上の空
せっかくの大草原だ。
オレは寝転んでゴロゴロと日向ぼっこしよ
うよ決めた。
「白代くん?」
「んえっ⁉︎」
「さっきから呼んでるのに上の空だったよ?
大丈夫?」
白雪さんがオレの顔をまじまじと覗き込ん
だ。
えと…そんなに顔を近づけられると…
…やっぱりかわいい。
クリクリのおめめに長いまつ毛。
白雪さんに吸い込まれそうになる。
「また、ポーッとしてるよ?今日変だね」
と白雪さんが笑った。
あぁ、この笑顔とももうおさらばなんだな。
少しの間しか白雪さんとは一緒にいなかっ
たけど、なんか色々ありすぎたなー。
「ねぇ、だから聞いてる?今度の土曜日」
「えっ?土曜日⁇」
「うん、うちに来ないかなってお母さんが」
「え、あぁ…お母さんが」
「うん、無理ならいいけど」
「行きます‼︎絶対に行きます‼︎」
「ふふ、なら土曜日にね」
「はい‼︎」
所々上の空だったけど、白雪さんのお宅に
お呼ばれした。
もう、白雪さんのお宅にお邪魔するのこれ
が最後なんだろうな。
土曜日手土産にクッキーを持って白雪さん
のお宅に向かった。
「白代くーん」
と白雪さんがわざわざ迎えに来てくれた。
「白雪さん、走るとまた転ぶから」
「アハハ、そうだね。気をつけるよ。」
「うん」
…もう転びそうになった白雪さんを支えて
あげることが出来なくなるんだ。
でも、離れていても心は支えられるはずだ。
「白雪さん」
「なに?」
「オレさ、白雪さんが転校しても…遠くに行
っちゃってもさ、応援してるから!ずっと
白雪さんの味方だからね」
と伝えた。
すると白雪さんは、
「あー、やっぱり転校の話もう知ってたんだ。
白代くんありがとう。向こうに行っても連
絡してもいい?」
と少し申し訳なさそうに聞いてきた。
「連絡?もちろんいいよ!なんでも話してよ。
待ってるから」
「うん‼︎」
白雪さんの顔がパァっと明るくなったのが
よくわかった。
そうだ。
大草原で自由に羽ばたけるように、オレの
人生だってどうにでもなるんだ。
白雪さんがいつでもオレに飛び込んでこれ
るようにオレはでっかい男になるんだ!
と白雪さんの笑顔を見て改めてそう思った。
そして、白雪さんのお宅でたわいもない会
話をしたりして楽しく時を過ごした。
…やっぱり少し部屋ががらんとしていた。
もう引っ越しの準備が始まっているのだろ
う。
さみしさもありつつ、希望もある。
オレは白雪さんの家でそう思った。
続く。




