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いにしえの獣  作者: 明日香狂香
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絶望

 カナタの魂《たましい》は、夢《ゆめ》の中《なか》で苦痛《くつう》にあえいでいた。父《ちち》、ゲノを殺《ころ》された憎《にく》しみに、一族《いちぞく》を殺《ころ》された恨《うら》み、それらの憎悪《ぞうお》が彼《かれ》の心《こころ》を徐々(じょじょ)に蝕《むしば》んでいた。人《ひと》の愚《おろ》かさ、醜《みにく》さ、それらが己《おのれ》の中《なか》にもあるのかと思《おも》うと今《いま》すぐ消《き》え去《さ》りたいとさえ思《おも》うのだった。

 ドラゴンも人《ひと》もどうでもいい。みな自分勝手《すきかって》に生《い》きている。カナタは赤子《あかご》のころ一族《いちぞく》の死体《したい》の中《なか》に捨《す》てられている自分《じぶん》を想像《そうぞう》した。幼《おさな》すぎて記憶《きおく》はない。しかし、事実《じじつ》だ。植物達《しょくぶつたち》が教《おし》えた。真実《しんじつ》とは残酷《ざんこく》なものだ。

 人《ひと》が人《ひと》を襲《おそ》う。種族《しゅぞく》が違《ちが》うというだけで。どんなにこちらが平和《へいわ》に暮《く》らそうとしても、相手《あいて》が恐怖《きょうふ》を感《かん》じた瞬間《しゅんかん》、敵《てき》となる。さげすみ、ねたみ、保身《ほしん》のためならどんなこともいとわない。そんな愚《おろ》かな人間《にんげん》を救《すく》う必要《ひつよう》など、どこにあるというのか。

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