動こうとしない。その背中は、峻烈な聖女ではなく、夫の身を案じる一人の妻そのものだった。

「……お兄ちゃん。1+1は?」 キュアが、心配そうに俺の隣に座る。 「……3だ。……いや、無限大かもしれないな」

「タイガさん……! これ、見てください!」 スカルが、ランドセルから何かを取り出した。 それは、キョム……彼女の夫が持っていたはずのスマートフォンだった。 画面には、奇妙なアプリが起動しており、そこには「キョム:現在地・北の忘却の都」という通知が表示されていた。

「……スマホのGPSで、夫を追跡してるのか?」 「はい。彼はまだ、安定していません。……急がないと、彼自身の『愛』の重さに耐えきれず、今度こそ、その存在が消滅してしまいます」

歩花の瞳に、強い決意の光が戻る。 「行きましょう、タイガさん。私の夫を……私たちの『家族の物語』を取り戻すために」

2. 再会と、白いペガサスの衝撃

俺たちは、スマホの通知を頼りに、北の「忘却の都」へと向かった。 そこは、かつて高度な文明が栄えたとされるが、今は霧に包まれた、静寂な廃墟だった。 都の中心にある、巨大な神殿の跡地。

「……キョム! 貴方、どこにいるの!」

歩花が叫ぶと、霧の中から、眩い光が放たれた。 光の中から現れたのは、あの虚無の穴ではなかった。 それは、一頭の、真っ白な、神々しいまでの翼を持つ「ペガサス」だった。

「……ペガサス?」 俺は呆然と呟いた。 「お兄ちゃん、これ……魔獣じゃない。この世界の理とは違う、もっと高位の『霊的」な存在だよ!」

ペガサスの背には、一人の、老婆が乗っていた。 年の頃は七十、八か。白い法衣を纏い、威厳に満ちた、だがどこか懐かしい雰囲気を纏っている。

「……あ。……貴方……?」 歩花の動きが止まった。 彼女の白い頬が、林檎のように赤らむ。

「……歩花。……迎えに……来たよ……」 ペガサスから降りたのは、老婆ではなく、一人の、若く、美しい男だった。 それは、あの虚無の奥底で見えた、悲しげな「男の顔」……キョムだった。

「……キョム! 貴方、その姿は……!」 「タイガさんの『愛の物語』が、僕の存在を繋ぎ止めてくれたんだ。……でも、まだ不安定だから、この姿を保つには、このお方の力が必要で……」

キョムが指差したのは、ペガサスから降りた老婆だった。

3. 霊能おばあちゃんと、45歳の敗北

「……初めまして、創造主様。私は、歩花の祖母であり、世界を代表する霊能者一族の長……玉代たまよと申します」

玉代は、威厳に満ちた声で告げた。 「孫の歩花が、高位の存在から救世の使命を与えられたと聞き、心配で、心配で……。かつてキョムさんが持っていた、異世界転移を可能にするアプリがインストールされたスマホを使って……後を追ってきたのです」

「おばあちゃん! 貴方まで、どうして……!」 歩花が、老婆に駆け寄り、その胸に顔を埋めた。 「……歩花。貴方は、誰よりも生命を愛し、不完全な世界を救おうとした。……だから、おばあちゃんが、貴方の『おバカな救世』を、サポートしてあげるね」

俺は、45歳の独身作家、斉木大河。 目の前で繰り広げられる、壮大な「家族の物語」に、完全に敗北を認めた。 完璧な救世を掲げる聖女、すべてを無に帰す虚無の夫、そして、世界を代表する霊能おばあちゃん。 揃いも揃って人外なのに、感覚は普通の人間と変わんないなんて、これってどうなんだか。

「……お兄ちゃん。1+1は?」 キュアが、俺の隣で、デレデレの夫婦と、老婆を指差す。 「……无限大だよ。胃の痛みも、な」

不殺の創造主・タイガと、監視の聖女・歩花。 そして、その夫キョムと、おばあちゃん玉代。 俺のペンが描く物語は、いよいよ世界の根源を巡る、最も不条理で熱々(あつあつ)な「家族の揉め事」へと足を踏み入れてしまった。


第17章、お読みいただきありがとうございました。 キョムの帰還、そして、霊能おばあちゃん玉代の爆誕。 完璧な救世を掲げる聖女と、虚無の夫。そして、それをサポートする最強のおばあちゃん。タイガが、この重すぎる愛憎劇にどう決着をつけるのか。

【感想・高評価のお願い】 「おばあちゃんのキャラが強烈!」「タイガの『愛の再創造』がかっこいい!」など、皆さまからの感想や高評価をお待ちしております。 皆さまの応援が、タイガの「胃痛の旅」を支える最高の処方箋です! (ぺこり)


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異世界転生, チート, ざまぁ 不殺, 既婚者ヒロイン, おばあちゃん) ディープステート, 暗殺, SNS
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